調達・購買管理システムで失敗しないために~システム検討時の注意点~

2018年06月21日

 

企業が行う大切な活動の一つに、物やサービスの調達・購買があります。
大半の企業では、自社の製品やサービスを販売するために、製品の原材料を外部から仕入れたり、加工のためのサービスを外部から受けたりしています。
また、そういった仕入や外部サービスが必要ない企業でも、事務用品やパソコンなどを外部から購入することはあるはずです。
今回は、この調達・購買のためのシステムを検討する際のポイントについて整理したいと思います。

 


調達・購買管理システムとは

調達・購買管理システムとは、文字通り、物やサービスの調達・購買業務を支援するためのものです。

 

基本的な機能として、調達・購買に伴い必要となる業務に必要な情報を一元的に管理し、注文書などの必要な書類を作成することができます。
また、それ以外にも、電子承認や取引先との間のEDI(電子データ交換)、パンチアウト、サプライヤー管理(評価)などの機能を搭載したものを使っている企業も多くあります。

 

業務を効率化できるような機能を追加し続けてきた結果、かなり広い範囲をカバーすることも可能なシステムとなってきています。パッケージシステムも多く世に出回っており、パッケージを検討・導入する企業も多くなってきています。

 

 

調達・購買管理システムの範囲①~取扱う商品~

調達・購買管理システムの範囲について、少し具体的に見ていきたいと思います。

 

まず、取り扱う商品についてです。
調達・購買管理システムは物やサービスを扱うと言いましたが、企業が調達する「物」は、大きく直接材と間接材に分けることができます。

 

それぞれ定義は企業によっても異なりますが、ここでは次のように分類して話を進めていきたいと思います。
直接材・・・製造業における主要原材料、卸売業・小売業において販売を目的として仕入れる商品 等
間接材・・・製造業における補助原材料(資材等)、業種を問わずに発生する備消品 等

 

直接材と間接材は、調達する担当者が異なることも多く、また、調達の際に留意すべき点も異なります。

 

一例をあげると、直接材の場合は受注から連携した発注ができるか、といった機能も要件となります。
また間接材の場合は、固定資産購入時の申請・承認や購入後の固定資産システムへの連携といったことが、要件となることもあります。

 

パッケージシステムを検討するのであれば、まずはその製品がどちらを対象にしているかを確認する必要があります。

 

 

 

調達・購買管理システムの範囲②~カバーする業務~

調達・購買管理システムがカバーしている業務範囲についても整理したいと思います。
一般的には、次のような範囲が対象となります。

 

・調達計画管理
物やサービスをいつどれくらい仕入れるかという予定を管理するための機能です。
システムによっては、購買予算のような位置付けで使われるケースもあります。

 

・見積管理
サプライヤーに対して見積依頼を出し、その結果として受領した見積を管理するための機能です。
事務作業の軽減に加え、購買履歴(単価の推移等)を管理できるというメリットもあります。

 

・発注管理
サプライヤーに対して発注を行うための機能です。
発注のために必要な情報を入力し、それに基づいて注文書や注文請書を作成することができます。

 

・入荷・検品管理
サプライヤーから届いた商品の実績を管理します。
受け取った(入荷した)数量はもちろんですが、検品結果や不良品数なども記録して、サプライヤーの実績評価に活用することもあります。

 

・仕入管理
入荷・検品実績に基づいて、仕入計上します。
仕入実績については、会計システムや債務管理システムへの連携まで実現を目指すことも多いです。

 

・返品管理
不良品等があった場合における商品の返品実績を入力します。
単に仕入を減額するか、代わりの商品を送ってもらうかといった顛末まで管理することができます。

 

・在庫管理
商品数量を管理します。使用数量(出荷数量)も記録することにより、実在庫数を管理できます。
また、仕入金額と連携することにより、移動平均法や総平均法等による在庫評価も行うことができます。

 

以上は、パッケージシステムに標準機能として搭載されていることが多い機能とも言えます。
一連の処理をシステム化できれば、二重入力や書類作成などの負担軽減を期待することができます。

 

 

 

調達・購買管理システム選定のポイント

ここまで、調達・購買管理システムの範囲を見てきました。
ここからは、システムを検討するにあたってのポイントについて考えてみたいと思います。

 

発注手続きを効率化するだけであれば、先に述べた機能の有無や適合性を考慮すれば問題ありません。
ですが、調達・購買管理システムを検討する際には、それ以上の効果を期待することも多くあります。
よく検討される機能をいくつか例示してみたいと思います。

 

・電子承認
発注に際しての承認手続きを電子化する機能です。
電子化により、申請時と発注時における二重入力の排除や承認漏れ等の防止(内部統制強化)といった効果を期待できます。

 

・電子商取引(EDI/WEB-EDI)
見積もり、発注などサプライヤーとの間で行う一連のやり取りを電子化するものです。
手続きの簡略化やリードタイムの短縮が期待できます。
また、取引量の多いサプライヤーに対して、週次や月次で発注予定数量を共有したり、逆にサプライヤー側の在庫情報の共有を受けたりして、欠品予防体制の強化を図ることもあります。

 

・パンチアウト連携
サプライヤーが提供するWEB発注サイトと連携して商品発注を行うための機能です。
WEB発注サイトにある商品情報や調達・購買システムで入力した注文情報を自動的に連携します。
一覧の処理を全て繋ぐことにより、作業効率化やミスの防止を期待できます。

 

・集中購買
企業内(グループ企業内)の発注を一元的に取り纏めてサプライヤーへ発注するための機能です。
一元化により事務負担を低減するのはもちろんですが、発注を纏めることにより発注数量を増やし、価格交渉力を高める等の狙いもあります。
グローバルでの集中購買を行う場合は、輸出入支援機能(在庫移動、輸出入書類作成等)も必要になることがあります。

 

・サプライヤー管理
各サプライヤーへの発注量や納品実績(納期遵守率や返品率等)を管理します。
実績に基づきサプライヤーをランク付けし、優秀なサプライヤーへの発注を増やすというのが一つの狙いです。
一方で、リスクヘッジのために、発注が特定のサプライヤー偏り過ぎないように管理する、ということもあります。

 

以上のように、単に物やサービスを発注するというところに留まらず、派生する業務まで含めた効率化やリスク管理といった視点でシステムが活用されています。

 

 

システム選定に失敗しないために

調達・購買管理システムは、パッケージの製品も多く販売されており、自社に合ったものを選ぶことができれば、十分な投資対効果を見込むことができます。
そのためには、自社の環境に合った製品を選ぶ、ということが一番大切なことです。
検討する際の注意すべき点を、何個かピックアップしたいと思います。

 

①直接材と間接材どちらを対象にするか
両方できたほうが良い、と考えがちですが、前述の通り、必要な機能には違いがあります。
一元化により明らかな費用対効果を得られる企業であれば別ですが、そうでなければ、対象を明らかにしたうえで、それに合ったシステムを選ぶ方が効果を得やすいです。

 

②「あれば便利」な機能は本当に必要か
システムに求める機能を考えていくと「あれば便利になりそう」という機能も色々と出てきます。
一例として電子承認があります。
確かに、電子承認機能は、上手く活用できれば効果は大きいです。
しかし、電子承認は複雑なルールが必要なことも多く、ギャップが生じやすい機能です。
自社で既にワークフローシステムがある場合は、そちらと併用する方が、トータルコストを抑えられることもあります。
調達・購買管理システムは、前述の通り派生する様々な便利機能がありますが、それぞれの機能について、本当に必要かを吟味すべきです。

 

パッケージシステムを調べていくと、便利機能に目を奪われてしまいがちです。
ですが、それらの機能が自社でも役に立つかと言うと、必ずしもそうではありません。
対象となる物・サービス、必要な機能を明確にしたうえで検討することをお勧めします。

 

 

 

まとめ

・調達・購買管理システムとは
☑ 物やサービスの調達・購買を支援するシステム
☑ 一般には見積から発注、入荷検収、仕入計上までをカバー
・調達・購買管理システが取り扱う商品
☑ 直接材
製造業における主要原材料、卸売業・小売業において販売を目的として仕入れる商品 等
☑ 間接材
製造業における補助原材料(資材等)、業種を問わずに発生する備消品 等
⇒直接材と間接材とでもシステムに必要な機能は異なる
・調達・購買管理システムの機能
☑ 通常の調達・購買業務に関する機能
例:調達計画管理/見積管理/発注管理/入荷・検品管理/仕入管理/返品管理/在庫管理
☑ 調達・購買業務から派生する機能
例:電子承認/電子商取引(EDI/WEB-EDI)/パンチアウト連携/集中購買/サプライヤー管理
・システム選定に失敗しないために
☑ 直接材と間接材どちらを対象にするか
☑ 「あれば便利」な機能は本当に必要か
⇒対象となる物・サービス、必要な機能を明確にしたうえで検討すべき

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