RFPとは何が違う?~RFIの書き方とポイント~

2018年02月08日

 

システム選定においてRFP(提案依頼書)を作成するのは、今や一般的になってきました。
基幹システムのように範囲が広く機能数も多いシステムを選定する際には、多くのケースで作成されています。

 

一方で、RFI(情報提供依頼書)については、まだ作成したことが無い、目にしたことが無い、と言う方も多いのではないかと思います。
必要性の面で言うと、“情報を求める”という位置づけのRFIは、“提案を求める”(その後のシステム発注を前提にしている)RFPよりもどうしても低くなります。

 

ですが、システムの構築に際し、RFIは非常に有用です。
今回は、今後RFIを作成する方に向けて、作成のポイントと記載例について記載します。

 


RFI(情報提供依頼書)とは

RFIとは、Request For Informationの略で、情報提供依頼書のことを指します。
これからシステムを検討するにあたり、SIerやパッケージベンダーに対して、公式に情報提供を依頼するためのものとなります。

 

▼RFIの基礎についてはこちらをご覧ください。
システム選定の第一歩~RFIの作成とその効果

 

RFPとは異なり、RFIを作成する目的やタイミングは企業やプロジェクトごとに異なります。そのため、記載内容をどうすればよいか、悩まれる方も多いようです。

 

 

RFI作成のポイントと記載例~ベンダー基本情報~

それではここからは、特に悩むことの多い“情報提供依頼事項”の内容について、記載例を交えながら作成のポイントを説明したいと思います。

 

まずは、ベンダーの基本的情報(会社情報、製品情報、実績等)を求めるパートについてです。
ベンダーの会社情報としては、社名、本社所在地等に加えて、資本金、売上高等を聞くのが一般的ですが、ここで注意したいポイントは、グループ会社も含めて情報を求める、という点です。

 

最近はグループ企業も一体になってサービスを提供するベンダーも多くあります。
例えば、システム導入は子会社と行う、といった具合です。
また、ベンダーの資本関係については、外部からは確認できないことも多くあります。
知らないまま、資本関係のあるA社とB社の双方に提案を求めていた、といったことが起きてしまうと、公平性を欠いた選定になってしまう恐れがあります。
(資本関係があるA社とB社が手を結べば、内容の異なる2種類の提案を出し、どちらが受注しても2社で分け合う、といったことも可能になります。)

 

<RFI記載例:グループ会社の情報>
・貴社の親会社について
経営権を持つ親会社又は連結対象である親会社がある場合は、その親会社の企業名、業務内容、資本金、従業員数、連結売上高についてご提示ください。
・子会社・グループ会社について
システムの導入・運用を共に行う可能性がある子会社・グループ会社がある場合は、その会社の企業名、業務内容、資本金、 従業員数、 単体売上高についてご提示ください。

 

ベンダーの状況をより正確に把握するためには、単体企業の情報だけではなく、グループ単位で情報を得る、という視点で考える必要があります。

 

 

RFI作成のポイントと記載例~製品基本情報~

ベンダー情報の次に、製品基本情報を求めるパートに入りたいと思います。
パッケージシステムの場合は製品名、スクラッチ開発であれば開発技術(開発言語・基盤等)等について尋ねます。
また、パッケージシステムの場合は、対象となる業種・企業規模や販売開始時期等を聞くのも、その製品の特徴を理解するうえでの参考になります。
システムの対象範囲によっては、複数の製品での提案になる場合もあります。
その場合を想定して、各製品ごとに情報を求める、というのはポイントの一つです。

 

<RFI記載例:製品基本情報(パッケージシステムの場合)>
貴社ソリューションに関する以下の情報をご提供ください。
1.パッケージ製品名
今回の対象とする範囲において複数の製品をご提案いただく場合は、それぞれの名称をお答えください。
2.システムの発売開始時期
今回の対象とする範囲において複数の製品をご提案いただく場合は、それぞれの販売開始時期をお答えください。

 

また、対象業種、企業規模については、ただ尋ねるだけではベンダーの主観が入った回答になります。客観的に把握したい場合には、導入実績を求める際に工夫するのも一つの手です。

 

<RFI記載例:導入実績>
以下の情報について、ご回答ください。
・導入企業数
  導入実績数
  売上高100億円未満の企業への導入実績数

 

上記以外にも、「販売管理システムの導入実績数」「小売業へのシステムの導入実績数」といった表現を用いることで、より具体的な情報を得ることができます。

 

ベンダーや製品により、同一製品としてとらえる範囲や実績のカウント方法には差が生じます。できる限り、曖昧さを排除した表現を使って回答を求めることで、より有用な情報を得ることが可能になります。

 

 

RFI作成時の留意点

最後に、RFIを作成する際の留意点について、述べたいと思います。

 

①RFIの内容に完璧を求めない
RFIの内容を検討していくと、より詳細に、より具体的に書きたくなってしまうものです。
せっかくRFIを作成し、ベンダーから回答を求めるのであれば、より有用なものを得たいというのは当然の心理です。
ですが、RFIはあくまでも参考情報を得るためのものです。詳細化することにより、作業工数や期間が膨らみ、結局出すタイミングを逃してしまった、ということにもなりかねません。
RFIの内容については、完璧を求めずに、かつ、ベンダーから得られる情報もある程度曖昧なものになる、ということを前提にした方が、結局は適切なタイミングで有用な情報を得ることにつながります。

 

②要件(条件・前提)は曖昧でも求める回答が何かを具体的に示す
RFIでは、条件や前提に簡潔な点(曖昧な点)があっても問題はありませんが、ベンダーに回答してもらう内容については、明確にする必要があります。
極端な例になりますが、「システムの概算費用をご提示ください」では、イニシャル費用は含むのか否か、ハードウェアの費用はどう考えるのか等、ベンダーは判断に悩むことになります。
「システム導入時に必要となるライセンス費用をご提示ください」のように、具体的に記載することが求められます。

RFI全体を通じて言える最も重要なポイントは、「要件(条件・前提)は曖昧でも、回答を求める内容は明確に示す」ことですので、作成する際には、まずこの点にご留意いただけるとよいのではないかと思います。

 

 

 

まとめ

RFI(情報提供依頼書)とは
☑ Request For Informationの略で情報提供依頼書
☑ システムを検討するにあたり公式に情報提供を依頼するためのもの
RFI作成のポイントと記載例~ベンダー基本情報~
☑ グループ企業単位で情報を得る
RFI作成のポイントと記載例~製品基本情報~
☑ 同一製品とする範囲や実績カウントの考え方はベンダーごとに異なる
☑ 曖昧さを極力排除して回答を求める
RFI作成のポイントと記載例~機能情報~
☑ 詳細に書く場合と簡潔に書く場合がある
☑ 目的に応じて使い分ける
RFI作成時の留意点
①RFIの内容に完璧を求めない
②要件(条件・前提)は曖昧でも求める回答が何かを具体的に示す

 

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