内部監査人のあるべき姿勢・考え方~新任の内部監査の方へ

2019年12月26日

 

内部監査という仕事は、ガバナンス強化という観点から、会社にとって近年非常に重要な役割になっています。求められることも幅が広く、専門的な知識が必要となる場面もあります。
しかしながら、新任の方は、基本的な内部監査の目的や内部監査人としての意識のあるべき姿を知ったうえで内部監査という仕事をしなければ、間違った方向になります。

 

今回のブログは、異動等で新任の内部監査人になる方や内部監査という仕事について興味のある方向けに、国際基準の一つである内部監査人協会(IIA)の基準を参考にして、内部監査の使命や内部監査を行う上での基本原則等をわかりやすく説明したいと思います。

 


内部監査の使命

まず、「内部監査の使命」の理解から始めることが大切です。
内部監査人協会(IIA)の定める「内部監査の専門的実施の国際基準」を確認してみましょう。
内部監査は以下のように定義されています。

 

内部監査は、組織体の運営に関し価値を付加し、また改善するために行われる、独立にして、客観的なアシュアランスおよびコンサルティング活動である。内部監査は、組織体の目標の達成に役立つことにある。このためにリスク・マネジメント、コントロールおよびガバナンスの各プロセスの有効性の評価、改善を、内部監査の専門職として規律ある姿勢で体系的な手法をもって行う。

 

簡単に言い換えると、「内部監査をすることにより、組織体の運営に関し価値を付加し、また改善することであり、組織体の目標達成に寄与すること」です。
業務の状況を確認して終わりではありません。その状況から会社にとってどうあるべきかを考え、会社が目標を達成する為、必要に応じて改善案を出す必要があります。
以前の内部監査は指摘することがゴールでしたが、最近では改善まで行うことが内部監査部門に求められます。
そういう意味では大変ではありますが、会社を良い方向に進めることのできる数少ない部署です。
この使命を胸に内部監査の業務に携わることで、どのように仕事を進めるか、どう取り組むべきなのか、自然と道が開けると思います。迷ったらこの使命を思い出してください。

 

 

基本原則~誠実性と専門性

「内部監査の専門的実施の国際基準」では、内部監査人と内部監査部門がその職責を果たすための10個の基本原則を定めています。
その基本原則を理解し実践することが内部監査人として求められます。
10個の基本原則の中からいくつか紹介しながら、内部監査人になる方に向けて、内部監査人としてのあるべき姿や考え方を解説していきたいと思います。

 

まず一つ目、「誠実性を実践により示すこと」です。
内部監査でいう誠実性とは、法律はもちろん、社内規程、社会的に求められる道徳的な事柄も含めて厳守することです。内部監査人が誠実であることは、監査という行為を行う基礎となります。
簡単に言うと、もし社内規程を守っていない内部監査人に監査され指摘されたら、指摘を受けた側の人はどう思うでしょうか。当然、規程を守っていない内部監査人に指摘されたくないと思うでしょう。
誠実性がなければ内部監査人が信頼されることはありません。内部監査人は普段からの言動も意外と見られていますので、気を付けなければなりません。

 

次の基本原則は「専門的能力と専門職としての正当な注意を実践により示すこと」です。
当然ですが、内部監査の流れを知らないと内部監査できません。内部監査の実務の流れを知る必要があります。ただ、内部監査の流れ自体はそれほど複雑なものではありませんので、新任の内部監査人の方は書籍等で内部監査の流れを理解してください。
一方、監査の技術や手法については、実務経験を積みながら、徐々に習得していけばよいと思います。
そして、内部監査人としては会計・財務の知識、経営管理、リスクマネジメントに関する知識、法令に関する知識、問題点を把握するための計数的分析、情報システムの知識等も持ち合わせる必要があります。そのような知識、技能を持つことによって、直面する色々な事態において自らの信念を形成することができ、客観的判断を下すことが可能になります。
逆に知識、技能がないと、監査で指摘もできませんし、良い提案もできません。ただ、一朝一夕で身につくものではありませんので、自分の中でどう身につけていくか計画を立てていくことをお勧めします。

 

基本原則~独立性

次に内部監査人として理解したいことは、「社内での内部監査の位置づけ」です。
基本原則の中に「独立的・客観的で不当な影響を受けないこと」というものがあります。
独立的とは各部門から影響を受けないように、各部署には属しないということです。
属してしまうと属している部署に対して指摘しづらくなります。例えば、経理部門の下に内部監査部門を設置したらどうでしょう。
経理部門で問題があって指摘したくてもできません。それは、指摘してしまって降格されるかもしれないと思いながらでは十分な指摘ができないからです。よって、内部監査部門は監査対象になる実務部門には属さないことが求められます。
具体的には、内部監査部門は社長直下であったり、取締役会や監査役会に属すことが多いです。
いずれも実務部署でなく、内部監査部門が監査する対象ではないからです。
このような独立性が求められる部門だということを理解しておくべきです。

 

基本原則~見識と未来志向

内部監査人として、どのような意識を持つべきかというと、基本原則には次のような項目があります。
「見識に富み、率先的で、未来志向であること」

 

世の中は変化しています。また、会社も変化していきます。その中で内部監査人としてその変化に対応しなければなりませんし、常日頃から、会社のこと、社会情勢に対しても興味を持って見識を増やしていかなければなりません。見識を増やさなければ本来指摘するべき内容を見逃してしまいます。
そして、未来志向とありますが、監査は、指摘をするという立場上どうしても後ろ向きなイメージを持ってしまいがちです。
しかしながら、何のために監査をするかをいつも意識すべきです。過去や今の為に監査をしているのではないのです。
未来のことを見据えた監査にしましょうということです。
未来とは当然、良い未来です。良い未来とは「会社の業績が伸びること」「各従業員がモチベーションの高い状態で働けること」等色々ありますが、その達成のためには内部監査をすることによりどう寄与することができるかということを監査前、監査中、監査後も、常に意識すべきです。
監査というとあまり良いイメージを持っていない方は多いと思いますが、明るい未来を作るための監査をしていると考え行動すれば、いずれ内部監査は会社にとって必要な存在になり、内部監査人としても、やりがいを感じることができると思います。

 

これから監査をはじめる方には、ぜひ「未来志向」を意識して監査してもらいたいと思います。

 

基本原則~コミュニケーション

最後に、内部監査の進め方を説明したいと思います。
基本原則に「効果的なコミュニケーションをとること」という項目があります。
内部監査を行うにあたり重要な項目ではないかと思います。
理由としては、内部監査は指摘することが多くあります。その指摘をするときに信頼関係が築けていないと、相手は聞く耳を持ってくれず、改善につながりにくくなります。
いくら監査部門には監査をする役割があるので言うことを聞けと言っても、相手も人間です。
よって、コミュニケーションをとり信頼関係を築くことは、有効的な内部監査をするためには不可欠なことです。
しかしながら、コミュニケーションをただ単に取ればいいというものではありません。
ここで「効果的な」がポイントとなります。言い換えると、「信頼しあえる関係を構築し、監査する側、される側が本音で話ができ、一緒に改善できる関係の構築」が求められます。

 

今回は国際基準の一つである内部監査人協会(IIA)の基準を参考にして解説いたしました。
参考基準ですので、自社に合う監査を自社で考えていただければと思います。

 

 

まとめ

内部監査の使命
「内部監査をすることにより、組織体の運営に関し価値を付加し、また改善することであり組織体の目標達成に寄与すること」
内部監査部門は会社を良い方向に進めることのできる数少ない部署である。
基本原則~誠実性と専門性
誠実性…内部監査人が誠実であることは、監査という行為を行う基礎となる。
専門性…内部監査の実務の流れを理解し、監査に必要な知識を習得する必要がある。
専門性を高めることによって、直面する色々な事態において自らの信念を形成することができ、客観的判断を下すことが可能になる。
基本原則~独立性
独立性…より客観的な監査を行うためには内部監査部門は独立性を保つ必要がある。
基本原則~見識と未来志向
見識に富むこと…常日頃から、会社のこと、社会情勢に対しても興味を持って見識を増やしていかなければならない。
未来志向…内部監査は良い未来を作るサポートを行うという意識をもって監査に臨むべき。
基本原則~コミュニケーション
効果的なコミュニケーションをとる…コミュニケーションをとり信頼関係を築くことは、有効的な内部監査をするためには不可欠なことである。

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