予算管理のシステム化検討!~押さえておくべき3つのポイント~

2018年01月18日

 

予算管理にシステムを利用している企業はありますが、反面、Excelで行っている企業も数多くあります。
社内業務のIT化が進んでいるように見える企業も、予算データの収集・集計や予算と実績の比較はシステムを使っておらず、Excelや他のスプレッドシートで実施しているケースも意外なほど存在しています。
そのような企業とお話をしていますと、予算管理をシステム化したいが、どのようなことに気を付けてシステムを選べばよいのかとご相談を受けることがありますので、今回はシステム選定時に留意することで、効果を得られやすくなるポイントをまとめていきます。

 


Excel予算管理の課題

まずは、予算管理をシステム化したいと考えるきっかけとして多くある、Excelによる予算管理の課題を整理します。

 

①ファイル授受などの非効率
Excelを使った予算策定を行う場合は、
1.予算入力の担当者にExcel予算入力のフォーマットを配付
2.担当者がフォーマットに予算入力
3.取りまとめをする部門の担当者が予算ファイルを収集
4.予算データの集計
5.報告資料の作成
というような流れになりますが、データの入力や集計をするために、ファイルの配付や収集などの作業が発生します。入力担当者が少なければよいのですが、多い場合にはExcelファイルの受け渡しにかなりの時間が必要になります。
また、組織変更や事業の増減などが発生した場合には、配付したExcelファイルの修正が必要となり、全ての担当者へ再配付をすることになってしまいます。

 

②柔軟性が高いがゆえの属人化
Excelは柔軟性の高いシステムですので、様々なカスタマイズが可能です。
しかし、柔軟性があるがために、属人化しやすい傾向があります。
Excelマクロが得意な担当者が当時のシステムを作成したが、異動や退職に伴って担当者がいなくなると、中身がブラックボックス化してしまい、改修できなくなってしまったという事例はよくあります。
また、予算入力担当者がExcel予算入力ファイルで行や列を勝手に増やしてしまい、ファイル収集後、うまく集計ができなくなるケースもあります。

 

③予算管理に必要な機能が不足
予算管理には予算バージョンを持てることが不可欠です。
予算策定の始まりに作成する「一次予算」、修正を入れた「二次予算」、承認後の「確定予算」、期中でも「修正予算」を作るなど、様々なタイミングで複数のバージョンを作成するのが一般的です。
しかしExcelのみでこのバージョン管理を行おうとした場合、複数のファイルやシートを作ることになります。
これによりデータの不整合や、予算管理担当者内で複数ファイルを保管するなど、様々な問題が発生する可能性があります。
また、Excelにはデータの変更履歴を記録できる機能がないため、いつ、誰がデータを変更したのかを把握することや、特定の時点へデータを戻すことが非常に困難です。

 

それでは、これらの課題を解決するような予算管理システムを選ぶためには、どのような点に留意をするべきか、整理をしていきます。

 

 

システム選定のポイント~予算データ収集の効率化

まず始めの留意点は、予算入力フォーマット及び予算データの受け渡しとデータ集計が効率的であることです。
データをEメールに添付して送る、自社にあるファイルサーバの特定フォルダに置くなど、人の手が多く介在する方法には手間と時間がかかります。
システムには予算入力フォーマットの作成や修正ができ、入力された予算データを送受信できる機能が整備されていることが必要になります。
ほとんどの予算管理システムでは専用の入力画面が用意されており、修正したフォーマットの配信やデータの提出・確認などができる仕組みは持っていますが、Excelを使って入力できるシステムやExcelと非常に似通った画面と操作性を用意しているシステムも存在します。
それらは、自社の予算入力項目と予算管理システムの入力画面を合わせることが難しそうな場合や、現場には従来のようなExcelの見た目で入力をさせたい時などには選択肢となり得ます。
システムが提供する画面に合わせて現場に入力してもらうことが最も効率的ではありますが、現場への教育コストや、操作に慣れるまでの時間などを考慮しますと、入力方法は今までと変えず、収集や集計の時間を短縮するシステムを選ぶ方が最終的には効率化が図れる場合もあります。

 

システム選定のポイント~属人化の予防

予算管理システムでは予算収集・集計の仕組みがブラックボックス化しないように、わかりやすい設定方法を有していることも大切です。
予算入力フォーマットは作りやすく修正も簡単にできるものか、組織変更や予算管理項目の
変更が生じた際に素早く対応できるか、そもそも今の設定は誰が見ても理解しやすくなって
いるか、などです。
予算入力フォーマットや予算集計後に出力するレポートなどは、組織や商品・製品の変化などに応じて修正していく必要があります。システムを選ぶ際には、それらを画面上において簡易な操作で変えていくことができるかを確認しておく必要があります。
また、予算を入力する項目となる勘定科目や組織なども、ある程度は直感的な操作で変更できるようになっていることが望ましいです。
そして、設定された予算入力項目が、予算入力フォーマットと出力レポートへどのようにつながっているのかを追いやすい仕組みを持っているか、情報システム部門のようにITに詳しい方々だけではなく、実際に予算入力フォーマットや出力レポートを作成する経理部門や経営企画部門の方々も設定操作ができるか、という視点でシステムを選ぶことも重要になります。

 

 

システム選定のポイント~充実した予算管理機能

前述しました予算データの送受信や設定の容易さも大切ですが、予算管理をシステム化するのに欠かせない要素が、予算管理に対応した機能の有無です。
予算策定時には、予算入力を担う現場部門と予算管理を担当する経理部や経営企画部の間で、「一次予算」・「一次予算の修正」・「二次予算」・・・など多くバージョンが作られ、やり取が発生します。
システムを選ぶ際にはそれぞれのデータを保持しておけるかを確認する必要があります。
また、企業によっては「十次予算」まで進む事例もありますので、何段階までデータを持っていられるのか、という点も確認しておく方が、後々で困ることがなくなります。
そして、それらの予算データのやり取りを進める上で必要になりますのが、進捗管理機能とワークフロー機能です。予算策定の業務は、現場担当者から提出→現場部門の確認・承認→予算管理部門の確認・承認→最終承認のように流れていきます。
今、部門の予算データはどのような状況にあるのか、誰が確認をしているのかなどを見ることのできる進捗管理機能があると、予算データの提出や承認の状況を各担当者に聞いて回る必要がなくなりますので、効率化に役立ちます。
また、予算管理を進める上で必須になるのがワークフロー機能です。担当者が予算を提出して、部門長や予算管理担当者が確認をした結果、承認や差し戻しが発生しますが、それをシステム上で実行できる機能がないと、結局、予算データの状態や担当者が何をすべきかなどの情報がうまく伝わらずに、予算管理業務が滞る元になってしまいます。
システムがワークフロー機能を有し、提出・確認・承認/否認/差し戻し/保留などの流れを回すことができて、一目で状況を確認できる仕組みがあることが望ましいです。

 

 

予算管理のシステム化に向けて

システム導入効果を得るためのポイントを3つの観点でご紹介しました。これらを基にして、自社の予算管理業務を効率的に進めるためには何が必要になるか、システムを導入する時には何を求めるのかを考えるヒントにしていただきたいです。
そして実際にシステムを検討することがありましたら、予算管理に関係する方々と共にシステムに求める要件を協議し、資料にまとめて選定の指標とすることをお勧めします。

 

 

 

まとめ

・Excel予算管理の課題
☑ Excelファイルを使っていると、担当者間のデータ受け渡しに時間を要する。
☑ 組織変更などが発生した場合、修正した予算入力フォーマットの再配布が必要になる。
☑ Excelは柔軟性の高いシステムだが、それゆえに設定がブラックボックスになる可能性が高い。
☑ 予算管理に必要なバージョン管理機能や変更履歴管理機能がない。
・システム選定のポイント~予算データ収集の効率化
☑ 担当者が入力した予算データを集計できる機能を持つシステムを選ぶこと。
☑ システム画面から入力する方式だけではなく、Excelから入力ができるシステムも視野に入れること。
・システム選定のポイント~属人化の予防
☑ システムの設定状況が誰にでもわかりやすいシステムを選ぶこと。
☑ 経理部や経営企画室でも変更のしやすい設定機能を持つシステムを選ぶこと。
・システム選定のポイント~充実した予算管理機能
☑ 「一次予算」や「二次予算」などのバージョン管理ができるシステムを選ぶこと。
☑ 予算入力の進捗管理やワークフローの機能を有するシステムが望ましい。
・予算管理のシステム化に向けて
☑ 予算管理システム検討時には、関係者と共に要件をまとめて資料化するとよい。

 

関連ブログ「氾濫するExcelファイル!~Excel課題の解決とその効果的活用」も併せてご覧ください。

 

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