RPA先進事例に学ぶ~先行企業の事例を知り、RPAの導入に臨む~

2019年03月07日

 

先行企業においてはRPAを積極的に導入して効果を上げていますが、多くの企業では未だ様子見の状況にあるようです。先行企業以外では未だ情報収集段階にあり、RPAが本当に自社に効果をもたらすか懐疑的な企業が多く、RPAの導入は中々進んでいません。また、一部のメディアないしベンダーは、「RPAの導入は簡単!」と喧伝するものの、決してRPAの導入は簡単ではなく、多くの企業がそのことに気づきつつあります。
今回は、RPAの導入を成功させるために何が必要なのか?改めて考えてみたいと思います。

 


 

RAP導入がなぜ進まないのか?

金融機関といった一部の企業ではRPAが導入されて効果があると言われています。しかしながら、その効果は一部の企業に留まり、全ての業種や企業までには波及していないように思います。しきりにメディアでRPAが宣伝され、その効果をアピールされるものの、今一つRPAの導入が進まないのは何故なのでしょうか?
RPAは、ERPやパッケージシステムと違って、大掛かりなシステムではなく、仕組みはシンプルと言えます。ERP等のように、システムの導入に多大な工数を必要としません。また、ERP等とは違って、本格的に導入・利用する前にトライアルで利用することができます。多くのRPAベンダーでは、このトライアルを無償で提供しており、企業にとっては試しに利用しやすい環境にあると言えます。
また、RPAは、ERP等に比べると驚くぐらい安価です。一般に企業でITシステムを利用しようとすると、数百万円から数千万円、大規模なシステム構築になれば、数億から数十億円がかかりますが、RPAはそこまではいきません。
安価なRPAであれば、数十万円から利用することが可能です。ある意味で利用しやすく、リスクの低いIT投資とも言えなくありません。しかしながら、RPAの導入が進んでいるとは言えない状況にあります。
RPAベンダーが必死に無償トライルを喧伝しても、金額が安くリスクの低いIT投資であることをアピールしても、多くの企業はRPAのトライアルや導入には、非常に慎重です。

 

無償トライアルに潜む落とし穴

RPAベンダーは、期限付きの無償トライアルサービスを設けて、企業を取り込むことに躍起です。ベンダーの中には、RPAをトライアルするパソコンを貸与する等、RPAが動作する環境まで提供して、RPAのトライアルに誘導しています。企業にとって、RPAをトライアルするためのハードルは低い状況にあるのですが、なぜか企業の現場部門は積極的とは言えず、トライアルに進める企業が決して多くありません。
■トライアルの時間が確保できない!
RPAベンダーはトライアルに際して極めて親切です。パソコンの貸与からセットアップまで丁寧にサポートしてくれるベンダーもあります。しかしながら、RPAの設定、つまりロボットの作成までは無償で対応してくれません。現業がある中で設定やロボットを作成する時間を確保するのは難しく、結局何もできないという現場が多いのです。
■トライアルする業務が判断できない!
RPAのセットアップや設定までベンダーがサポートしてくれたとしても、RPAを適用する自社の業務までは特定してくれません。さすがにベンダーは現場部門の業務までは把握していません。一緒に考えてはくれますが、無償で対応してもらえるかは疑問です。トライアルの時間が確保できたとしても、ここで頓挫してしまうケースもあります。
■RPAが難しくて設定ができない!
ベンダーの多くは「RPAは簡単です」と喧伝しますが、現場の利用者から見れば、RPAは決して簡単ではありません。Excelの関数を使いこなしている程度のITスキルでは、すぐにRPAを使いこなすことはできません。RPAのセットアップ作業でさえ簡単ではなく、この段階でトライアルから離脱してしまうケースも発生しています。

 

RPAの無償トライルを有効に活用するためには、トライアル期間を短く設定して検証すべきです。30日や60日といった長い期間でトライアルしても無意味です。また、RPAの簡易診断を行う等してトライアルする業務を明確にしておく必要があります。そのうえで途中で挫折することを防ぐためにも、RPAを学習できる環境も必要になります。

 

RPAを金額で選定するリスク

RPA導入は、立派なIT投資です。企業が投資を行う以上、当然ながら、RPAにも費用対効果が求められます。そこに金額の大小は関係なく、一定の金額を投資する以上は、投資を上回るリターンがなければなりません。RPAは数十万円からでも利用できますが、当然、投資を上回るリターンが求められます。
■RPAの投資効果に確信が持てない!
例え、RPAに投資する金額が低かったとしても、効果を確信できなければ投資する訳にはいきません。RPA導入を躊躇してしまいます。RPAは単純業務を自動化するツールですから、何某かの効果はあります。しかしながら、投資額を上回る効果があるかと言うと、それは別の話です。結果、安いRPA製品を選んでしまいがちです。
■RPAの環境に手間がかかり非効率!
安価なRPA製品を選択したとしても、RPAを動かす環境まで考慮すると、決して安価な製品が得策とは言えないケースがあります。RPA専用のパソコンが必要になったり、同時に動作しないといったRPA製品もあり、かえって割高になったり、RPAのメンテナンスに手間がかかり、ヒトの作業が非効率になるという逆転の弊害も発生したりします。
■他部署へ展開できず効果が上がらない!
パソコンの単純作業は、似た作業が複数の部署で発生していることが多いです。特定の部門でトライアル的に導入したRPA製品を他部署へ展開しようとしても物理的に展開できないケースもあります。他部署へ展開してより効果を得ようとした段階になって初めて気付き、結局、RPAの選定や導入をやり直す事態も起こり得ます。

 

RPAを選定する際の基準として、金額は非常に大事です。しかしながら、金額が安ければ良いというものでなく、その金額で何ができるかが重要です。事前に費用対効果の診断を行うとともに、実際の運用や他部署へ展開する際の要件も整理してRPAの利用に臨むべきです。

 

 

RPA成功のために~先進事例を知り、RPAを学習する~

現在、多くの企業はRPAの情報収集もしくはトライアルの段階にあります。一方、一部の企業では先行してRPAを導入し、高い効果を上げている実例もあります。また、多くのRPA製品が登場し、自社に合った製品や手厚いサポートまで提供するベンダーも出てきました。以前よりは大分RPAを比較・検討しやすい環境にあると言えます。このような環境だからこそ、先行してRPAを導入した企業の事例を知り、複数のRPA製品やRPAを学習するためのサービスを比較・検討することが容易になっています。
☑先行企業の先進事例をマネる!
金融機関や一部の企業では、先行してRPAを導入して効果を上げています。効果を上げている企業が存在するのであれば、その先進事例をマネすれば良いのです。先進事例をそのまま自社に適用するのも、効率的なRPA導入のやり方です。自社におけるRPAの適用業務を検討・議論するのではなく、先行企業の作ったロボット事例から自社に合ったRPA作業を選択して、そのままトライアルするのです。先行企業で成功した実例なのですから、そのまま自社でも効果を上げる可能性が高いはずです。
☑ロボットの作り方を自分で学ぶ!
先行企業のロボット事例をそのままマネるにしても、ロボットの作り方や管理の仕方を学習しなければ、ロボットの制御やメンテナンスを自社で行うことができません。RPAの運用までも外部に委託するのであれば別ですが、自社で運用していくのであれば、RPAを自分で学ぶことが非常に重要です。自社内にRPAの専門家を育成・配置するためには、ベンダーのサポートを上手に利用する必要があります。RPAの学習環境を重視しているベンダーも存在しますので、eラーニングやパソコン教室のようなRPA学習が可能な環境になっています。

 

 

RPAベンダーが増加し、RPAを利用する企業が増えていくことにより、RPAは利用しやすい環境に移りつつあります。RPAの先進事例を知り、RPAを自分で学習して、RPAの導入・利用に臨む姿勢が今は求められています。
RPA導入を成功へ導くためには、“RPAの先進事例を学ぶ”姿勢が企業に必要なのではないでしょうか?

 

 

まとめ

RAP導入がなぜ進まないのか?
RPAトライアルを無償で利用することが可能であり、トライアルしやすい環境にある。
RPAの投資額は安価であることが多く、リスクの低いIT投資であるとも言える。
にもかかわらず、多くの企業はRPAのトライアルや導入には、★非常に慎重である★
無償トライアルに潜む落とし穴
■トライアルの時間が確保できない ➡ トライアル期間を短く設定する
■トライアルする業務が判断できない ➡ RPAの簡易診断を行う
■RPAが難しくて設定ができない ➡ RPAの学習環境を利用する
RPAを金額で選定するリスク
■RPAの投資効果に確信が持てない ➡ RPAの効果検証を行う
■RPAの環境に手間がかかり非効率 ➡ RPA製品の運用まで考える
■他部署へ展開できず効果が上がらない ➡ 展開要件を整理しておく
RPA成功のために~先進事例を知り、RPAを学習する~
先行企業の先進事例をマネる!
ロボットの作り方を自分で学ぶ!

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