2018.10.18

RPAで早く効果を出すには?~選定基準と優先順位の決定方法~

 

RPAを導入する企業が増えていますが、「思ったよりも効果が出ない」と問題を抱えている担当者は少なくありません。RPAは、「プログラミング知識不要」、「簡単な操作だけで作業ロボットが作れる」と言われていますので、「とりあえず・・・」と業務を特に選別せずにRPAの開発に着手するケースが多くみられます。
実はこの「業務を選別しない」ということが、RPAで効果が出ない大きな原因なのです。なぜなら、RPAで効果を出したいのであれば、「RPAが早く開発できる業務」かつ「自動化による効果の高い業務」を対象とすれば良いからです。この2つの条件を満たす業務を優先的に開発すれば、自ずと効果は高まります。
今回は、RPAで早く効果を出すために、どのような基準で業務を選別し、優先順位をどのようにして決めるのかという点についてご紹介します。

 

 


目次

目次1  選定基準で篩にかけ、効果測定で優先順位を決定する
目次2  RPA導入におけるボトルネックと選定基準
目次3  RPAの効果測定と優先順位の決定
目次4  RPA開発対象業務の効率的な選定方法
目次5  RPAで早く効果を出すにはどうするべきか?


 

選定基準で篩にかけ、効果測定で優先順位を決定する

RPAの導入を進めるうえで、「どの業務に対して自動化を行うか」という業務の選別は非常に重要なポイントになります。「とりあえず・・・」で進めてしまうと、実際の開発段階で想定以上の時間がかかったり、自動化したものの思ったほど効果が出なかったりと、RPAの存在意義自体に疑問を抱かれてしまう恐れがあります。
このような問題は、「RPAを早く開発できる業務を選別し、効果の高い業務から開発に着手する」ことで解決できます。「RPAを早く開発できる業務」を選別するには、RPAの開発におけるボトルネックを明確にして、それらを回避することができるように選定基準を設ける必要があります。この選定基準によって、業務をふるいに掛けるのが第1段階です。
次に、「効果の高い業務から開発に着手する」ことができるように、優先順位を決定します。効果をできる限り定量化(数値化)し、数値を基に判断することで優先的に着手すべき業務を客観的に選ぶことができるようになります。この効果測定による優先順位付けが、第2段階です。
このように、「選定基準」と「効果測定」の2つのステップを使い対象業務を選別することが、RPAで早く効果を出すためのキーポイントとなるのです。

 

 

RPA導入におけるボトルネックと選定基準

RPAの導入におけるボトルネックを知ることは、スムーズな開発(開発の早期化)を実現するうえで非常に重要なポイントです。では、ボトルネックのお話をする前に、一般的なRPAの導入プロセスを見てみましょう。

 

■RPAの導入プロセス
①自動化対象業務を選別する
②業務ヒアリングによって作業手順を明らかにする
③作業手順に沿ってRPAを開発する

 

このように、大きく分けて3つのステップでRPAの導入を進めていきます。では、どのようなボトルネックがこのステップの中に潜んでいるのか見ていきましょう。

 

■RPA導入におけるボトルネック
a. 作業手順を明らかにする業務ヒアリングは時間がかかる
b. 条件分岐が多い業務は開発に時間がかかる
c. 開発中にRPAが対応できないシステムが発覚し、開発がとん挫する

 

これらのボトルネックを把握したうえで、業務を選定するにはどうしたらよいでしょうか?
答えは簡単で、aからcのボトルネックを選定基準として設け、対象とする業務が基準を満たしているかをチェックするだけで良いのです。選定基準の例としては以下の通りです。

 

a. 作業手順を明らかにする業務ヒアリングは時間がかかる
【選定基準】 業務手順書・マニュアルが整備されていること
b. 条件分岐が多い業務は開発に時間がかかる
【選定基準】 業務が単純であること、業務標準化が完了していること
c. 開発中にRPAが対応できないシステムが発覚し、開発がとん挫する
【選定基準】 PoC(概念実証)が済んでいること

 

このような選定基準を設けて業務をふるいに掛けることで、RPAを早く開発できる業務を選別できるようになります。仮に選定基準を満たしていない場合は、担当部署に差し戻し、業務手順書を作らせるといった対応を取ることも可能です。
このように、RPAの開発のボトルネックを回避することができる選定基準を設け、ふるいに掛けることで、開発の早期化を実現することが可能となるのです。

 

 

RPAの効果測定と優先順位の決定

短期間でRPAの効果を出すには、効果の高い業務を優先的に着手し、自動化を進める必要があります。効果の高い業務は、「単純に作業時間の長い業務を選べばよい」と思われるかもしれませんが、RPAの効果は作業時間の削減だけではありません。

 

【RPAの効果】
①自動化による作業時間の削減
②ロボット処理による業務品質の向上(人為的ミスの削減)
③自動化による繁忙期の負荷軽減
④ヒトを介さないことによる情報セキュリティの向上

 

ここで、自社におけるRPAの導入目的を振り返ってみてください。例えば、導入の目的が「決算作業などの繁忙期の負荷軽減」であれば、③に該当する業務を優先的に進めなければなりません。また、人為的なミスを軽減させたいのであれば、②に該当する業務の優先順位が高くなります。このように、まずはRPAの導入目的と効果を関連付け、選定基準を定める必要があります。

 

次に、選定基準となる効果を定量化(数値化)するとともに重みづけを行います。仮にRPAの導入目的が③繁忙期の負荷軽減と①作業時間の削減の2つであったとします。(「繁忙期の負荷軽減」が最も優先順位の高いというイメージです。)この2つを定量化し、重みづけを行うと、以下のようになります。

「繁忙期の負荷軽減」が第1の達成目標なので、定量化した数値に「×2」をして重みづけを行っています。(より重要である場合は、「×3」など自社の状況に合わせて調整してください。)これにより、評価指標ができあがりました。では、この評価指標を実際の業務に当てはめて、優先順位を決めてみましょう。

このように、効果の重みづけを行うことで、No.4の業務が最も高い効果を持つということがわかりましたので、No.4の業務から自動化を行えば高い効果を得ることができます。補足となりますが、削減時間については、実際の作業時間の半分で算出すると簡単です。これは、RPA導入企業の多くが、自動化した業務の削減時間を50~90%としているため、少なくとも半分は削減できるであろうという論拠に基づいています。
このように、効果を定量化し、重みづけを行うことで、効果の高い業務を客観的に選定することが可能になるのです。

 

 

RPA開発対象業務の効率的な選定方法

ここまででRPAで開発し易い業務の選定方法と、優先順位の決定方法をお伝えしましたが、業務を一つずつチェックするのは骨が折れますし、効率的とは言えません。業務の選定から優先順位の決定までの流れを体系化し、標準的な運用方法を確立することでより効率的に業務の選定と優先順位の決定を行うことが可能となります。

 

1.選定基準を用いた業務の選別
自動化を行いたい業務が多く存在する中、1つ1つを選定基準に当てはめ、選別する手法では膨大な時間がかかってしまいます。そこで、一覧表を作成し、自動化したい業務がある場合は、業務実施者自身でその一覧表に記載してもらうよう仕向けます。一覧表には、あらかじめ選定基準を組み込み、〇×を付けてもらうようにします。一覧表の例としては以下のようなものが考えられます。

業務実施者に直接記入させますと、個人個人によって判断基準が異なってしまいます。したがって、記載内容はあくまで参考程度の情報として扱い、重要な部分は直接ヒアリングなどで確認する方が確実です。

 

2.対象業務の効果測定
対象業務の効果を測定する場合、1業務につき5分程度の簡易ヒアリングを実施することをお勧めします。なぜなら、先ほども説明しましたが、記入者によって判断基準が異なってしまう恐れがあるからです。異なる判断基準で効果を算出しても意味がありませんので、ヒアリングの担当者を決め、統一した判断基準で効果を検証する必要があります。

ヒアリングシートを使って得た情報を一覧化し、数値の高い業務=優先度高として優先順位を決定すると、より効果的です。

 

RPAで早く効果を出すには、「RPAの開発時間を短縮できる業務」かつ「RPAの効果が高い業務」を選ぶ必要があります。しかし、この「選ぶプロセス」に時間がかかってしまっては元も子もありません。「選ぶプロセス」も体系化し、効率的に運用することで、RPAの効果を早く享受できるようになるのです。

 

 

RPAで早く効果を出すにはどうするべきか?

RPAの効果は、ちょっとした工夫で早く享受することができます。闇雲に開発に着手するのではなく、まずは①RPAの開発工数を少なくできる業務を抽出し、②効果の高い業務から優先的に開発を行うことで、限られた開発時間を最大限に有効活用することが可能になります。
しかし、業務の抽出や選定に時間をかけ過ぎては元も子もありません。抽出・選定プロセスは体系化し、効率的に運用する必要があります。
RPAは他のシステムと異なり、価格が安くすぐに使い始めることができますので、「とりあえず」で開発に着手しがちですが、開発前の抽出・選定プロセスをないがしろにすると、「開発に時間がかかり過ぎてなかなか効果が出ない」という負のスパイラルに陥る危険もあるのです。

 

 

まとめ

RPA導入におけるボトルネックと選定基準
RPAの開発のボトルネックを回避することができる選定基準(業務マニュアルの有無など)を設け、ふるいに掛けることで開発時間を短縮できる業務を選定する。
RPAの効果測定と優先順位の決定
平準化や業務品質向上などの効果を定量化し、重要度に応じた重みづけを行うことで、効果の高い業務を客観的に選定する。
RPAで早く効果を出すにはどうするべきか?
「RPAの開発時間を短縮できる業務」かつ「RPAの効果が高い業務」を選ぶためのプロセスを体系化し、開発だけでなく選定の手順も効率化する。