RPAはどのように使われているのか?~会計業務の自動化

2018年12月27日

 

11月15日掲載のブログでは、RPAを導入した企業が販売管理業務のエリアでどのように活用しているのかを、自動化の事例を交えてご紹介をしました。
RPAはどのように使われているのか?~販売管理業務の自動化~
今回は、バックオフィスの一角を担う会計業務の自動化事例をお伝えしていきます。


 

RPAが使われやすい会計の業務

会計業務を含むバックオフィスは、RPAを用いた自動化に適した作業が数多く存在しています。
経理部・人事部・総務部などは、社内の業務に関わる情報をシステムで扱えるデータとして収集した後に、業務システムでの集計や手作業による加工などをして、社内外に向けたレポート作成や経理管理に利用しています。
今回は会計に関係する業務の自動化事例についてご紹介をしていきますが、まずはRPAがどのような業務に使われやすいのか、お伝えします。

 

■仕訳入力業務
一般的な企業では社内で利用する業務システムが複数あり、その中には会計システムと連携しているシステムも存在しますが、特定の業務では会計システムへの仕訳ファイル取り込みや、仕訳の手入力をしているケースもあります。

 

■社内向けのレポーティング業務
会計システムの仕訳データをもとに、月次決算レポートや部門別損益レポートなどの経営管理資料を出力し、各担当に配付します。求められる報告様式に合わせて、配付前には出力したデータやExcelを加工する作業も発生します。

 

■債権管理業務
月次締め後に確定した請求額をもとに、請求書を作成して得意先に送付します。
請求書は原本を郵送する他、PDFで得意先へメール送付する場合もあります。
また、滞留債権があれば、その情報を担当の営業社員へ共有し、回収業務を行います。
請求後に入金を得た場合は、入金情報と債権データを照合し、消込みをする作業も行います。

 

上記で挙げた業務は定型的ですが、人の手作業によって処理をされていることが多いため、RPAを利用した自動化を進めている企業も存在しています。
次項からはその事例をご紹介していきます。

 

 

会計業務の自動化事例

ここからは事例を3点ご紹介していきます。

 

◆仕訳情報の入力
販売管理や固定資産管理などの業務システムは会計システムと連携し、業務データを仕訳として連携できる仕組みを構築しているケースが多いですが、個別にExcelで作成した情報や紙の資料や証票から、会計システムに仕訳を手入力することも発生します。
Excelからの転記や手入力が必要な場合も、処理方法は定型的なことが多く、会計システムの入力項目も決まっている場合がほとんどです。そのため、特にExcelからの転記は、RPAの自動化の対象にすることができます。
Excelから仕訳を転記する場合のRPAの動きは、次のようになります。

 

①特定のフォルダに置かれた対象のExcelファイルを開く。
②会計システムを起動し、仕訳入力画面を開く。
③仕訳入力画面で、Excelファイルから転記するための定型仕訳を選択する。
④Excelファイルから、発生日・金額・摘要などの情報をコピーする。
⑤コピーした情報を仕訳入力画面で該当する項目にペーストする。
⑥全ての情報をコピーしたら、仕訳入力画面の完了ボタンを押す。

 

入力対象となるExcelが複数種類ある場合は、RPAの設定に多少の工夫が必要となります。
RPAはExcelの内容から、会計システムでどの定型仕訳を選べばよいのかを判断できません。
そのため、機械的な処理ができるようにしておく必要があります。
例えば、Excelのファイル名に「売上」や「仕入」などを入れておき、それらに応じた定型仕訳を選択するように分岐を設定しておく方法があります。

 

◆社内向けレポートの出力と共有
月末月初や月次締め後に会計システムから、部門責任者や役員に向けた損益レポートや各種の経営管理資料を出力し、メール等で配信する業務があります。
これらも定型的かつ定期的な業務ですので、RPAに処理をさせることもできます。

 

①会計システムを起動し、対象のレポートを出力できる画面を開く。
②レポートの種類や対象月を選択する。
③レポートを部門別に出力しているのであれば、データを部門で絞り込む。
④レポートを出力する。(部門別であれば、ファイル名称を部門名にする)
⑤メーラーを起動し、レポート共有用のテンプレートを基にメールを作成する。
⑥添付するレポートファイルの名称から宛先を特定し、メールに設定する。
⑦メールに該当するレポートファイルを添付し、送信する。

 

実際には、レポートを受ける対象者や部門によって必要なレポート様式が異なることがありますので、レポート出力後には加工をする場合が多くあります。
作業発生のタイミングは④と⑤の間ですが、その場合も、加工方法が定型的であればRPAで自動化することで人手を省き、業務効率を上げることが可能です。

 

◆請求書データ出力と得意先へのメール送付
毎月の売上が確定した後は、取引のあった得意先へ請求書を送りますが、メールにPDFの請求書ファイルを添付して送る企業も多いと思います。
一件一件、メールの宛先と添付ファイルが異なるため、債権管理担当の社員が手作業で実施しているケースがほとんどであると思いますが、以下のような手順でRPAを使い、自動化することも可能です。

 

①会計システムを起動し、請求書出力の機能を選択する。
②請求書出力の画面で締めの月度を選択し、対象となる得意先を表示する。
③表示された得意先を選択し、請求書出力でPDFデータを作成する。(ファイル名には得意先名称を入れる)
④メーラーを起動し、請求書送付用のテンプレートを基にメールを作成する。
⑤添付するレポートファイルの名称から宛先を特定し、メールに設定する。
⑥メールに該当する請求書ファイルを添付し、送信する。

 

③で請求書のPDFデータを作成しますが、⑤で顧客宛のメールを作成する際の宛先を判断する材料として、ファイル名に顧客の名称を入れています。
ファイル名の情報は請求書出力画面に表示される顧客名称からコピーします。
この事例では⑥で送信まで行っていますが、誤ったファイルが送られるリスクを懸念して、⑤の状態で一度、人の目によるチェックを入れている企業もあります。

 

 

会計で自動化できる業務の傾向

会計の領域でRPAが使われやすいのは、定型的なファイルからの仕訳転記やデータ出力に関する作業です。会計は企業の活動結果を数値化する大切な業務ですが、繰り返し作業も多くありますので、その辺りの工数を削減するためにRPAを導入したり、活用される企業も増えています。
開示を含む決算業務のエリアにおいても、作業は定型と非定型に分けることができますので、今後はRPAを効率よく使い、決算早期化にも役立てる企業が出てくるのではないかと考えています。

 

 

 

まとめ

◆RPAが使われやすい会計の業務
RPAが使われやすい会計の業務は次のとおり。
■仕訳入力業務
Excelで作成した情報を会計システムの仕訳入力画面に入力する。
■社内向けのレポーティング業務
会計システムから損益レポートや経営管理資料を出力し、関係者に配付する。
■債権管理業務
月次締め後に請求書を作成し、データを得意先に送付する。

 

◆会計業務の自動化事例
■仕訳情報の入力
■社内向けレポートの出力と共有
■請求書データ出力と得意先へのメール送付

 

◆会計で自動化できる業務の傾向
会計業務の領域でRPAが使われやすいのは、定型的なファイルからの仕訳転記やデータ出力に関する作業である。
会計の業務は繰り返し作業も多いので、その辺りの工数を削減するためにRPAを使っている企業も増えている。
今後はRPAを使った決算早期化など、利用の幅が広がる傾向になることが考えられる。

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