2017.8.31

予算管理の課題と改善ツールの選定ポイント

 

どこの企業でも切り口や粒度の違いこそあれ、売上や費用の予算を編成して、その後は実績との比較を行いながら、管理をされていると思います。
予算管理の手段としてはExcelが多く使われていますが、そのために発生する業務課題も存在しています。今回は、予算管理の業務と課題から、改善に向けたツールの選定について考えてみたいと思います。

 


目次

目次1  予算管理の流れ
目次2  予算管理によくある課題
目次3  課題を改善するツールの効果
目次4  予算管理ツールの選定ポイント


 

予算管理の流れ

まずは一般的な予算管理の流れを確認していきたいと思います。
基本のサイクルは編成(Plan)・執行(Do)・改善(Check・Action)です。

 

・編成(Plan)
会社が新年度を迎えるおよそ3ヶ月前から4ヶ月前に、現場の部門や営業所などの単位で新年度の予算として損益(売上・原価・費用)に関わる金額の検討が始まります。
予算管理を担う部門からは予算入力用のフォーマットファイルが現場部門に配られ、各部門の責任者は、経営層が定める目標や計画を達成すべく、過去の予算や実績も参考にしながら、部門が目標にする金額を決めて行動計画を練り、予算入力フォーマットファイルを更新していきます。
それが一通り終わった後に、予算管理部門が現場部門から更新済みのファイルを集め、予算金額や内訳を確認します。その際、会社の定める目標や期待と乖離がある場合には、部門に差し戻して、再検討を依頼します。
そのような調整を続け、全社の予算を組み上げていき、最終化を行っていきます。

 

・執行(Do)
新年度が始まりましたら、経営層・予算管理部門・各部門の管理者は、編成で決めた予算が達成できているか、行動の結果である実績数値と比較をしながら、確認や分析を行っていきます。
定期的に予算と実績の差異を分析することで、どの行動が成功または失敗であったかを確認し、原因を追究することで次の改善につなげます。

 

・改善(Check・Action)
予算を達成できていない場合には、そこにつながる行動を担当している社員へのヒアリングなどを行い、原因を特定していきます。原因が判明すれば、改善のために有効な行動を検討し、実行することで改善を図ります。それも効果が薄ければ、更に改善を重ね、予算に近づけていきます。
しかし、それでも経済動向の変化などの外的要因によって予算自体の見直しをしなければならないときがあります。あらかじめ、四半期や半期で予算を見直すタイミングを設けておく、フォーキャストを決めている企業もあります。

 

 

予算管理によくある課題

基本的な予算管理の流れは以上となりますが、それらの業務の中にはいくつかの課題が存在しており、主に編成と執行のフェーズで発生します。

 

【編成フェーズでの課題】
・予算入力フォーマットの修正が手間である。
予算管理部門が現場に配布する予算入力フォーマットは、毎年同じではありません。次年度の組織や事業内容、予算科目が変わればフォーマットも変える必要があるからです。
また、フォーマットは部門で微妙に異なっている場合もあり、それに対応する必要もあります。
フォーマットをExcelで作っている場合は、集計や転記のために関数やマクロが使われていることが多いので、それらの内容も見直さなければならず、修正はかなりの手間となります。

 

・予算入力ファイルの提出状況を管理しにくい。
予算管理部門が、予算を作る各部門から更新したファイルを収集しますが、部門の数が多くなるほど、提出の状況を管理しにくくなります。

 

・入力ミスや記載漏れによる手戻りが多い。
部門から提出されたファイルには入力ミスや記載漏れの可能性がありますので、受領したまま集計することはできません。
Excelのファイルでも関数を組むことによりある程度のミスを防ぐことは可能ですが、入力者が行や列を変更したり、関数自体が破損したりすることなどにより、仕組みが無効になることもあり得ます。
結局は1ファイルずつ目視で確認したり、予算を集計するファイルやシステムに入れるまでミスがわからず、手戻りが発生するなど作業が煩雑になります。

 

【執行フェーズの課題】
・予算と実績の対比に時間がかかる。
新しい年度が始まれば、予算と実績の対比を行う資料を作成することになりますが、予算と比較をしたい実績のデータや資料が各部門で独自に持たれている、管理しているシステムが別々であるなどして、数値の粒度が異なる場合は、データの加工に時間を要し、比較表を作るのも遅くなってしまうことがあります。

 

・分析の切り口を変えることに時間がかかる。
予算と実績を分析するときには定型的な資料を用いることが多くありますが、視点を変えた分析を求められるときもあります。
その際、Excelでの作成も可能ですが、複雑な設定が必要になると、作ることのできる人が限られる、資料を修正するときに担当者の工数が増加するなどの問題が起きる場合があります。

 

以上は一部ですが、他にも予算の修正やファイルのやり取りに関わる課題が存在しています。

 

 

課題を改善するツールの効果

上記のような課題を改善するため、Excelを駆使する企業もあれば、専用システムやツールの導入を検討する企業もあります。
課題解決の手段としては、企業個別の事情や背景を考慮しなければなりませんので、一概にはどちらが良いとは言えませんが、システムやツールの機能が有効に働き、手間や時間を削減する効果を出しやすい課題はあります。

 

例えば、システムでは事業や組織の情報をマスタデータとして持つことになりますので、各部門ごとの予算入力フォーマットを修正する場合でも、マスタを直すことで容易に反映させることが可能です。
また、部門から送られるファイルはシステムを通すことで、提出の管理や、修正ファイル有無の確認もすることができます。

 

システムやツールの利用は、特に執行フェーズの課題に関しては有効であるように思います。
システムは実績に関するデータを取り込み、比較の切り口を変えて集計をしたいときには、Excelよりも簡易な操作で実現できる仕組みを持っていることが多いので、集計作業は属人的にならず、工数も増えにくいメリットがあります。

 

 

予算管理ツールの選定ポイント

予算管理を補助するシステムやツールは、何種類も存在しています。
予算と実績の切り口を複数組み合わせて、多次元的に表現することが得意なシステムや、Excelの予算入力ファイルをそのままの形で取り込んで、チェックをかける機能を有するシステムなど、各システムやツールごとに特長があります。
自社の課題を解決できる最適なシステムを選ぼうとするときには、まずは自社の現状を確認し、最も苦労をしている予算業務は何かを把握することが大切だと思います。
システムは便利ですが、自社の課題を解決する機能がなくては意味がありませんので、課題に合ったシステムを選べるよう、幅広くシステムを検討することが重要となります。

 

 

まとめ

予算管理の流れ
☑基本のサイクルは編成(Plan)・執行(Do)・改善(Check・Action)である。

 

予算管理によくある課題
☑課題は編成と執行のフェーズで発生しやすい。
☑(編成の課題)予算入力フォーマットの修正が手間である。
☑(編成の課題)予算入力ファイルの提出状況を管理しにくい。
☑(編成の課題)入力ミスや記載漏れによる手戻りが多い。
☑(執行の課題)予算と実績の対比に時間がかかる。
☑(執行の課題)分析の切り口を変えることに時間がかかる。

 

課題を改善するツールの効果
☑マスタを持つことにより、フォーマット変更などに強い。
☑Excelよりも簡単に分析することができる。

 

予算管理ツールの選定ポイント
☑自社の課題を把握すること。
☑自社の課題を解決できるシステムはあるか、幅広く検討する。