J-SOX海外対応!~海外拠点における内部統制の構築の進め方~

2018年12月20日

 

今回は海外拠点における内部統制の構築の進め方についてお話しします。
国内の内部統制の構築だけでも大変なのに、海外と聞くだけでさらにどのように進めてよいかわからないというお声をお客様からよく聞きます。
海外での内部統制の構築のイメージができるよう、具体的な事例を交えながら構築の進め方についてお伝えします。


 

海外対応における内部統制構築~事前準備

まず、海外対応における内部統制構築においては、国内よりも入念な事前準備が必要です。
事前準備とは、現地の体制確認、スケジュール決定、使用言語の決定、文書のフォーマット・評価項目の決定がありますので、それぞれ説明します。

 

◆現地の体制確認
海外拠点の体制として、内部統制担当の要員が少なく、現業を抱えながら内部統制の対応を行うケースが多いです。全社統制、決算統制、IT全般統制、業務プロセス統制といった単位で、どの程度内部統制要員が存在するか現地の体制をまず確認する必要があります。
また、現地対応の担当者が日本語ができるかどうかの確認も、現地体制の確認の際あわせて実施しておいた方がよいです。

 

◆スケジュール決定
海外拠点では、国内とは切り分けた構築スケジュールを作成し、スケジュールに余裕をもたせることが留意点です。
海外拠点は物理的に距離が離れているため、対面でのコミュニケーションを取ることが難しくなります。よって、現地へのメール等での確認に時間がかかります。また、海外の人は日本よりも長期休暇を取ることが一般的なので、事前に休暇と内部統制の作業期間がかぶらないか確認した上でスケジュールを策定した方が効率的です。

 

◆使用言語の決定
内部統制で使用する3点セットや評価調書における文書の言語を決定します。例えば海外拠点に日本人が多い場合や、日本語ができる現地対応者が多い場合、これらの文書は日本語で作成できます。それは日本の内部統制監査を受けるためです。
ただし現地従業員に内部統制を浸透させたい場合は、現地語でも文書を作成する必要があります。使用言語によって作業工数が大きく変わるので、事前に内部統制で使用する文書の言語を決定することをお勧めします。

 

◆文書のフォーマット・評価項目の決定
3点セットや評価調書等文書のフォーマットおよび評価項目を決定します。
文書のフォーマットについては、使用言語問わず内部統制を初めて担当する人がわかるよう具体的な表現にした方が良いです。また評価調書の評価項目自体は国内同様監査法人と事前に協議・合意を得ておく必要があります。
国内拠点と同一の評価項目にするか、それとも海外特有の評価項目になるのか、この点も事前協議内容に含めます。

 

 

海外対応における内部統制構築~現場への教育

次に、内部統制の構築においては、現場への教育が最も重要になります。
日本の内部統制報告制度は、海外拠点にとってはなじみのないものです。現地の財務証憑監査と混同するケースが多く、なぜ内部統制を実施しなければならないかの概念を現地へ説明し、教育を行う必要があります。具体的には内部統制報告制度が制定された背景や内部統制を行う目的から始まり、全社統制とは?といった所まで話をします。
教育の際のポイントは以下の2つです。

 

①内部統制は自分たちの仕事ですでに実施されていることを説明する。
自分たちが日常的にすでにやっている業務の大半が内部統制となっており、不足があれば構築するだけという点を説明します。内部統制の構築という一般的な概念だけで話をすると現地の人は大掛かりなものだと捉えがちで、萎縮してしまいます。
具体的な日常業務を交えながら説明すると良いです。

 

②現地のルールを尊重し日本側から一方的にトップダウンで実施しないことを伝える。
現地のルールを尊重し、決して日本側から一方的にトップダウンで実行するわけではないことを伝えます。海外は特に日本のルールだから実施するということを嫌います。必要性について説いて納得感を得られたら、想像以上に現地から協力を得られます。
可能であれば、この事前教育は現地へ出向いて対面で行うことをお勧めします。

 

 

 

海外対応における内部統制構築~統制・業務内容調査

現場への教育が終わり、内部統制の理解を得られたら、実務的な内部統制の構築内容に入っていきます。現地の統制内容および業務内容の調査です。

 

◆統制内容の調査
全社統制、決算統制、IT全般統制においては、まずどのような統制が行われているか、統制内容の現地調査を行います。これらの統制においては評価項目がある程度基準で決まっています。よって統制内容も想定が付きやすいので、やり方としては評価項目ごとに統制内容の記載例を現地へ提示し、統制内容を回答してもらいます。その際に内部統制ではどのような点を評価するか評価ポイントを付け加えておくと、想定した回答が得られやすいです。

 

◆業務内容の調査
業務プロセス統制においては、3点セットを作成するために業務内容の調査を行います。
どのような業務が行われているか現地の規程やマニュアルを取り寄せます。これらの文書を参考にする目的は、あくまで業務概要をとらえるためです。海外は特にこれらの文書が更新されていないケースが多いので、あくまで業務の全体像をつかむために文書を確認します。その後、3点セットの作成に必要な業務内容を確認するために質問一覧を作成します。例えばある受注プロセスにおいてシステムを使用しているかどうかといった内容や、出荷においては外部倉庫を使用しているかといった質問です。
規程やマニュアルをずっと眺めていても得られない情報は、質問にして現地へ確認してしまうのが手です。

 

 

海外対応における内部統制構築~規程の整備

次に実施することは規程の整備です。全社統制、決算統制、IT全般統制、業務プロセス統制の統制内容や業務内容の調査で内部統制の要件を満たす規程がなかったり、記述に不足がある場合は、規程の整備を行います。規程の整備のポイントは以下の2つです。

 

①親会社の規程で管理するか子会社独自の規程を作るかの判断
規程が不足している場合は、親会社の規程の中で海外拠点を管理するか、現地固有の規程を作成するか検討が必要になります。
経理規程は現地の会計基準があるので、現地固有の規程を作成することが多いです。
一概にこうとは言えず、親会社がどこまで子会社を管理しているかによって変わります。

 

②規程整備の優先順位付け
規程を整備する際は、優先順位をつけることもポイントです。海外拠点の規程は、現地調査や決裁等で作業負荷や時間がかかるため、当年度必要最低限整備すべき規程を洗い出し、その他は次年度に持ち越すといった段階を経て整備するのも1つの方法です。
その際は事前に監査法人の合意を得る必要があります。

 

 

海外対応における内部統制構築~3点セット作成

最後に、前述で記載した業務内容の調査結果を基に3点セットを作成します。
国内同様内部統制の中では最も作業工数がかかります。使用言語により作業負荷は大きく変わりますが、その点を除いても、他の内部統制に比べて業務詳細を記載するという点や現地固有の業務内容を理解しなければいけないという点では作業工数がかかります。
3点セット作成の進め方は以下の通りです。

 

①業務フロー図・業務記述書作成
業務内容の調査結果を基に業務フロー図、業務記述書を作成します。
その際業務記述の中でどこがリスクでどの部分が統制に該当するかという点も想定します。
また承認といった統制があることを前提で記載しておくと、リスクコントロールマトリクス(以下RCM)作成時に漏れが防げます。そして現地へこれらの文書を送付し、確認します。

 

②RCM作成
業務フロー図、業務記述書を基に業務内容、統制内容が見えてきたら、最後にRCMを作成します。海外拠点の3点セットにおいては物理的に現地との確認に時間を要するので、最初からRCMを作成すると修正の作業負荷が高くなります。
業務内容等が固まるまでは、業務フロー図、業務記述書で現地とのやり取りを行うことをお勧めします。

 

海外の内部統制構築は、上記のような事前準備を入念に行い、現場への教育を行った上で、進めていくことがポイントになります。

 

まとめ

海外対応における内部統制構築~事前準備
◆現地の体制確認
事前に内部統制要員を確認(現地担当者の日本語対応可否も併せて)
◆スケジュール決定
国内とは切り分け、余裕を持たせた構築スケジュールを作成。
◆使用言語の決定
3点セットや評価調書における文書の言語の決定。
◆文書のフォーマット・評価項目の決定
文書のフォーマットを決定。評価項目の監査法人事前協議が必要。

 

海外対応における内部統制構築~現場への教育
教育のポイントは以下の通り。
①内部統制は自分たちの仕事ですでに実施されていることを説明。
②現地のルールを尊重し日本側から一方的にトップダウンで実施しないことを伝達。

 

海外対応における内部統制構築~統制・業務内容調査
◆統制内容の調査
全社統制、決算統制、IT全般統制においては統制内容の現地調査を実行。
◆業務内容の調査
業務プロセス統制においては、3点セットを作成するために業務内容の調査を実施。

 

海外対応における内部統制構築~規程の整備
規程整備のポイントは以下の通り。
①親会社の規程で管理するか子会社独自の規程を作るかの判断。
②規程整備の優先順位付け。

 

海外対応における内部統制構築~3点セット作成
3点セット作成の進め方は以下の通り。
①業務内容の調査結果を基に、業務フロー図・業務記述書を先行して作成。
②業務フロー図・業務記述書にて業務内容確定後、手戻り防止の為RCMを後発作成。

 

 

 

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