見直さなくて大丈夫?〜バックアップ手段を整理する~

2020年01月23日

 

昨年、2019年は日本各地で台風等による災害が多発する一方で、銀行系や決済システムの障害なども多かった一年ではなかったでしょうか。
BCPやシステムのバックアップについて、「ノウハウがない」、「仕組みはあるが古く、最新の技術ではない」そう感じていた企業は、もしかしたら大きな被害を受けたのかもしれません。対策をしている企業の中でも、不安を感じた企業があると思います。
企業が持つデータの役割や価値が高まっている中で、BCP対策の一つでもあるデータバックアップについて、改めてその手段を整理し、重要性を検証してみたいと思います。

 


BCPから考えるバックアップの重要な観点とは

そもそもバックアップはなぜ必要なのでしょうか。
インターネットの普及はもちろん、IT技術の進化によって、企業が扱うデータ量は格段に増加しています。
また、データの価値自体がとても高くなり、重要度も以前とは比較できないほど高まっています。
最近よく耳にするAIも、データが存在しなければ何もできないIT技術の1つです。
しかし、データは「人為的なミス」、「システム障害」、「自然災害」など様々な要因によって消失、破損する危険性が常にあります。
このような様々なリスクからデータを守るために、バックアップが必要となります。
そして重要事業を中断させない、少しでも早く復旧させる、というBCPの観点から考えると「バックアップ対象」「復旧に必要な工数」「復旧時間」の3点についてしっかりと理解、把握しておくことが重要だと思います。
バックアップデータが存在していても、あまりにも復旧に時間がかかるようであれば、BCPの早期復旧という点で未達成となります。

 

3点について少し説明を加えたいと思います。
・バックアップ対象
「バックアップ対象」とは、簡単に言うと何をバックアップするかです。
つまりどのデータがあれば業務を再開できるかを考える必要があります。全てのデータが必要なのか、一部のデータさえあれば復元ができる、業務は再開できるのか、を検討しておく必要があります。
・復旧に必要な工数
「復旧に必要な工数」については、復旧のための工数がどの程度必要なのか理解しておくことが必要となります。
仮に毎日バックアップを取得していても、復旧作業に工数が必要であれば、万が一の場合に従業員不足等で迅速な対応ができなくなるといった可能性もあります。
・復旧時間
「復旧時間」は復旧までにどれくらいの時間がかかるかということです。
あまりにも時間がかかるようであれば、BCPの事業継続という点において、目的を達成することができなくなります。

 

次項では、バックアップ方法にはどのようなものがあるのか、改めて整理していこうと思います。

 

 

システムバックアップのメリットデメリット

バックアップの方法は、大きく「システムバックアップ」、「データバックアップ」の2種類があります。
システムバックアップとは、OSやアプリケーション、各種設定をシステム環境丸ごとバックアップする方法です。
システム環境丸ごとバックアップを取るため、アプリケーションソフトの再インストールやOSの初期設定等を行う手間を省くことができます。
多数のアプリケーションを利用している、設定が複雑なものを利用している場合は、システムバックアップが最適かもしれません。
システムバックアップのメリットとデメリットを挙げると以下のようになります。

 

メリット
・バックアップ対象を検討、選択する手間が不要になる。
・OSを丸ごと復元することが可能になる。
デメリット
・同じスペックのマシンが必要になる。
・同じスペックのマシンが必要になるため調達コストがかかる。
・システム環境の容量が大きいとバックアップ取得に時間がかかる場合がある。

 

上記のメリット・デメリットを、BCPの観点に当てはめてみましょう。
バックアップ対象→システム環境すべて
復旧に必要な工数→少ない
復旧時間→短い

 

システムバックアップは事業が停止する恐れがある場合の対策として有効と言えるのではないでしょうか。
初期設定を省けるので、同じスペックのマシンさえあれば最小限の工数、時間で復旧できる可能性が高まります。

 

 

データバックアップのメリットデメリット

一方のデータバックアップは、業務で使うデータのみをバックアップする方法です。
データが破損・消失した場合は、データバックアップを取っておくことで復旧が可能で、ファイルやフォルダ単位だけではなく、データベースに格納されているデータも同様です。
データバックアップのメリットとデメリットは以下のように挙げることができます。

 

メリット
バックアップとして必要なデータを必要な単位で選択することができる。
・バックアップ取得に必要な時間が短くて済む。
・異なるスペック・OS の機器へも復元が可能である。
デメリット
・必要分のデータしか保護していないためにシステム全体に障害が発生した場合は復旧できない。

 

またデータバックアップには「フルバックアップ」差分バックアップ」「増分バックアップ」の3種類の方法があります。

・フルバックアップ
データを全てバックアップする。後述の「差分バックアップ」、「増分バックアップ」を利用する場合でも、最初の1回は必ずフルバックアップになる。全てのデータを保存可能なため安心してデータを保管できる。

 

・差分バックアップ
一定期間毎に変更された内容を都度保存していく。
復元したい地点を指定できるが、データ量は徐々に増えていくため、定期的に整理する必要がある。

 

・増分バックアップ
前回のバックアップから、増えたデータのみをバックアップする。
保存するデータ容量に無駄は無いが、一部分しか保管ができない。

 

フルバックアップは対象のデータを全て保存するため、場合によっては大きな容量が必要となります。
データの復元という点で考えた場合、差分バックアップの方が作業回数が少なく済むため、フルバックアップと差分バックアップを組合わせるケースが多いです。

 

データバックアップのメリット・デメリットを、BCPの観点に当てはめてみましょう。
バックアップ対象→ファイルやフォルダを都度選択することができる
復旧に必要な工数→大きい
復旧時間→長い

 

データバックアップの場合、データの消失や破損といった事象については復旧が可能です。
業務継続に最低限必要なデータのみを対象とすることで、バックアップの取得時間そのものを減らすことも可能かもしれません。
しかし、マシンそのものを失っている場合、一からマシンの設定をする必要があり、膨大な時間を要します。
バックアップデータもマシンができるまでは意味のないものになってしまうのです。

 

バックアップの最新事例

システムバックアップはシステム全体をバックアップするので、取得時間や保管容量といったリソースを多く消費します。
そのため、毎時や毎日という短い間隔でのバックアップ取得には向いてはいません。
一方データバックアップは更新頻度の高いデータに限定してバックアップを取得することも可能なため、システムバックアップと比べてバックアップのデータ容量や取得時間を抑えることが可能となります。
つまりこの2つのバックアップを適切に組み合わせ利用することが最適と言えるのではないでしょうか。

 

また最近では、バックアップのクラウド化を導入する企業が増えています。
ある調査データでは、100~199名規模の中小企業の95.5%、200~299名規模の中小企業では94.1%が、バックアップ対策に対する予算の増加、現状維持を検討しています。
これは、情報システム部門の人員不足が、大きな業務負担となっていることが要因となります。
トラブル対応の迅速化、業務負荷による人為的なミスの防止策を検討することも大きな課題となっております。
この点においてクラウドバックアップは、ベンダー側が全て対応するため管理工数が削減でき、データ量の増加に対してもストレージ増加のみで対応が可能となります。
このような利点に注目し、最近ではクラウドバックアップを採用する企業も増えてきているのが現状です。

 

 

多くの企業がバックアップの対策は実施済みだと思います。
しかし、予期せぬ災害や障害の発生に対して十分な対策が本当に取れているのでしょうか。
改めて見直すことで、復旧までの時間短縮や復旧範囲の拡大が可能かもしれません。
また情報システム部門の業務改善や負荷軽減にも繋がるかもしれません。
是非、この機会にもう一度見直してみてはいかがでしょうか。

 

 

まとめ

BCPの観点から重要なバックアップのポイント
・バックアップ対象
・復旧に必要な工数
・復旧時間
BCPの観点から捉えたシステムバックアップ
・バックアップ対象:システム環境すべてが対象
・復旧に必要な工数:少ない
・復旧時間:短時間
BCPの観点から捉えたデータバックアップ
・バックアップ対象:ファイルやフォルダが対象
・復旧に必要な工数:大きい
・復旧時間:長時間
これからのバックアップ方法検証ポイント
システムバックアップとデータバックアップを上手く組合わせることがBCP対策の1つの手段になる。
管理工数の大幅削減が可能なクラウドバックアップを検討する企業も多い。

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