どのRPA製品を選んだらよいのか?~RPA製品選定の勘所~

2017年12月07日

 

数年前までは全く耳にしたことがなかった「RPA」という言葉ですが、今では雑誌や新聞などで取り上げられるほど、認知度が高まっています。
RPA(Robotics Process Automation)は、間接業務の『働き方改革』のツールとして頻繁に紹介され、もやはブームと言っても過言ではないくらいです。
このように急速に広まっているRPAですが、認知度の広がりと平行して様々な製品がリリースされ、今ではゆうに30以上の製品が存在します。
RPAの製品は一見どれも同じように見えますが、実は細かな違いがいくつもあります。安易に選んでしまうと、さまざまな問題が発生し、「思ったほど効果がなかった」となりかねません。
今回は、「どの製品を選んだらよいか?」という質問に答えるため、RPAの選定基準を紹介します。

 


RPAの製品特徴

RPAは、他のシステムと比べると比較的に安い製品で、価格は数十万円から利用することもできます。
また、RPAは「業務を自動化する」という目的のもとに作られていますので、一見どれも同じように見えます。
このような状況の中、選定にあまり時間をかけず、導入を急ぐ企業が増えています。よく吟味せずに導入した結果、「思ったよりも設定が難しい」とか、「効果が全然でない」といった声もちらほらと耳にします。

 

RPAの製品の基本的な構造はどれも良く似ていますが、実は製品ごとにそれぞれ特徴が異なっています。
各製品の特徴を比べると、以下のような違いが分かります。

 

【製品ごとに異なる特徴】
☑ 自動化設定の容易さ(画面設定(GUI設定)型またはプログラミング型)
☑ 複数ロボットの管理のし易さ(サーバー型またはデスクトップ型)
☑ 契約形態(ライセンス型またはサブスクリプション型)
☑ 言語対応
☑ 対応しているシステム・ソフトウェア

 

このように記載すると、「自動化設定は簡単なほうが良いに決まっている」と思うかもしれませんが、簡単であるが故のデメリットも存在します。
各製品の特徴ごとに、メリット、デメリットを理解した上で選定をしないと、後で後悔することになるかもしれません。

 

 

RPAの選定基準~プログラミング型vs画面設定(GUI設定)型~

RPAのキャッチフレーズで、「ノンプログラミング」という言葉をよく目にします。
「ノンプログラミング」と聞くと、「プログラミングの知識はいらないので素人でも作れるのかな?」と思うかもしれませんが、実はそうではありません。
業務の自動化をRPAに設定するには、少なからずとも『プログラミングの感性』は持っていないと対応が難しいです。
プログラミングの言語を知っている必要はありませんが、例えば過去にVBA(Excelのマクロなど)を組んだことがあるといった経験がないと、なかなか敷居は高いと感じます。

 

RPAを設定するにあたり、大きく分けて『プログラミング型』と『画面設定(GUI設定)型』が存在します。
『プログラミング型』といっても実際にプログラムをする訳ではないのですが、プログラミングのように設定するタイプの製品のことをそのように呼びます。
それぞれの違いは、以下の通りとなります。

 

【プログラミング型】
☑ 文字で表記された「アクション(動作)」を組み合わせて設定を行う
☑ 実際にプログラムを組み込める製品も存在する
☑ プログラミングを組み込むことで、画面設定型と比べて自動化できる業務の範囲が広い

 

【画面設定(GUI設定)型】
☑ PC上の操作(クリック、エンターなど)を記録することで設定を行う
☑ PCの画面上で操作するため、視覚的に設定ができる
☑ プログラミング型と比べて自動化できる業務の範囲は狭い

 

プログラミング型には、実際にプログラムを組み込むことのできる製品もありますので、複雑な条件分岐に対応することができます。このように、敷居が高そうな「プログラミング型」も、自動化する対象業務が複雑であれば効果は絶大です。

 

RPAを選定する際は、「誰が設定を行うのか」、「どのような業務を自動化するのか」といった点を踏まえ、製品を選択すると良いかもしれません。

 

 

RPAの選定基準~サーバー型vsデスクトップ型~

RPAの製品には、「自動化の設定や処理のコントロール」と「実行」を別々の端末で処理する『サーバー型』と、1つの端末上で設定と実行が処理できる『デスクトップ型』が存在します。
それぞれの特徴は以下の通りとなります。

 

【サーバー型の特徴】
☑ 処理のコントロール用端末と実行用の端末が分かれているため、自動化の処理を並行して実行できる
☑ 複数のロボットを管理する「ダッシュボート機能」を搭載している(複数ロボットの管理がしやすい)
☑ サーバーやネットワークを構築しなければならないため、情報システム部の参画が必要

 

【デスクトップ型の特徴】
☑ 1つのPC上で完結するため、RPAの環境構築(インストール)が簡単にできる
☑ ロボットが処理している間はPCの操作が行えない
☑ 端末1台1台にRPAを搭載するため、複数のロボット管理が困難

 

サーバー型かデスクトップ型かを選ぶ際は、『どれくらいの規模でRPAを利用するのか』という点に注意が必要です。
比較的大き目な規模で導入、または将来的に拡張したいといった場合は、サーバー型を検討したほうがよいかと思います。
反対に、特定の部門だけで利用したい場合は、デスクトップ型の方が向いているという事が言えます。

 

 

RPAの選定基準~ライセンス型vsサブスクリプション型~

RPAを選定するにあたって契約形態を明確にする必要があります。製品を購入し、その後は保守料を支払う『ライセンス型』と、一定額の利用料を毎年支払う『サブスクリプション型』の2つの契約形態が、RPAには存在します。

 

ライセンス型は、最初に製品(ライセンス)を購入することになりますので、サブスクリプション型と比べて初期費用は高くなります。
一方でライセンス型の場合、一般的に2年目以降は保守料としてライセンス料の20~30%を支払いますので、ランニングコストはサブスクリプション型と比べて安くなる傾向があります。

 

また、ライセンス型の場合、1ライセンスで複数のロボットが含まれている(ロボットの台数分だけ並行処理が行える)ことが多いですが、サブスクリプション型の場合、ロボットが1台増えるごとに費用が加算されます。
少しわかり辛いかと思いますので、5台のロボットを利用する想定でそれぞれを比較してみます。

 

◆製品A(ライセンス型)
・ ライセンスを購入すると5ロボットが利用できる
・ ライセンス料は500万円、保守料は年間100万円

 

◆製品B(サブスクリプション型)
・ 1ロボットあたりの年間利用料は40万円(40万円×5台=200万円/年)

このように、初期投資はライセンス型の方が高いですが、5年目で累計コストは逆転します。稼働するロボットが多ければ多いほど、逆転するタイミングは早くなります。
したがって、RPAを選ぶ際は、以下の点に留意する必要があります。

 

☑ 稼働するロボットの台数
☑ RPAを利用する年数
☑ 中長期的な計画(将来的にRPAの導入を拡大するか否か)

 

補足となりますが、「まずは少しだけ試してみたい」という場合、初期投資の安い『サブスクリプション型』を選びがちですが、RPAのほとんどの製品はトライアルとして1~2ヶ月間無料で使えるサービスを提供していますのでご注意ください。

 

 

RPA選定にあたっての留意事項

選定にあたっての留意事項として、最後に『言語対応』と『対応システム・ソフトウェア』をご紹介します。
ご存知の通り、RPAの製品のほとんどは海外製となっていますので、英語表記のものが大部分を占めています。
画面だけでなく、マニュアル等も英語という製品もありますので、言語対応としては、

 

☑ RPAの画面上の文字表記は日本語か
☑ 日本語マニュアルが完備されているか

 

の2点に注意が必要です。もっとも、画面上の表記が英語でも、慣れれば英語が分からなくても問題は無いようです。
次に、対応しているシステム及びソフトウェアです。
RPAの中には、ウェブブラウザのみに特化した製品もあります。
「RPAを使ってどのシステムまたはソフトを実行するのか」という点を明確にしたうえで、RPA自体が対応しているのかを確認する必要があります。

 

特に、昔から使われているメインフレーム(ホストとも呼ぶ)に対して、正しく実行できないRPAもありますので、メインフレームを使っている会社は注意が必要です。

 

 

 

まとめ

◆選定基準①~プログラミング型vs画面設定(GUI設定)型~
☑ 自動化の設定について、プログラミング型は難しいが、画面設定型は容易
☑ 自動化できる業務の範囲は、プログラミング型の方が広い

 

◆選定基準②~サーバー型vsデスクトップ型~
☑ RPAのインストールはデスクトップ型が容易
☑ 複数ロボットの管理は、サーバー型が向いている

 

◆選定基準③~ライセンス型vsサブスクリプション型~
☑ ライセンス型は初期投資が高いが、ランニングコストは低い
☑ サブスクリプション型は、初期投資はほとんどないが、ランニングコストが高い

 

◆選定基準④~言語及びシステム対応~
☑ RPAの画面表示とマニュアルが日本語に対応しているか確認が必要
☑ RPAの中にはメインフレーム(ホスト)に対応していない製品がある

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