2018.3.01

RPAと内部統制・業務監査~ガバナンスや不正防止から見たDPA・RPA

 

最近、AI(人工知能)やRPA(ロボットによる業務自動化)が注目されています。
特にRPAについては、パソコンを利用した業務を自動化するツールとして企業の関心が高く、人材不足を解消する一つの手段として、RPAの導入に踏み切る企業も多いようです。
今回は、RPAと内部統制、業務監査の関係について考えてみます。

 


目次

目次1  RPAに対して企業が期待する効果
目次2  RPAが効果を発揮する業務エリアとは?
目次3  DPAによるRPAがマッチする業務の分析
目次4  内部統制・業務監査から見たDPA・RPA


 

RPAに対して企業が期待する効果

RPAとは、Robotic Process Automationの略称で、ロボットによる業務自動化のことを言います。
RPAは、パソコンを利用した業務を自動化するためのツールです。
RPAを使って業務を自動化することで、人材不足の解消や人件費の削減が期待できます。
RPAに対する企業の期待は、日に日に高まってきています。
先日、RPAをテーマにセミナーを開催したところ、200名近くもの申し込みが殺到し、あっという間に満席となってしまいました。
RPAに対する企業の関心はとても高いと言えます。
ここでセミナーに来場した方々によるアンケート結果を一部ご紹介します。
来場者全員に対して、「RPAの導入の効果として期待する点」を聞いてみると、下記のような回答がありました。
■RPAの導入の効果として期待する点

【第1位】 作業時間の短縮  【第6位】 人員不在時の作業代行
【第2位】 作業工数の削減  【第7位】 システム改修の代用
【第3位】 ケアレスミスの低減  【第8位】 内部統制の強化
【第4位】 本来業務へ専念・注力  【第9位】 Excelツールの削減
【第5位】 作業の標準化  【第10位】 その他

RPAの目的から、“作業時間の短縮”や“作業工数の削減”が上位にランキングされるのは当然ですが、「ケアレスミスの低減」や「内部統制の強化」といった効果を挙げる回答も多く、個人情報の保護といたセキュリティ防止やガバナンスとしての効果を指摘する声もありました。

 

RPAには、作業時間の短縮や工数を削減する効果のほか、内部統制やコーポレートガバナンスの強化、情報セキュリティ対策としての効果を期待する声もあり、RPAと内部統制・業務監査の間に一定の関連があるのが興味深いです。

 

 

RPAが効果を発揮する業務エリアとは?

RPAは人材不足の解消や業務の効率化に効果を発揮すると期待されていますが、具体的には、どういった業務で効果が期待できるのでしょうか?
■RPAを適用することにより、効果が期待できそうな業務エリア

【第1位】 経理業務(仕訳入力、資料作成)  【第6位】 購買事務(発注入力、書類作成)
【第2位】 財務業務(入金消込、支払処理)  【第7位】 人事・給与(人事考課、異動入力) 
【第3位】 営業事務(受注入力、日報作成)  【第8位】 システム運用(マスタ・ユーザ管理)
【第4位】 総務事務(管財業務、書類作成)  【第9位】 在庫・生産管理(在庫・生産計画)
【第5位】 経営企画(予算やレポート作成)   【第10位】 その他 

弊社セミナーのアンケートによれば、経理や財務等のバックオフィス業務に加えて、営業や総務における事務処理系の業務が上位にランキングしています。
やはりバックオフィスや事務サポートにおける単純業務がターゲットになるようです。
しかしながら、本当にRPAで効果を発揮できるかどうか悩んでいる企業は多く、実際に効果があったと確信している企業は、決して多くないのが実状です。
RPAで期待した効果を得るためには、RPAにマッチする業務を分析する必要がありそうです。

 

RPAを先行導入した企業の中には、業務の自動化というキーワードに惹かれ、事務作業であれば、RPAがマッチして効果を出せると早合点して苦戦しているケースが多いです。
単純に見える業務でも、“実際にはヒトの判断が必要でRPAがマッチしない”という結果に陥ることが往々にしてあるようです。

 

DPAによるRPAがマッチする業務の分析

RPAは、パソコンで行う作業を自動化するツールです。
パソコンで行う、どの作業がRPAにマッチしているのか、まず分析する必要があります。
分析の仕方としては、担当者が抱えているパソコン作業をすべて洗い出し、どの業務がRPAで自動化できそうか検証しなくてはなりません。
その際にDPAというツールを使用してパソコン作業を分析するやり方があります。
■Desktop & Process Analytics(デスクトップ分析)
DPAは、Desktop & Process Analyticsの略で、デスクトップ分析のことを言います。
社員のパソコン操作を記録し、業務アプリケーションの利用状況を分析することが可能なツールであり、業務分析や情報セキュリティ対策のほか、RPAを導入する業務の選定にも役立ちます。
DPAの主な機能として、「アプリケーションアクティビティ分析」や「業務プロセス分析」があります。
■アプリケーションアクティビティ分析
利用しているアプリケーションや無操作時間の割合を視覚化し、有効な利用時間の検討、苦手としている分野の特定と対策、アイドルタイム(休憩時間等)の把握に役立ちます。
■業務プロセス分析
業務プロセスの流れを集計し、上長と担当者の作業・処理内容の違いを明確化、作業時間の内訳を社員間で比較することにより、ボトルネックを発見することができます。

 

RPAは、やみくもに事務作業に適用しようとしても効果が出ません。
まずは、しっかりと業務分析を行い、そのうえで自動化する必要があります。
業務分析の仕方はいくつかありますが、DPAのようなツールを使用するのも有益です。

 

 

内部統制・業務監査から見たDPA・RPA

最後に、内部統制・業務監査から見たDPA(業務分析)とRPA(業務自動化)を考えてみます。
RPAで期待した効果を発揮するためには、業務分析が欠かせません。
そして、その業務分析は、RPA導入の足掛かりになるだけではなく、企業における情報セキュリティ対策や不正防止の対策の一つになりえるものです。
■内部統制・業務監査から見たDPA(業務分析)
DPAツールを上手く利用することで、誰が如何なるソフトウェア・システムを利用しているか監視することができ、そのことが不正を抑止するための一つの牽制効果になります。
例えば、個人情報保護という観点から、不当に長い時間システムにアクセスしていたり、不当に重いデータを外部に転送していると思われる行為を発見するきっかけになり、充分に不正の牽制や抑止力として期待できます。
■内部統制・業務監査から見たRPA(業務自動化)
RPAには、不正や単純な作業ミスを防止できるという統制効果のほか、内部統制評価や内部監査の対象範囲を削減できるという効果もあります。
RPAは、最初に正しく設定しておけば、不注意や疲労でミスをすることはありません。
設定の正否をチェックし、変更管理を適切に監視すれば不備は発生しないのです。

 

DPAやRPAは、単に“人材不足の解消”や”業務の効率化”のメリットだけではありません。
内部統制・業務監査の観点から考えても、「業務の有効性および効率性」を保証するという点で大いに可能性のあるツールです。
また、RPAを利用することによって、内部統制評価や業務監査の対象を削減することもできます。
RPAは、内部監査部門の工数削減にも寄与する可能性も秘めています。

 

 

RPAやAIの登場により、ヒトの働き方は大きく変わると言われています。
特に経理や総務といったバックオフィス業務においては、ヒトの仕事が無くなるとまで指摘されています。
この点については監査も同様であり、「将来的に監査は自動化される」とも言われています。
しかしながら、監査はヒトの判断に基づく業務も多くあり、単純な事務作業や簡単な分析業務がRPAやAIにとって代わられたとしても、”観察”や”質問”といったヒトの判断に基づく業務は残ります。
この点を踏まえ、RPAやAIで如何なる業務が省力化でき、ヒトは何に注力すべきか将来的な内部監査部門の在り方を考えつつ、RPAの可能性を検討してみてはどうでしょうか。

 

 

 

まとめ

RPAに対して企業が期待する効果
RPAは、作業時間や工数を削減する効果のほか、内部統制、コーポレートガバナンス、情報セキュリティの対策としての期待も高い
RPAが効果を発揮する業務エリアとは?
 バックオフィスや事務サポートにおける単純なパソコン作業がターゲット
★RPAで期待した効果を得るためには、RPAにマッチした業務を分析する必要がある。
DPAによるRPAがマッチする業務の分析
■アプリケーションアクティビティ分析…パソコン操作やアプリケーションの使用状況を監視するツール
■業務プロセス分析…従業員の業務効率や作業手順・処理時間を比較分析するツール
★RPAで期待した効果を発揮するためには、業務分析が欠かせない。
内部統制・業務監査から見たDPA・RPA
DPA…企業における情報セキュリティ対策や不正防止の対策になる
RPA…企業不正や作業上のミスを防止できるという統制効果がある
★業務の有効性および効率性のほか、内部監査部門の負荷軽減としても期待できる。