RPA開発難易度を下げる~ロボット作成時に押さえたい3つのポイント~

2020年09月03日

 

今や大企業の過半数は導入していると言われるRPA。導入した企業の多くは今後の利用拡大に前向きであるといった調査結果がある一方で、RPAのメリットが感じられず、利用中止を検討している企業も少なくありません。簡単で便利な自動化ツールという前評判でRPAを使い始めたものの、ツールの使い方がわかりづらかったり、せっかく作ったロボットがエラーばかり起こして正常に動作しなかったりと開発に難航している話はよく聞きます。RPAを導入したすべての会社がその効果を実感できているかと言われると、必ずしもそうとは言えない現実があるようです。
プログラミング知識不要で簡単に自動化ができるRPAですが、その開発の難しさはどのような点にあるのでしょうか。今回はRPAが持つ性質を踏まえながら、RPA開発難易度を下げる方法について考えます。

 


こんなはずではなかった!? <RPA開発での失敗列>

RPAを導入する1番の目的は、やはり業務自動化による工数の削減という会社がほとんどです。つまり効果が感じられなかったということは、工数の削減ができなかったということになります。では、何が原因で工数が削減できなかったのでしょうか。RPAで工数を削減するためには、まず多くの業務を自動化する必要があります。ロボットをたくさん作成し、そのロボットが正常に稼働するということが重要なポイントです。RPAで工数が削減できなかった場合には、RPA開発の段階でロボット作成に失敗している可能性があります。
RPA開発段階で発生しやすい失敗は、以下の2点です。

 

▼RPA開発での失敗例
①ロボットを実行するとエラーが発生してしまい、RPAに業務を任せることができない
人が行っている操作をそのまま設定したはずなのに、なぜか途中でエラーになり、次の処理へ進めなくなってしまうことがあります。それはRPAの性質を踏まえた設定がされていないからです。エラーが発生するロボットに業務は任せられないため、人の工数が削減できないことになってしまいます。

②ロボット作成に難航し、いつまでたってもロボットが増えない
RPAでメリットを得るためには、できるだけ多くの業務を自動化し、人が作業する時間を減らすことが重要です。しかし、業務の全工程の自動化にこだわって細かな条件まですべてRPAで設定しようとすると、RPAの開発難易度が高くなり作成に時間がかかります。また複雑な構成のロボットはメンテナンスが難しく、業務手順の変更に対応できない恐れがあります。

 

これらの失敗を避けるためには、どのような対策が必要でしょうか。
次は失敗が発生する原因に着目し、RPA開発で気を付けるべきポイントをご紹介します。

 

知っているようで知らないRPAの隠れた性質

RPA開発での失敗原因1つ目は、RPAの性質を踏まえた開発ができていないという点です。RPAのメリットはセミナーや展示会等でよく目にするかと思いますが、RPAの性質については、あまり取り上げられることがありません。この隠れた性質を踏まえ開発を行うと、エラーの発生を減らすことができます。

 

▼RPAの隠れた性質
①システムやアプリケーション処理の待機時間を、「作業」としてロボットに組込む必要がある
RPAは人よりも早く、PCの操作・処理を行うことが可能ですが、RPAがどれだけ早く操作できたとしても、検索ソフトでの検索やシステム処理にかかる時間は、人が操作した場合と変わりません。そのため「待機する」という作業を組込まないと、処理が終了する前に次の操作に進んでしまいエラーが発生します。

②人が無意識で行っている判断を「作業」としてロボットに組込む必要がある
定型業務であっても、PCの操作や処理を行う際に、人は何らかの判断を無意識に行っていることがあります。例えば、ファイル名に日付をつけて保存する場合、今日は何日か思い出し日付を入力するといった形です。操作だけ見れば「ファイルに名前を付けて保存」という1工程ですが、実際には「今日の日付を取得」し、「ファイルに日付を含んだ名前を付けて保存」という2つの工程を設定する必要があるということになります。

③イレギュラー発生を想定し、業務を止めないための「作業」をロボットに組込む必要がある
RPAは設定したルール通りに作業を行うため、絶対にミスをしませんが、それはルールにない作業はできないということでもあります。何らかのエラーが発生した場合、RPAは停止するかエラーが解消されるまで同じ動作を繰り返します。業務を止めないためにも、イレギュラー発生時には、担当者に通知するというような対応を決めておくことが重要です。

 

RPA開発難易度を下げる3つのポイント

RPA開発の失敗原因2つ目は、開発難易度を高く設定してしまっていないかという点です。初めてロボットを作成する場合、どうしてもRPAだけで業務を自動化しよう、クリック一つで業務を完了させようと考えてしまいがちですが、これが開発難易度を上げる要因です。結果として業務が自動化できるのであれば、そこにこだわる必要はありません。次にRPA開発難易度を下げるためのポイントを3つ紹介します。

 

▼RPA開発難易度を下げるポイント
①RPA開発は作業単位で行う
例えば、「競合他社の情報収集」という業務を自動化する場合、一連の動作を1つのロボットとして作成することが多いかと思いますが、業務内容を「検索」や「入力」といった最小作業単位に切り分けた方が、ロボットは簡単に作成できます。作業単位で作成することでエラー原因も見つけやすくなり、検証工数を抑えることができます。

②RPA以外のツールも活用する
RPA開発時には、RPA内の機能だけで設定しようとしてしまいがちです。しかしメンテナンスを考えるなら、Excelやメールソフト等に備わっている機能を併用する方が便利なこともあります。特に変更が発生しやすい工程では、RPA以外のツールを活用することで、分岐や複雑なルール設定を最小限にできるため、開発だけでなくメンテナンスも簡単になります。

③RPA専用PCを用意してRPA操作に特化した設定を行う
ロボットをより簡単に作るには、RPAが動きやすい環境を整えておくことが重要です。例えば、RPA専用PCを用意し、WEBページの表示倍率や検索結果の表示件数を固定する、システム操作時にはキーボードのみでの操作を可能にする等といった設定を行うことで、それらを考慮した設定が不要となります。

 

このようなポイントを押さえておくと構成がシンプルになり、見た目にもわかりやすいロボットが簡単に作成できます。

 

RPA開発を楽しむために

どんなに簡単といっても、RPAを初見で使いこなせる人はなかなかいません。使い方の教育やキャッチアップが十分に行われていたとしても、難易度の高い、業務工程の長いロボットを作成するのは時間がかかります。特に開発担当者が通常業務とRPA開発を並行して行っているような場合、工数に余裕が無いことからロボットの作成自体が困難であったり、メンテナンスが追い付かなかったりと活用が難しいという話も耳にします。
しかし、本来RPAは業務を自動化して人を定型業務から解き放つことができる便利なツールです。RPA導入を成功させるためにも、まずはRPAの動作環境を整え、RPAの性質を踏まえた開発を行ってみてください。RPA開発工数に余裕があればチュートリアルから、開発工数に余裕がない場合は、業務工程を作業ごとに分割したシンプルなロボットの作成から着手し、RPAの操作に慣れるのが良いかと思います。
どのような企業でも、RPAで自動化した業務が今後も全く変わらないという保証はありません。RPA開発時は、メンテナンスを行うことを想定し、ロボットを作成してください。その際はRPA内の機能にこだわらず、RPA開発やメンテナンスが行いやすい方法を選択すると、業務手順に変更が発生してもロボットの変更が容易にできるでしょう。

 

RPA開発に慣れてくると、業務工程をロボット化した場合に、どのような条件が必要か、エラーの発生しやすいポイントはどこか等、より効率の良い設定方法が浮かんでくるようになります。そうなってくるとRPA開発はとても楽しいものです。効果が感じられないと嘆く前に、ぜひRPA開発のポイントを押さえてみてください。

 

まとめ

■こんなはずではなかった!?~RPA開発での失敗列~
☑RPA導入の目的は工数削減という点だが、RPA開発段階で失敗すると、ロボットを増やすことができず工数削減につながらない
①ロボットを実行するとエラーや異常終了が多発し、RPAに業務を任せることができない
②ロボット作成に難航し、いつまでたってもロボットが増えない

■知っているようで知らないRPAの隠れた性質
①システムやアプリケーション処理の待機時間を、「作業」としてロボットに組込む必要がある
②人が無意識で行っている判断を「作業」としてロボットに組込む必要がある
③イレギュラー発生を想定し、業務を止めないための「作業」をロボットに組込む必要がある

■RPA開発難易度を下げる3つのポイント
①RPA開発は作業単位で行う
②RPA以外のツールも活用する
③RPA専用PCを用意し、PCにRPA操作に特化した設定を行う

■RPA開発を楽しむために
☑RPAの特長だけでなく、その性質を踏まえ開発に着手する
☑最小単位のシンプルな作業からロボットを作成し、RPAの操作に慣れる
☑メンテナンスが発生することを想定し、ロボットを作成する
☑RPA内の機能を使うことにこだわらない

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