RPA導入は難しい?~中小企業におけるRPA導入事情~

2019年10月17日

 

ビジネス雑誌やネットニュース等で、大手銀行や保険会社、最近では地方自治体がRPAの導入により何千時間もの工数削減に成功した、という記事を何度か目にしたことがあると思います。
いずれも日本の名だたる大企業ばかりが取り上げられているように思えますが、中小企業において、RPAの導入は進んでいるのでしょうか。
日本に存在するおよそ380万の企業のうち、99%強が中小企業という現状があります。それらの企業にもRPAが展開されていけば日本経済全体へも、非常に大きな影響を与えるはずです。
しかし、最近のある調査によると、中小企業におけるRPAの導入率は3%と低い数値であることが発表されました。
低迷している理由、また中小企業にとってRPAを導入するメリットはあるのでしょうか。

 


日本企業における最近のRPA導入事情

RPAという言葉を見聞きするようになって、もう数年が経つのではないでしょうか。
RPA自体は、以前から存在しているものではありますが、日本では働き方改革の推進に伴い急激に広まったITシステムの1つです。
数年が経った今、果たしてRPAはどの程度日本企業に浸透しているのでしょうか。
実際のデータから見ると、2016年度はおよそ8億円程度の売上規模だったものが、2018年度には88億円程度にまで伸びています。
そして、2022年には400億円程度にまでなることが予測されており、かなりの勢いで日本企業に浸透してきていると言うことができます。
また売上規模だけではなく、RPAという製品自体もこの数年で大きく進化しています。
海外から新たに上陸した製品もありますが、国内ベンダーによるRPA製品が増えています。
画面が全て英語表記であったRPAから、日本語で不自由なく利用できるRPAが増えてきました。
そして、RPAベンダーが提供するサービス形態も併せて増えています。クラウド型で提供するという物理的な変化もありますが、正式な導入前の無料トライアルを提供するベンダーや、eラーニングを利用した教育支援サービスを提供するベンダーなど、それぞれのベンダーが独自のサービスの提供を始めています。
企業にとっては、数年前に比べ製品選択の幅も広がり、様々なサービスにより導入のハードルは低くなったと考えられます。
未だ中小企業のRPA導入率はわずか3%にとどまっている原因はどこにあるのでしょうか。

 

 

中小企業においてRPA導入が進まない理由とは

中小企業においてRPA導入が進まない理由はいくつかあります。
大企業は存在する部門や在籍する社員数が多いため、定型業務や1つの業務を大量に行うパターンが多いです。
そのため、定型業務や大量業務を得意とするRPAによって、ミスの削減、時間短縮等、多くのメリット、効果を受けることができます。
しかし、中小企業は存在する部門数も少なく、当然社員数も少なくなるため、大企業にはよく見受けられるような年間数千時間かけているような大きな業務があまりありません。
また、ライセンス料はもちろんですが、RPA用の新しいパソコンの調達などハード面の整備、外部企業に導入支援を求めた場合の費用等、導入に高額な費用がかかるのでは?」と、費用面で大きな不安を抱いている企業が存在します。
つまり現状では、RPAの費用対効果を考えた時に、得られる効果が少ないと判断する企業が多いため導入が進まないのです。
また、もう一つの大きな要因として、導入難易度を懸念する企業が多いことが挙げられます。
大企業には必ずと言っていいほどある「情報システム部」など、社内システムを管理するような専任の部門がある中小企業は、多いとは言えません。
そのため、RPAと言われても、RPAを動かすための環境構築やインストール作業等、ある程度のシステムノウハウが必要になると、一気にハードルが高く感じられます。中小企業には社内サーバーやネットワークについてはもちろん、ITリテラシーが低い社員が比較的多く在籍するため、「RPAの導入はうちの会社には難しい」と感じている中小企業が多いようです。
上述したようなRPAに対するイメージが、中小企業への導入を妨げている大きな障害となっていると言えるでしょう。

 

 

中小企業がRPA導入するメリット

中小企業でRPA導入が進まないのは、「費用対効果」や「導入難易度」への不安要素が強く、導入効果を見いだせていないでからではないでしょうか。
しかし、実際には中小企業でもRPAを導入することで大きなメリットを受けることができるのです。

 

「費用対効果」への不安に対して
現在、人材の確保を課題としている中小企業は数多く存在しています。中小企業全体のうち約60%の企業が「人材不足」を経営上の課題としている、という調査結果も存在します。少子高齢化等による労働人口の減少により、大企業でも人材確保に苦戦している時代が始まっています。
福利厚生や給与、労働環境面等、大企業と比較されると中小企業はますます劣勢になり、採用広告を出しても欲しい人材が来ない、そもそも応募が少ない、そういった状況はこれから先も続くことが想定されます。
RPAを導入することで新たな人材の採用(採用コストをかけることなく)を行わなくてもロボットが新たな従業員、また従業員の変わりとなり業務を行います。
採用コストや年間の人件費と比較すれば、かかるコストは大きく削減できます。
教育コストもかからず、ミスもしない、365日24時間作業ができるRPAは、とても費用対効果が高いツールではないでしょうか。

 

「導入難易度」への懸念に対して
実はRPAの導入は想像より、難易度が低いことが多いです。
ロボットの開発自体は、プログラミングスキルが不要の製品がほとんどであり、自身で行うマウス操作を記憶し、ロボットを開発できる製品もあります。
また基幹システムのようにサーバー内部の設定やネットワークの設定をせず、自身で利用している1台のPCから初められるものもあります。
システムに精通した人間がいなくても、情報システム部のような組織が存在しなくても、手軽に導入を始めることができます。
またe-learning等を使ったロボット開発支援のサポートサービスやロボット自体の開発まで請け負うRPAベンダーも存在するため、導入工数自体を抑えられるケースもあります。
中小企業にとってRPAは、他のシステム導入に比べ、とても着手しやすい新たなツールではないでしょうか。

中小企業においてRPAを導入する際のポイント

前述したとおり、これからは中小企業こそがRPAを積極的に検討すべきで、また中小企業にとっても導入がしやすい状況になりつつあるのです。
では、RPAを導入するにあたり中小企業はどのような点を重視し進めていけばよいのでしょうか。
1つ目は「RPAベンダーのサポート体制を重視」すべきという点があげられます。
RPA製品の決定、そしてRPAに実行させる業務が決まった後は、実際にRPAでロボットを作成していく必要があります。
前項で記載したようにマウスの操作を記憶して簡単にロボットを作成できますが、不明点や運用に関する相談等が発生した場合に備え、サポート体制がしっかりしているベンダーを選択する方がよいです。
2つ目のポイントは「個人のパソコンで動くRPAを選択する」ことです。
実はRPAには大きく2種類あります。サーバーにインストールし、サーバー内で動作するものと、個人で利用しているパソコンにインストールし、そのパソコン内で動作するものになります。大企業では大量処理が一度に実行される場合もあるので、サーバー内でロボットを管理、実行が可能なサーバー型を選択する場合もあります。
しかし中小企業の場合、業務担当者が自身のパソコン内で様々なソフトを利用し業務を行っている場合が多いです。
そのため中小企業の場合は、業務担当者が利用しているパソコン内で設定や動作するRPAツールを選択することが重要です。
サーバー型に比べライセンス料も安いため、中小企業にとっては利用しやすいツールでもあると思います。

 

 

大企業にとっては当たり前になりつつあるRPAですが、中小企業にとっては未だ利用が進んでいません。
大企業によるRPAの成果が取り上げられていく中で、もしかしたら中小企業の多くは「RPAは大企業向けのツール」、「中小企業には難しい」というような大きな偏見を持っているのかもしれません。しかし、中小企業だからこそ得られるメリットもあり、中小企業向けのRPA製品も増えつつあります。
人材不足や業務効率化が求められる中で、ぜひこの機会に改めて、RPAの導入を検討してみてはいかかでしょうか。

 

 

まとめ

日本企業における最近のRPA導入事情
・2022年には、400億円程度の市場規模へ
・中小企業のRPA導入率はわずか3%
中小企業においてRPA導入が進まない理由
・大企業に比べ費用対効果が悪いという先入観が存在している
・情報システム部等がないため、導入ハードルが高いのではという懸念を持っている
中小企業がRPA導入するメリット
・人材の確保、人件費の削減
・他システムに比べ導入が容易
中小企業においてRPAを導入する際のポイント
・RPAベンダーのサポート体制を重視
・適切なRPA製品の選択

 

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