業務プロセス統制実効性向上~費用対効果を高めるための取り組み事例~

2019年01月10日

業務プロセス統制実効性向上

 

内部統制対応を進める中で、費用対効果を感じられないという声を聞くことがあります。
内部統制報告制度は法制度対応ではありますが、法制度対応にとどまらず、内部統制対応による効果を向上させていきたいとお考えになっている担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、内部統制対応の中でも、業務プロセス統制の対応を通じ、実効性向上に取り組んでいる事例を紹介したいと思います。

 


 

内部統制の実効性が上がらない理由

「法制度対応以外に、内部統制対応の効果が感じられない」とお悩みを聞くことがありますが、実態を見ると、前年度と同じやり方を踏襲し、評価方法の改善や見直しが行われていないことが見受けられます。では、どうして前年度と同じやり方を踏襲してしまうのでしょうか。
以下にいくつか理由を挙げていきます。

 

①業務プロセス統制評価に忙殺され、取組みを先送りしてしまう。
⇒内部監査部門のリソースが不足しており、改善活動まで手が回っていない。
②業務プロセス統制評価の効果を出す方法が分からない。
⇒そもそも、どのように改善するべきかのノウハウが不足している。
③実効性向上に向けた計画を検討したいが、どこから手を付けるべきかわからない。
⇒改善の手法は検討しているが、優先順位を判断できない。

 

内部統制の実効性を上げるためには、費用対効果を向上させる手法を体系的に整理し、段階的に取り組むことがポイントになります。

 

また、実効性の向上に向けた取り組みを検討する前に、内部統制評価作業の効率化進めることをお薦めします。内部統制評価の効率化を進め、評価工数が削減された分、改善活動に注力させていくことが望ましいと考えています。

 

内部統制評価の効率化については、以下の記事をご参考にしてください。
内部監査部門の負荷軽減~全体から部分へと進める内部統制評価の効率化
業務プロセス統制評価の効率化~プロセスの統合・3点セット簡素化~

 

 

業務プロセス統制実効性向上の切り口

次に、業務プロセス統制の実効性を向上させるために、どのような検討をするべきかを説明します。業務プロセス統制の実効性向上とは、「統制強化」と「業務改善」に活かすことだと考えています。

 

統制強化の切り口として「不正の防止」「誤謬の抑制」があり、業務改善の切り口として「業務の効率化」「業務の標準化」があります。内部統制上のリスクとなる不正や誤謬に加え、業務改善に向けて、効率化・標準化という順番で進めるのが良いと考えています。業務プロセスのリスクとして、不正や誤謬のリスクを設定していますが、統制や評価が形式的になっていることもあります。

 

また、業務プロセス統制の実効性を向上させるためには、場当たり的な対応ではなく、統制強化や業務改善等、目的を明確にし、対策を実行していくことがポイントになります。実効性向上の対策は、一部署で試験的に実施し、改善した後に他部署に横展開することをお薦めします。一部署での効果を検証した上で、全社展開する方が手戻りの発生を防ぐことができます。

業務プロセス統制実効性向上の切り口

 

業務プロセス統制実効性向上の取り組み~統制の強化~

では、業務プロセス統制の実効性向上に向けた「統制の強化」の取り組みについて、紹介します。まずは、「不正の防止」に向けた取り組みを紹介します。
不正の「機会」をなくすには、①管理者の監視管理・②職務分離・③業務のローテーションといった手法が挙げられます。①管理者の監視管理・②職務分離については、内部統制対応を通じ、チェック機能や承認の徹底、担当者と承認者の分離といった整備が進みました。しかし、業務のローテーションについては、なかなか進んでいない企業様も多いです。業務の属人化が進むと不正の温床になっていきます。一方で、なかなか業務の引継ぎができず、
ローテーションができないといった実態もあるようです。

 

業務のローテーションを行えるようにするため、3点セットを基に業務で作成している証憑に着目し、証憑の作成方法を標準化し、他の担当者でも対応できるようにします。
以下のような手順で進めます。

 

手順①3点セットから業務に使用する証憑を洗い出す。
手順②業務引継ぎの優先度を決め、対象業務の証憑を選定する。
手順③証憑やチェックリストを改善し、業務を引継ぎ易くする。
手順④業務を後任者に引継ぎ、業務ローテーションを実施する。

 

「業務ローテーション」を促進し、不正を防止する体制を構築することがポイントになります。

 

次に、「誤謬の抑制」に関する取り組みについて、説明します。
誤謬が起きる原因として、内部統制の意識が欠如し、ルールが遵守されないことがあります。
また、担当者の異動により、過去の問題点等が共有されず、誤謬が再発するというケースも見受けられます。そこで、内部統制ルールを繰り返し伝えることで、担当者に意識を浸透させる必要があります。

 

内部統制の意識を浸透させる方法を以下に挙げていきます。
事例①内部統制勉強会
毎年評価を開始する前のタイミングに、内部監査部門が評価対象部門に対し、内部統制の啓蒙を行う。

 

事例②過去に起きた不備事項の周知・徹底
四半期毎に、評価対象部門に対し、過去に起きた不備事項一覧を回覧する。

 

事例③評価ポイントの周知・徹底
毎年評価を開始する前のタイミングに、設定されているコントロールに対する評価ポイントを纏めた資料を配布し、コントロールの徹底を促す。

 

定期的に繰り返し「内部統制ルールの浸透」を行うことが誤謬の発生を防ぐポイントになります。

 

 

業務プロセス統制実効性向上の取り組み~業務改善~

次に、業務プロセス統制の実効性向上に向けた「業務改善」の取り組みについて、紹介します。まずは、「プロセスの効率化」に向けた取り組みを紹介します。

 

業務プロセス統制の評価を通じ、業務内容を把握し、様々な証憑を収集しています。
収集した証憑を分析し、不要なものを削減することにより、効率性を高めていきます。
業務プロセスの証憑にヒアリングをする中で、担当者様から以下のような話を聞くことがあります。
以下のような証憑は、不要な証憑である可能性があるため、必要性の検証を行います。
「前任者から引き継いでいるが、作成の意図が分からない」
「J-SOX対応のためだけに作成している」
「他の部署から必要と言われているので作成している」

 

以下のような手順を踏み、証憑の削減を行い、業務プロセスの効率化を進めます。

 

手順①3点セットの簡素化
3点セットの簡素化を進め、コントロールに必要な証憑を明確にする。
手順②証憑の一覧化
3点セット簡素化の過程で、3点セットに記載する必要がなくなった証憑を一覧化する。
手順③作成目的の確認
記載する必要のなくなった証憑一覧の中で、作成目的が不明瞭の資料は削減する。
手順④証憑の改善
コントロールに必要な資料については証憑を改善し、資料作成効率の向上を図る。

 

3点セットを活用し、使用目的の不明確な証憑を洗い出し・削減を行います。

 

次に、「プロセスの標準化」に関する取り組みについて、説明します。
下の図のように、各プロセスの3点セットを比較すると、業務の差異が見えてきます。
同じプロセスでも、部品と原料の違い等により、業務が異なっていることがあります。
この点に着目し、業務を標準化できないかを検討します。
業務の本質を整理すると、「①計る⇒②記録する⇒③照合する⇒④承認」という進め方になります。部品のプロセスで行っていた承認行為を原料のプロセスでも運用することにより、業務プロセスの品質を高めることができます。
プロセスの差異をなくすことで内部統制水準の底上げを図ります。

 

業務プロセス統制評価において、3点セットの作成や証憑の収集を行い、業務が明確化されたという効果があります。また、業務が明確化することにより、問題点が洗い出され、効率化や標準化のヒントも出てきているはずです。
業務プロセス統制の効果をうまく活かし、「統制の強化」「業務改善」に活かしていただければと思います。

業務プロセス統制実効性向上の取り組み

 

 

まとめ

・内部統制の実効性が上がらない理由
☑前年度のやり方を踏襲しているため、内部統制の実効性が上がらない
☑費用対効果を向上させる手法を体系的に整理し、段階的に取り組む
☑実効性の向上に向けた取り組みを検討する前に、内部統制評価作業の効率化を進める

 

・業務プロセス統制実効性向上の切り口
☑統制強化の切り口として「不正の防止」「誤謬の抑制」、業務改善の切り口として「業務の効率化」「業務の標準化」がある
☑場当たり的な対応ではなく、目的を明確にし、対策を実行する
☑実効性向上の対策は、一部署で試験的に実施し、改善した後に他部署に横展開する

 

・業務プロセス統制実効性向上の取り組み~統制の強化~
☑3点セットを基に、証憑を分析し、証憑の作成方法を標準化することで、業務ローテーションを行う
☑定期的に繰り返し「内部統制ルールの浸透」を行うことにより、誤謬の発生を防ぐ

 

・業務プロセス統制実効性向上の取り組み~業務改善~
☑3点セットを活用し、使用目的の不明確な証憑を削減する
☑プロセスの差異をなくすことで内部統制水準の底上げを図る

 

業務プロセス統制の内容について、以下にアップしております。
こちらも合わせて、ご確認ください。

 

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手元に置きたい評価マニュアル~業務プロセス統制の運用状況評価方法

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