2018.8.02

システム選定で失敗しないために~プロジェクト管理型基幹システムの勘所~

 

基幹システムと一口に言っても、業種によって必要な機能は異なります。
それが、商品の製造・販売を行う会社とサービスを提供する会社となりますと、その機能には大きな違いがあります。
今回は、サービスを提供する会社の中でも、SIerやコンサルティングファームなどを対象にしたプロジェクト管理型の基幹システムの話をしていきたいと思います。

 

最近では、このようにプロジェクト管理型の企業に向けたERPパッケージも様々なものが提供されています。
これからERPパッケージを検討するという企業様に向けて、機能の特徴や検討時の注意点について述べていきます。

 


目次

目次1  プロジェクト管理型のERPパッケージとは
目次2  プロジェクト管理型ERPパッケージの標準的な機能
目次3  プロジェクト管理型企業において求められる特殊要件
目次4  プロジェクト管理型ERPパッケージの検討時の注意点


 

プロジェクト管理型のERPパッケージとは

改めて、今回取り上げたプロジェクト管理型ERPパッケージの定義を整理します。
先に述べたように、SIerやコンサルティングファームを対象にした基幹システムを前提として考えています。
これらの企業は、サービスを提供するにあたり原価の中心が人件費(外注費を含む)になる、というのが特徴です。
そのため、プロジェクトの原価管理では、プロジェクトごとの作業工数管理が重要になります。

 

物の販売をするERPパッケージであれば、受発注と在庫に関する情報を一元的に管理することになりますが、プロジェクト管理型のERPでは、受発注と人件費に関する情報(具体的には、要員、単価、工数)を一元的に管理します。

 

プロジェクト管理型のERPパッケージは、社内プロジェクトの予算やコストまで管理できるものも多くありますが、物販中心の企業の大半では、ここでいうプロジェクト管理型のERPパッケージはマッチしません。
そのような企業がプロジェクトのコスト管理をしたい場合は、会計システムにもプロジェクト単位の管理ができる機能を持つものもありますので、そちらをご活用いただいた方が経済的です。
(ただし、会計システムのプロジェクト管理機能では、一般的には、要員や作業工数の管理までは対応していません。)

 

プロジェクト管理型のERPパッケージは、前述の会社やWEBサービス・スマホアプリ開発会社のように、中心となる事業がプロジェクト単位で運営されている企業に適したシステムです。

 

 

プロジェクト管理型ERPパッケージの標準的な機能

ここからは、プロジェクト管理型ERPパッケージの標準的な機能を確認していきます。
(パッケージシステムによっても違いがありますのでご留意ください。)

 

・プロジェクト管理(引合・見積から受注まで)
プロジェクト名や金額、期間など、プロジェクトに関する情報を登録することができます。
社外から受注したプロジェクトに加え、社内プロジェクトについても同様に管理できる製品は多いです。

 

・プロジェクト実行予算管理
プロジェクトごとに人件費予算(タスク、要員、工数等)や経費予算等の登録及び変更が可能です。
人件費に関しては、予め要員ごと(要員のクラスごと)の単価を設定しておき、タスクごとの予定工数を入力すれば、予算が計算されるような仕組みになっているものもあります。

 

・プロジェクト原価管理
発生した直接労務費や外注費、直接経費を集計して、プロジェクトごとの原価を算出します。
直接労務費については、人事給与システムや勤怠管理システムからデータ連携して計算することが多いです。

 

・調達・外注管理
プロジェクトに関する器具・備品の発注や協力会社への要員の外注を行います。
登録した発注情報に基づき、注文書や注文請書を印刷できるものが多いです。

 

・債権管理・債務管理
発生した債権と債務管理するための機能です。請求書の作成や支払処理(FBデータの作成)にも対応しています。
月次支払や中間支払いなど、プロジェクト期間の途中での決済も多く、その対応も必要な機能の一つとなります。

 

上述の通り、ERPパッケージでは、受発注からプロジェクトの完了に至るまでの主要な事務作業をカバーしています。
ですが、実行予算管理、原価管理は、機能があったとしても細かなところでギャップが生じることも少なくありません。
例えばですが、実行予算や原価の管理を行いたい単位(タスクの細かさ、期間)は企業によっても異なります。
実行予算の作成権限・承認権限の付与ルールについても、企業によって違いがあるはずです。
原価の計算においても、標準原価(単価)を採用する場合は、それに応じた機能が必要です。
自社の業務にぴったりと合った製品はなかなかあるものではなく、自社に合わせたカスタマイズが必要になる、という前提で考えておく方が現実的です。

 

 

プロジェクト管理型企業において求められる特殊要件

では、次にプロジェクト管理型ERPパッケージにおいて、よく求められる特殊な要件について述べていきます。
実作業を考えるとシステムで一元的に管理したいと思う気持ちはよくわかります。
ですが、こういった特殊要件は、標準的なERPパッケージに搭載されているとは限りません。
検討するにあたっては、本当にシステムでの管理が必要かどうかを慎重に判断することをお勧めします。

 

・業績予測管理
システムに登録されたデータから半期や年次の業績予測を作成し、その予実を管理するための機能です。
具体的には、引合・見積案件について、受注確度を設定します。
そこへ、受注済みの案件やそれ以外の見込受注・売上金額を加味して、四半期や半期、年間の受注・売上予算を作成していきます。
作成した受注・売上予算に対して、実績金額を当てはめていき、予実管理も行います。

 

引合・見積案件や受注済みの案件がERPパッケージに登録されているため、予算を作成する際には、その登録されたデータを使いたい、というのは当然出てくる考えです。
ですが、業績予測の考え方は企業によって大きく異なります。
また、業績予測作成時には、その時点では影も形もない案件についても見通しに考慮しなければならないため、ERPパッケージの中だけで完結することはどの道できません。
このような理由もあってか、要望が多いわりに実用に耐えうる業績予測管理が搭載されている製品はそう多くはありません。

 

・在庫管理
プロジェクトで使用する器具・備品について、プロジェクトで必要になった都度購入する場合は特に問題はありませんが、一括で購入したほうが安い、などの理由から纏めて購入して在庫としてストックしておくこともあります。
その際には、その在庫を管理するという業務が必要になりますが、プロジェクト管理型ERPパッケージには搭載されていない(搭載されていたとしても機能が不足する)場合があります。
在庫管理は、単純な数量の受払に加えて、評価方法(個別法、移動平均法、総平均法等)や棚卸など、様々な付帯的な機能が必要となります。
そのうえ、在庫として管理する物が少ない場合は、システムでがっちり管理するよりはExcelを使ったほうが楽、というケースも少なくありません。
そのあたりが、在庫管理機能が弱い理由ではないかと考えています。

 

以上、二つほど例を挙げさせていただきました。
それ以外にもプロジェクトの階層管理やEDIを使った外注など、要望としては多く出たとしても、一般的に実装されていることが少ない機能はいろいろとあります。
前項の標準的な機能以外のものは搭載されていない場合も多い、と考えて機能を検証したほうがよいです。

 

 

プロジェクト管理型ERPパッケージの検討時の注意点

以上、プロジェクト管理型ERPパッケージについて、機能面から整理して参りました。
最後に、検討時の留意すべき点について述べていきます。

 

①大幅にカスタマイズしても実装すべき機能を見極めること
プロジェクト管理型のERPパッケージは、物販を対象にしたものと比べて製品の数は少なく、選択肢は限られます。
世にあるERPパッケージの標準機能だけで対応しようとすると不便な点も出てくるかと思います。
一方で、なんでもかんでもカスタマイズしていては、構築費用は大きく膨らんでしまいます。
カスタマイズしても実装が必要と考える領域(機能)と、それを実現することによる効果(工数削減、ミスの低減、内部統制強化 等)を明確にして、費用に見合うかどうかを見極める必要があります。

 

②業種や業務遂行体制に合った製品を選ぶこと
一口にプロジェクト管理型と言っても、システム開発会社とコンサルティングファームの様に業種が異なれば、必要になる機能も異なります。
例えば、システム開発会社であれば、お客様へリース形式でソフトウェアを提供することがありますが、コンサルティングファームでは考えにくい形です。
同じシステム開発会社であっても、WEBサービスやアプリを開発して提供する会社とお客様向けに個別にシステム導入・開発をする会社とでは管理したい内容も異なります。
外注先の作業員が多いか少ないかでも必要な機能には違いが出ます。
プロジェクト管理型ERPパッケージについても、機能の名称だけを見ると同じように見えても、細部まで見ていくと得手不得手はでてきます。
自社業務の特徴や要件を踏まえたうえで、それに合ったパッケージを選ぶことが大切です。

 

以上の様に、プロジェクト管理型のERPパッケージは物販用のそれとは異なる特徴を持っています。
今後、プロジェクト管理型のERPパッケージをご検討されるようでしたら、上記のような点にもご留意いただくとよいのではないかと思います。

 

 

 

まとめ

・プロジェクト管理型のERPパッケージとは
SIerやコンサルティングファームなど、サービスの原価が人件費(外注費を含む)中心になる業種に向いたERPパッケージ
・プロジェクト管理型ERPパッケージの標準的な機能
☑ プロジェクト管理(引合・見積から受注まで)
☑ プロジェクト実行予算管理
☑ プロジェクト原価管理
☑ 調達・外注管理
☑ 債権管理・債務管理
・プロジェクト管理型企業において求められる特殊要件
標準的な機能以外の機能は、製品に搭載されるとは限らない。費用も膨らむので本当に必要か検討すべき。
<特殊な機能の例>
☑ 業績予測管理
☑ 在庫管理
・プロジェクト管理型ERPパッケージの検討時の注意点
☑ カスタマイズしても実装すべき機能を見極めること
☑ 業種や業務遂行体制に合った製品を選ぶこと