RPAはどのように使われているのか?~販売管理業務の自動化~

2018年11月15日

 

RPAが脚光を浴び始めた頃から時間が経過し、最近、利用者である企業の興味は『どのような製品があるのか』という視点から、『どのような業務に使われているのか』という視点に変わってきているように感じます。
今回は、RPAを導入した企業が販売管理業務のエリアで、どのように活用しているのかをご紹介していきます。


 

RPAが使われやすい販売管理の業務

RPAを使った業務の自動化を考えた際にまず思い浮かぶのは、決められた形式のレポートを作成することや、作成した資料を特定のフォルダに配置するなどの定型的な業務です。
これらの定型業務がよく発生するのは経理部や人事部など、社内のデータを集計して加工することの多いバックオフィス系の部門であることは間違いありませんが、販売や調達を担当するフロント系部門でもPCを使う定型的な業務は存在していますので、RPAによる自動化が進められています。
今回はその中から販売管理に関する事例をご紹介していきますが、その前にまずはRPAが使われやすい販売管理の業務についてお伝えします。

 

■受注業務
自社が取り扱う商品・サービスに対し、顧客から注文を受けます。
注文の受け方は電話・メール・Web入力など様々ですが、受けた内容を確認し、販売管理システムの受注登録画面に情報を入力していきます。

 

■出荷業務
受注をしたのが商品であれば、納品をするために出荷を行います。
商品の梱包や出荷手配などを行いながら、注文をした顧客に対して、販売管理システムから出荷情報や納品書を出力して送付することも行います。

 

■社内向けのレポーティング業務
受注・売上計上をした商品・サービスの種類や金額に関する情報をまとめ、関係する部門やチームに配付し、状況の共有を行います。

 

これらの業務は今でも手作業が多く、定型的になりがちですので、RPAによる自動化の対象にしている企業が存在します。次からは、その事例をお伝えしていきます。

 

販売管理業務の自動化事例

ここからは事例を3点ご紹介していきます。

 

■注文情報の入力
顧客から商品やサービスの注文を受ける際にメールを活用している企業は多くありますが、注文メールをテンプレート化したり、顧客に注文明細をExcelファイルで添付してもらうことが一般的です。
注文を受けた後は営業担当者やアシスタントの社員が販売管理システムの受注登録画面を開き、顧客からのメール本文や添付ファイルを確認しながら入力をすることになりますが、入力する内容は受注日、顧客名、届け先、注文された商品・サービス、数量、希望納期など、決められた項目となり、人による判断が介在する余地はほぼありません。そのため、RPAによる自動化の対象にすることができます。
注文明細が添付されたメールを受信した場合のRPAの動きは、次のようになります。

 

①受信した注文メールを開く。
②添付されている注文明細ファイルを受注専用のフォルダ内にコピーする。
③注文明細ファイルを開く。
④販売管理システムを起動し、受注登録画面を開く。
⑤注文明細ファイルの中から、得意先や注文商品などの情報をコピーする。
⑥コピーした情報を受注登録画面で該当する項目にペーストする。
⑦全ての情報をコピーしたら、受注登録画面の完了ボタンを押す。

 

少し工夫が必要になるのは①です。RPAは人間のように、顧客から送られたメールを読んで「注文のメール」であると判断できるわけではありませんので、機械的な処理ができるようにしておかなければいけません。
例えば、件名に「注文」や「発注」などのキーワードが含まれているメールが届いたら開くように設定をする方法があります。
ただし、メールは顧客から送られるものですので、顧客には予め注文時のメール件名を固定してもらえるように依頼して、取り決めをしておく必要があります。
また、メール添付する注文明細ファイルにはパスワードをかけて送受信する運用をしていることも多いと思いますが、パスワードが固定ではなく、別のメールで送られてくる仕組みであれば、同様に件名から、対応するパスワードが書かれたメールであることを判別できるようにしておかなければいけません。

 

■顧客への出荷連絡
商品を受注してから出荷した場合、社内であれば状況を把握できますが、注文をした顧客にも伝える必要があります。その方法は様々ですが、販売管理システムから出荷明細を出力し、メールで伝えるのであれば、RPAで自動化することも可能です。手順は次のとおりです。

 

①販売管理システムを起動して、出荷明細照会の画面で出荷日の項目に本日の日付を入力し、出荷済みの案件を検索する。
②出荷済みになった案件を選択し、出荷明細のファイル出力処理をする。
③出力するファイル名には対象の顧客名をつける。
④出力したファイルを出荷専用のフォルダ内にコピーする。
⑤メーラーを起動し、出荷連絡用のテンプレートを基にメールを作成する。
⑥添付する出荷明細ファイルの名称から顧客を特定し、メールの宛先を設定する。
⑦メールに該当する出荷明細ファイルを添付し、送信する。

 

上記にはポイントが2つあります。
1つ目のポイントは③です。後に顧客宛のメールを作成することになりますが、その際の宛先を判断する材料として、ファイル名に顧客の名称を入れています。
ファイル名の情報は出荷明細照会の画面に表示される顧客名称から取得します。
2つ目のポイントは⑤です。RPAは自らメールを書くことはできませんので、出荷連絡用メールを送信させるためには、メーラーが持つテンプレート機能を使い、件名と本文が既に入っているメールを作れるように設定しておく必要があります。

 

■販売レポートの社内共有
受注や売上計上をした後、社内の関係者に向けてレポートを作成し、メールやメッセンジャーなどのコミュニケーションツールで配信する業務のある企業も多いと思います。
現状、これらを営業アシスタントの社員が手作業で行っているのであれば、以下のような手順でRPAを使って定期的に行わせることもできます。

 

①販売管理システムを起動し、社内共有するレポートを出力できる画面を開く。
②レポート出力する対象月をプルダウンメニューから選択する。
③レポートを営業チーム別に出力しているのであれば、データをチームで絞り込む。
④レポートを出力する。(チーム別であれば、ファイル名称をチーム名にする)
⑤メーラーを起動し、レポート共有用のテンプレートを基にメールを作成する。
⑥添付するレポートファイルの名称から宛先を特定し、メールに設定する。
⑦メールに該当するレポートファイルを添付し、送信する。

 

動きは顧客への出荷連絡と似ており、④以降の考え方は同じですが、RPAの設定に違いが出るケースは②の場面です。
出荷連絡の事例では日付を入力させていましたが、ここではプルダウンメニューから選択させています。RPAはメニューを選択することはできますが、それらに書かれた文字列を読んで理解することはできません。今現在が1月であるという情報をWindowsのカレンダー機能から取得したとしても、プルダウンメニューにある「1月」が実際の1月であるかは判断できないため、そのままでは選択することができないのです。
ここで必要な設定は、Windowsなどから取得した現在月を、RPAの動作条件に組み込むことです。
プルダウンメニューがマウスクリックだけではなく、カーソルキーでも選択できる前提になりますが、「取得した月が1月であれば、対象月のプルダウンメニューを選択した後に下向きのカーソルキーを1回押す」などとします。同様に2月であれば下向きのカーソルキーを2回、3月ならば3回とすることで、現在月からプルダウンメニューを選択させることが可能となります。
実際にはもっと細かい設定が必要にはなりますが、工夫次第で、人間が画面の見た目から判断するような動作もRPAにさせることができるようになります。

 

 

販売管理で自動化できる業務の傾向

販売管理の中でRPAが良く使われるのは、データの入出力と配信を要する業務です。
作業は定型的ですが、毎日のように処理をする数が多く、人による作業の工数が多くかかる業務が対象となります。
特に顧客とのやり取りに関わる業務である受注や出荷では、データの取得と配信にメールを使っているケースが多いので、何十件と作業をする場合にはメール作成だけでも一苦労です。そのため、RPAを導入した企業では、それらの時間を削減するための活用を模索しています。
今後は受注以前に発生する商談のシーンや、売上後に発生する請求の処理でも活用が進み、RPAを利用する幅が更に広がっていくのではないかと考えていますので、また新たな事例があれば、皆様にお伝えをしていきたいと思います。

 

まとめ

◆RPAが使われやすい販売管理の業務
RPAが使われやすい販売管理の業務は次のとおり。
・受注業務
顧客から取得した注文情報を販売管理システムの受注登録画面に入力する。
・出荷業務
注文をした顧客に対して、販売管理システムから出荷情報や納品書を出力して送付する。
・社内向けのレポーティング業務
受注情報や売上情報をまとめ、関係する部門やチームに配付する。

 

◆販売管理業務の自動化事例
・注文情報の入力
・顧客への出荷連絡
・販売レポートの社内共有

 

◆販売管理で自動化できる業務の傾向
販売管理の中でRPAが良く使われるのは、データの入出力と配信を要する業務である。
特に顧客とのやり取りに関わる業務である受注や出荷では、データの取得と配信にメールを使っているケースが多いが、何十件と作業をする場合には時間もかかる。
RPAを導入した企業では、それらの時間を削減するための活用を模索している。

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