内部監査部門の業務効率化!運用状況評価の基礎知識

2016年11月17日

今回は、内部統制の運用状況評価について解説したいと思います。
9月15日のエントリーでお伝えした整備状況評価が統制活動の仕組みを確認する評価作業であるのに対して、運用状況評価はその統制活動が継続的に運用されているかを確認する評価作業になります。
今回のエントリーでは、運用状況評価の概要やポイントについて説明します。

 


運用状況評価とは

運用状況評価とは、統制のルールや体制通りに仕組みが運用されているか、統制活動が継続的に行われているかを、実際の証憑(証拠)を収集して確認することをいいます。
整備状況評価で確認した仕組みを基に行う評価作業となりますので、整備状況評価が完了していることが実施の前提となります。

 

 

運用状況評価の評価ポイント

それでは、運用状況評価を行う際のポイントを説明します。
運用状況評価における評価ポイントは大きく分けて3つあります。

①順守性
規程やマニュアルなどのルールに沿い、統制活動が正しく行われているか
実施の状況が分かる伝票などの証憑が存在しており、ルール通りに証跡(押印など)が残されているかを確認します。

②継続性
統制活動が継続的に運用されているか
一定期間における証憑を閲覧し、有効な統制活動が継続的に行われているかを評価します。

③有効性
全体を通じてリスク低減がされているか、不備があった場合に補完統制があるか
統制の組み込まれた業務プロセスが有効か、不備があった場合に補完統制があるかなど、
プロセス全体における統制活動が有効かを判定します。

 

 

運用状況評価の悩みどころ

運用状況評価は、
・「サンプリングする証憑が多い」
・「評価するコントロールの数が多い」
など、作業負荷が高いと考えている企業様も少なくないようです。
次の項目では、そんな運用状況評価の作業負荷を軽減するためのポイントを見ていきます。

 

 

運用状況評価の悩みを解決する方法

運用状況評価の作業負荷を軽減する方法として、以下の着眼点があります。

 

①キーコントロールの削減
キーコントロールの絞り込みにより、運用状況評価の負荷を軽減します。
ここでは、キーコントロールを削減するために、リスクに着目します。リスクの重要性を評価し、重要性の低いリスクは削減します。
リスクを削減することにより、設定されているコントロールも削減することができます。

 

②母集団を適切に選択する
母集団を適切に選ぶことで、収集する資料を最小限にします。
一般的には統制頻度を少なくする方がサンプリング件数が減りますが、母集団によっては月次統制よりも都度統制と認識した方が評価工数が少なくなる場合もあります。

 

【例】※サンプリング対象期間を9ヶ月とした場合
(統制内容)月末に、課長が売上集計表請求書の金額を付け合せて、承認印を押す。

 

売上集計表(月次)を母集団とする場合
統制頻度を月次と認識し、サンプリング件数は2ヶ月分(=2件)とします。
サンプリング数としては少なく見えますが、売上集計表には100件の請求書の内容が含まれるため、実質的には202件の証憑を評価することになります。

 

請求書(都度)を母集団とする場合
統制頻度を都度と認識し、請求書のサンプリング件数を25件とします。
請求書と付け合わせるために、サンプリング対象期間9ヶ月分(=9件)の売上集計表計表を収集します。
結果として、評価する証憑の合計数は34件となり、月次統制の場合よりも作業負担が減ることになります。

 

③プロセス・コントロールの統合
類似しているプロセスを整理・統合することで、評価工数の低減を図ります。
商品別や資材別に3点セットを作っている場合は、それらのプロセスを統合できる可能性があります。

 

プロセスの統合

評価作業の効率化に向けて

運用状況評価は、毎年行う業務になります。
効率化を進めたいというお考えを持ちながら、前年度までと同様の方法で落ち着いてしまい、なかなか効率化に着手できていない企業様も多いのではないでしょうか。
効率化に着手しなければ、作業負荷は変わらないままになってしまいます。
もし、運用状況評価の負荷が大きいと感じられているようでしたら、できるだけ早めに見直しを行って、効率化に着手されてみてはいかがでしょうか。

 

 

まとめ

運用状況評価とは
統制活動が継続的に運用されているかを確認する評価作業のこと
☑整備状況評価で確認した仕組みを基に評価を行う

 

おさえておくべき運用状況評価のポイント
順守性
統制活動が正しく行われている
継続性
統制活動が継続的に運用されている
有効性
プロセス全体の有効性が担保されている

 

効率化のためのポイント
キーコントロールの削減
リスクの評価を行い、重要性が低いリスクのコントロールを削減する
母集団を適切に選択する
母集団の選択を見直し、収集する資料を最小限に抑える
プロセス・コントロールの統合
類似しているプロセスを整理・統合することで、評価工数を削減する

 

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