効率よくシステムを選定するには?~RFI作成のメリットと作成のポイント~

2021年10月14日

 

コロナ禍により「在宅勤務」や「テレワーク」を進める動きが高まり、チャットツールやミーティングツールといった新しいツールを導入した企業は多いと思います。これらのツールは非常に安く、すぐに利用を開始することができ、更に不要になった場合は即座に停止、アンインストールができますので、簡単に入れ替えることが可能です。
一方で、経営を支える基幹システムとなるとどうでしょうか。システムの規模が大きいということもありますので、頻繁に入れ替える企業はまずあり得ません。基幹システムの導入費用は、安くても数千万円、高いものでは数億円規模となりますので、10年以上同じシステムを使い続けている企業も少なくありません。このような大規模なシステムリプレイスは、頻繁に発生することはありませんので、選定のノウハウがなく、何から始めるべきかわからないという声をよく耳にします。
今回は、システム選定時の最初のステップとなる『RFI』について、作成するメリットと作成時のポイントを紹介したいと思います。

 

 

RFIとは?~RFIの概要と目的~

私たちがスマートフォンなどの製品を購入するとき、スペックや機能、値段といった情報を収集・比較して、自分のニーズにあったものを選び、購入していることかと思います。企業がシステムを選ぶ時も、基本的には「情報収集」→「比較」→「選定」→「購入」といった同じような手順を踏むのですが、決定的に違うところがあります。スマートフォンは、ネット検索やカタログでシステムに関する詳細な情報を得ることができますが、システムは公開されている情報が圧倒的に少ないということです。
では、どうやって情報を集めるのかというと、システムを提供しているベンダーに「情報をください」と情報提供を依頼するのです。これを、RFI(情報提供依頼)と呼びます。では、RFIの概要と目的について、もう少し詳しく紹介します。

 

■RFIの概要
RFIは「Request for Information」の略称で、日本語に直すと『情報提供依頼』となります。RFIは、その名の通りシステムベンダーに情報提供を依頼するための書類を指します。

 

■RFIの目的
RFIの目的は、システムやベンダーに関する『情報収集』となります。この情報収集ですが、できる限り網羅的に行う必要があります。なぜなら、最初の段階でベンダーやシステムを限定してしまうと、自社の要件にマッチしたものが選べなくなる(一番適合したシステムを漏らしてしまう)可能性があるからです。したがって、RFIをベンダーに網羅的に展開し、比較する段階で篩にかけ、要件に合わないシステムを除外するという流れが一番合理的です。

 

■RFPとの違い
RFIと混同されやすいものにRFPがあります。RFPは、「Request for Proposal」の略称で、RFIのようにシステムベンダーへに情報提供を依頼するのではなく、提案を求めるための書類になります。RFIで広く浅く情報を収集して一次選定を行い、3~5社程度に絞り込んだうえでRFPを使って具体的な提案を依頼し、最終選定をするという流れになります。

 

このように、RFIは自社にあったシステムを篩にかける(一次選定する)ためにベンダーやシステム、最新システム・機能・技術といった情報を、広く網羅的に収集する目的で作成するのです。

 

RFI作成のメリット

対象となるベンダーやシステムが少なかったり、システム自体が安価な場合はRFIを使用せずにシステムを選ぶこともありますが、RFIを作成することで得られるメリットもあります。それは「詳細な情報が収集できる」ことと、「情報の比較が容易になる」という2つです。ここからはそれぞれについて、詳しくお話ししていきます。

 

■詳細な情報が収集できる
最近ではインターネットでシステムに関する情報を調べることができますが、RFIを使うことで更に詳細な情報を得ることが可能になります。例えば、リリース前の最新システムや機能であったり、ベンダーの導入実績などです。導入実績はHPなどで公開されていることもありますが、同じ業種や売上規模というように、より自社に即した情報収集が可能となります。

 

■情報の比較が容易になる
RFIを使うことで、収集した情報の比較が簡単になります。システムやベンダーを比較する際は、Excelなどを使って比較表を作成することが一般的ですが、インターネットなどで調べる場合、必ずしも同じ基準で情報が公表されているとは限りません。例えば価格ですが、Aシステムは1ユーザーあたり500円/月、Bシステムはユーザー50名までが100,000円/3ヵ月、Cシステムは1ユーザーあたり300円/月+初期費用が50,000円という場合、それぞれ自社の条件に照らし合わせて計算する必要があります。RFIでは、自社の情報を一緒に提供することで、同じ基準で情報を得ることができますので、比較が容易になります。

 

「RFIを作成すること自体が面倒」と話される担当者もいますが、RFIを作ることで詳細な情報を入手することができるだけでなく、入手した情報の比較が容易になるといったメリットがあります。これにより、システム選定のプロセスをスムーズに進めることができますので、一手間かかりますがRFIを作成して損はないと言えます。

 

RFIに記載すべき内容

RFIは、情報収集を依頼するための書類ですが、どのような内容を記載すれば良いのでしょうか。より効果的に情報を収集するためには、記載すべき内容が重要になります。RFIに記載すべき内容としては、「自社情報」と「ベンダーへの依頼事項」という大きく2つに分けることができます。

 

■自社の情報
・情報提供依頼の趣旨(現行システムの保守切れによるリプレイスなど)
・会社概要(所在地、従業員数、売上高など)
・事業内容(事業、サービスの内容、取扱製品など)
・システム選定・導入(又は構築)のスケジュール

 

■ベンダーへの依頼事項
・ベンダーの会社概要(所在地、従業員数、売上高など)
・導入実績や事例(自社と同業種・売上規模に対する導入実績、導入事例など)
・システムの基本的な情報(機能など)
・システムの機能要件
・システムの強み
・概算費用(イニシャルコスト、ランニングコストなど)

 

RFIは、ベンダーやシステムのことを知る目的もありますが、同時にベンダーに自社のことを知ってもらう必要もあります。プロジェクトの目的やシステムの範囲、システム構築のスケジュールなどを示すことで、より具体的な情報の提供が期待できるからです。また、システム選定において、製品の機能を知ることが大切なのは勿論ですが、システム導入・運用におけるベンダーの能力を知ることも重要になります。

 

RFI作成時のポイント

RFIの作成にあたり、押さえておきたいポイントを紹介します。欲しい情報だけを記載するだけではなく、ポイントを押さえて記載することで、より効果的な情報収集・比較が可能になります。ポイントは全部で3つあります。

 

■細かい機能要件を盛り込まない
「今のシステムではこういう仕様だから」「次はこういうことができたらい良いな」など、いろいろと確認したい要件もあると思いますが、細かい内容を記載しすぎるのは避けた方が良いです。RFIは、システムの一次選定を行うために色々なベンダーに送りますので、依頼する情報が多ければ多いほど、受領する情報量が増え、比較が煩雑になります。また、ベンダー側での調査や情報整理に時間が必要となり、スケジュール遅延に繋がるリスクも発生します。細かい要件はRFPで確認し、RFIでは最も重要な必要最低限の要件にとどめることがポイントとなります。

 

■曖昧な表現や依頼をしない
RFIに曖昧な表現で記載をすると、ベンダーから提供される情報も曖昧になり、結果として比較がしづらくなります。また、依頼内容が曖昧だと、ベンダーからの質問や問合せ対応が発生し、余計な時間がかかることがあります。例えば、概算費用を依頼するならば、イニシャルコストとランニングコストは分けて情報提供を依頼したり、「利用者数が50人の場合」、「5年間のランニングコスト」など、定量的な数字で示すことが望ましいです。

 

■比較しやすいよう工夫する
RFIで依頼項目を付番したり、ベンダーからの回答書のフォーマットを指定しておくことで、必要な情報、見たい情報を効率よく探すことができるようになります。回答用のフォーマットを設けず、ベンダーに自由に回答をさせると、受領した後に情報の加工作業が必ずと言っていいほど発生しますので、『比較』が大変になります。あらかじめExcelなどで回答用フォーマットを用意しておくと、回収後に並べるだけでシステムの比較ができるようになりますので、非常にスムーズです。

 

以上のポイントを押さえてRFIを作成することで、回答までの期間が短くなるだけでなく、情報収集後の比較を効率よく進めることが可能になるのです。

 

まとめ

■RFIとは?~RFIの概要と目的~
・RFIは「Request for Information」の略称で、日本語に直すと『情報提供依頼』となる。
・RFIをベンダーに網羅的に展開し、比較する段階で篩にかけ、要件に合わないシステムを除外するという流れが合理的である。

 

■RFI作成のメリット
・インターネットでシステムを調べることができるが、RFIを使うことで更に詳細な情報を得ることが可能になる。
・RFIを使うことで、スクリーニング(システムやベンダーの絞り込み)が簡単になる。

 

■RFIに記載すべき内容
・RFIは、ベンダーやシステムのことを知る目的もあるが、自社情報を記載してベンダーに自社のことを知ってもらう必要もある。
・システム選定において、製品の機能を知ることは大切だが、システム導入・運用におけるベンダーの能力を知ることも重要になる。

 

■RFI作成時のポイント
・細かい要件はRFPで確認し、RFIでは最も重要な必要最低限の要件にとどめることがポイントとなる。
・依頼項目を付番したり、ベンダーからの回答書のフォーマットを指定しておくことで、必要な情報、見たい情報を効率よく探すことができるようになる。

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