2017.10.12

システム運用環境の選び方~クラウドとオンプレミスのメリット・デメリット~

 

ネットワーク上でデータを保管したり、システムを動かす仕組みとしてクラウドが登場してから数年が経ちましたが、今では様々なITベンダーがサービスを提供しており、法人・個人を問わず利用されるようになりました。
業務で使うERP(基幹システム)やシステムをクラウド環境で動かす企業も増えており、従来のオンプレミス環境(自社運用型サーバ)から切り替える例も多くなったように感じます。
しかし、クラウド環境でシステムを動かすことは企業にとって最善なのでしょうか。
今回は、オンプレミスとクラウドのメリット・デメリットを整理しながら、システムを稼動させる環境の選び方について考えてみたいと思います。

 


目次

目次1  オンプレミスとクラウドとは
目次2  オンプレミス環境のメリット・デメリット
目次3  クラウド環境のメリット・デメリット
目次4  システム環境の選定ポイント


 

オンプレミスとクラウドとは

まずはオンプレミスとクラウドについて整理をしてみたいと思います。

【オンプレミス】
業務で利用するハードウェアを社内やデータセンターなどに設置し、自社で運用する形態を指します。
システムをインストールして動かすためのサーバを社内に置いており、情報システム部門などが運用保守をしているのであれば、それはオンプレミスと呼ばれます。

 

【クラウド】
オンプレミスとは対照的に、ITベンダーなどがインターネット上に用意したサーバやシステムを利用する形態を指しています。
一般的なイメージとしては、「写真やExcelファイルなどのデータを自分のPCやスマートフォンなどではなく、インターネットを通じて保存や利用をするサービス」になると思います。

 

 

オンプレミス環境のメリット・デメリット

続いて、オンプレミス環境のメリットとデメリットを書き出してみます。

 

メリット
(1)カスタマイズが容易である。
システム環境については自社で構築するため、業務の目的や利便性を考慮してシステムをカスタマイズすることができます。実際にシステムを利用する従業員の意見を反映させられるので、自社に最適な環境を構築することが可能です。

 

(2)インターネットに障害があっても利用可能である。
システムやデータを保管するサーバをオンプレミスで構築した場合、システムは社内のネットワーク上にありますので、何らかの理由によりインターネットにつながらなくなったとしても、システムの稼動を持続でき、業務への悪影響を抑えることができます。

 

(3)セキュリティが強固である。
社内ネットワーク上にありますので、第三者への情報漏洩や外部からサーバへ侵入されるリスクを軽減することができます。セキュリティ対策を自社のポリシーに合わせて構築できることも強みです。

 

デメリット
(1)構築には期間が必要となる。
環境を構築するために必要なハードウェアやシステムを調達し、様々な設定をしなければなりませんので、稼働まで1ヶ月以上の期間がかかるのが一般的です。
欲しいときにすぐ使えませんので、スピード感を求められる状況には適しません。

 

(2)構築費用が高額になる場合がある。
社内に新しくシステム環境を構築しようとする際、サーバ本体やネットワーク機器の購入費用、設置費用など、様々な費用が必要となります。
何を導入するのかによりますが、ソフトウェアの費用とは別に、ハードウェアの導入だけで100万円以上かかる場合もあります。

 

(3)運用費用(ランニングコスト)がかかる。
自社内でシステムを運用する場合は、日常的なメンテナンス費用に加えて、業務の変化や法改正への対応に伴うバージョンアップ、ハードウェア故障時の対応などに費用が必要になるときがあります。

 

(4)社内にメンテナンス担当が必要になる。
ハードウェアやシステムの運用保守をする担当者が必須になります。メンテナンス業務に対する時間も必要になります。

 

オンプレミス環境は構築に費用と時間がかかり、手軽に始められない面はあるものの、自社に合ったカスタマイズやセキュリティポリシーを確保できることが魅力です。

 

クラウド環境のメリット・デメリット

それでは、もう一方のクラウドはどうでしょうか。

 

メリット
(1)早期の導入が可能である。
ITベンダーが用意しているインターネット上の環境につなぐだけで、ハードウェアの購入などは不要なので、スピーディーに構築することが可能です。

 

(2)容易に拡張することができる。
業務量の増加に応じてハードディスクの容量を増やそうとした場合、オンプレミスでは資材調達と設定が必要になりますが、クラウドではインターネット上の管理画面から増量の申し込みをするだけで完了します。
また、減らすことも可能なので、自社の状況に応じた変更ができるのはクラウドの強みです。

 

(3)運用費用(ランニングコスト)が安価である。
利用料は企業単位や利用者単位で、メンテナンス費用も含まれていることが多いため、年間の運用費用は比較的安価になる傾向にあります。

 

(4)社外からも利用することができる。
クラウド環境はインターネット上にありますので、インターネットに接続できる機器があれば基本的にはどこからでも利用することが可能です。

 

デメリット
(1)カスタマイズが難しい。
クラウド環境はITベンダーが用意をしますので、自社に合わせてカスタマイズをできる範囲には限界があります。

 

(2)インターネットにつなげないと使えない。
環境はインターネット上にあるため当然ですが、インターネットにつなげない状況では利用できないことになります。接続が社外の要因にも左右されることになりますので、常時利用を求められるシステムでは注意が必要です。

 

(3)セキュリティのリスクがある。
インターネットによる利用となりますので、外部からの侵入による情報漏洩リスクがあります。
通信の暗号化を強化することでリスクを低減することもできますが、完全に無くすことは困難です。

 

(4)運用費用が高額になるケースもある。
メリットの箇所で、クラウドは安価になる傾向にあると書きましたが、利用する人数や時間など、利用状況によっては費用がオンプレミスと比べて上回るケースもあります。

 

クラウド環境の良いところは、すぐに利用を始められ、インターネットさえあればどこからでも使うことができる点です。
反面、運用やセキュリティについてはITベンダ―任せになりますので、不安が残る場合もあります。

 

 

 

システム環境の選定ポイント

上記でオンプレミスとクラウドのメリット・デメリットをまとめましたが、自社のシステム環境をどちらにするべきかは、導入するシステムや利用内容によります。
クラウド環境はとても便利で、費用を抑えることも可能ですが、インターネット上に存在することのデメリットも発生します。
片やオンプレミス環境は構築に時間と費用がかかるので、すぐに使い始めることはできませんが、カスタマイズ性が高く、自社の希望に則した運用ができるようになります。
どちらを使うかは、環境を構築する目的や利用状況に照らして、許容できるデメリットを整理しながら検討をするのが大切だと思います。
例えば大規模な構築になるERPパッケージなどはオンプレミスを選択する方が有利になる可能性があります。
また、営業が頻繁にアクセスするSFA(営業支援ツール)やCRM(顧客管理システム)では、クラウドの方が利便性が高く、売上向上につなげやすいかもしれません。

 

 

 

まとめ

オンプレミスとクラウドの違い
 ☑オンプレミスは自社やデータセンターに設置したハードウェアを運用する形態である。
 ☑ITベンダーなどがインターネット上に用意したサーバやシステムを利用する形態である。

 

オンプレミス環境のメリット・デメリット
 ☑カスタマイズが容易である。
 ☑インターネットに障害あっても利用できる。
 ☑セキュリティが強固である。
 ☑構築には期間が必要となる。
 ☑構築費用が高額になる場合がある。
 ☑運用費用(ランニングコスト)がかかる。
 ☑社内にメンテナンス担当が必要になる。

 

クラウド環境のメリット・デメリット
 ☑早期の導入が可能である。
 ☑容易に拡張することができる。
 ☑運用費用(ランニングコスト)が安価である。
 ☑社外からも利用することができる。
 ☑カスタマイズが難しい。
 ☑インターネットにつなげないと使えない。
 ☑セキュリティのリスクがある。
 ☑運用費用が高額になるケースもある。

 

システム環境選定のポイント
 ☑環境を構築する目的や利用状況に照らして、許容できるデメリットを整理する。