『会計』って何?~誰でもわかる会計のいろは~

2021年12月23日

 

『会計』に対して苦手意識を持っている方が非常に多いようです。そもそも算数や数学が苦手(数字アレルギー)であったあり、簿記を勉強してみたもののよく分からないまま終えてしまったり・・・また、普通の生活や仕事をするうえで、会計に接する機会が極端に少ないことも1つの原因のようです。
このような苦手意識ですが、『会計』に対する誤解があります。会計で計算は必要になりますが、計算だけが全てではありません。また、会計と簿記は同じものではなく、簿記は会計の中の一部分に過ぎません。
会計は、会社の状態を知るために必要な知識となります。会計を知らないと、会社の良し悪しが判断できませんので、社会人として最低限の知識は持っておかなければなりません。今回は、会計初心者でも分かるように、会計とはどのようなものなのかを分かり易く説明します。
※本ブログは、分かりやすさを優先するため、意図的に異なる表現を用いていますのでご注意ください。

 

会計は何のためにあるのか?

『会計』と聞いて真っ先に思い浮かぶのが『簿記』だと思いますが、会計と簿記は異なります。簿記は、会計を行う上で必要な記録方法を指していますので、会計の中のほんの一部分に過ぎません。では、会計とは一体何なのでしょうか?会計は、会社の状態(会社の良し悪し)を分かるようにするための手法です。会社の状態を分かるようにするためには、商品の販売や仕入れ、給与の支払い等といった日々の取引を金額で数値化し、記録する必要があります。記録した内容を取りまとめ、会社の成績表として公表することで、投資家や銀行といった外部の関係者は客観的にその会社の「良し悪し」が判断できるようになるのです。

 

会計を行うことで、会社の状態が分かるようになるわけですが、会社ごとに異なるルールを使ってしまっては、会社同士の比較が適切にできなくなってしまいます。例えば、ある会社は円、別の会社はユーロやドルと違う通貨で公表した場合、わざわざ換算しなければなりませんので、比較が大変になってしまいます。このようなことにならないよう、会計には決まったルール(法律や会計基準)が存在し、このルールにしたがって自社の成績表を作成することが求められます。また、株式会社は、作成した成績表を最低限1年に1回は公表しなければなりません。成績表には、「貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)」や「損益計算書(そんえきけいさんしょ)」といったものがあり、総称して「財務諸表」と呼びます。

 

このように、会計を使って会社の日々の活動(取引)が記録し、成績表として外部に公表することで、社内のみならず、社外の関係者も『会社の良し悪し』が判断できるようになるのです。

 

会社の成績表~損益計算書と貸借対照表~

株式会社は、最低限1年に1回は自社の成績表(財務諸表)を作成して外部に公表する必要があります。成績表として代表的なものが、『損益計算書(そんえきけいさんしょ)』と『貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)』の2つです。

 

■損益計算書
英語で「Profit and Loss Statement」と記載することから、略してP/L(ピーエル)と呼びます。損益計算書は、一定期間における企業の経営成績を表す財務諸表です。一定期間とは、一般的に1ヶ月、3ヶ月(四半期)、6ヶ月(半期)、1年(年度)といった期間を指します。

 

■貸借対照表
英語で、「Balance Sheet」と記載することから、略してB/S(ビーエス)と呼びます。貸借対照表は、一時点における企業の財政状態を表す財務諸表です。一時点とは、一般的に決算日を指します。

 

この2つですが、少しイメージしづらいと思いますので健康診断に置き換えて説明します。まず、貸借対照表は、決められた日(一時点)の会社の状態を表す財務諸表なので、私たちが1年に1回受けている健康診断と非常によく似ています。健康診断の結果、以下の状態だったとします。

 

 

2021/4/1から2022/3/31の1年間で、体重や体脂肪が減っていることが分かります。しかし、この情報だけではなぜ減ったのか原因が分かりません。もしかしたら、病気なのかもしれませんし、ダイエットを頑張ったのかもしれません。これを明確にするためには、2021/4/1から1年間でどのような活動を行ったのかという情報(一定期間の活動成績)が必要になります。体重が10㎏、体脂肪が5%減ったという結果に対して、「毎日5㎏のジョギングをした」、「筋トレを3日に1回やった」といった活動内容が分かれば、より具体的に体の状態が分かるようになります。この「活動内容」をまとめたものが、損益計算書となります。

 

このように、損益計算書と貸借対照表という2つの成績表によって、会社の状態がより具体的に分かるようになるのです。

 

『会計処理』の流れ

株式会社は、1年に1回会社の成績表(貸借対照表や損益計算書といった財務諸表)を公表しなければなりませんが、成績表を作るには、会計処理を行う必要があります。ここでは、会計処理がどのようなものか、ご紹介します。

 

1.取引の発生
会社が日々行う取引が発生します。取引とは、「商品の販売」、「商品の仕入れ」、「お金を借りる」、「給料を支払う」などといった会社が行う行為のことです。
2.取引内容の記録
発生した取引の内容を記録します。記録する際は、一般的に簿記(複式簿記)というルールを使います。この簿記というルールは、基本的に全世界共通で使われています。
3.記録した取引のまとめ(決算)
記録しただけでは会社がどのような状態かわかりませんので、集計したり調整したりします。この集計や調整を『決算』と呼びます。決算は、月次決算、四半期決算、年度決算といったものがありますが、会社の状況(上場しているかなど)によって求められる決算は異なります。
4.成績表の作成
決算の結果をもとに会社の成績表(損益計算書や貸借対照表等)を作成します。ここで作成した成績表を銀行や投資家が見て、会社の状態を判断します。
5.第三者のチェック
4で作成した成績表ですが、自社の状況を自社で評価するという自己評価になってしまいますので、税理士さんや会計士さんといった専門家のチェックを受けます。このチェックですが、会社の規模や上場/未上場といった会社の種類によって異なります。
6.成績表の公表
会社の成績表を外部の人が見れるように公表します。上場/未上場に関わらず、全ての株式会社は「決算公告」として公表することが法律で定められています。

 

このように、日々の取引を記録してまとめ、成績表を作成し公表するという一連の流れを会計処理と呼ぶのです。

 

会計と税務は何が違うのか?

『会計』と同じようなもので、『税務』があります。会計と税務は共通のルールがあったり、決算を行う必要があったりと、非常に似ている部分が多いので、この2つを混同する方がいますが、実は考え方や目的が全く違います。会計は、会社の成績表の作成を目的としたルールですが、税務は会社が納める税金の計算を目的としたルールとなっています。

 

 

■取引が発生したタイミングで記録する『会計』
会計の場合は、取引が発生したタイミングで記録することがルールになっています(これを「発生主義」と呼びます)。例えば、1月1日に10,000円の商品をクレジットカードで購入し、その支払いを2月28日にした場合、以下の記録を行います。
1月1日    10,000円の商品を購入
2月28日 10,000円をカード会社に支払い

 

■現金の受領・支払が発生したタイミングで記録する『税務』
税務の場合は、現金を受領したり、支払をおこなったタイミングで記録することがルールになっています(これを「現金主義」と呼びます)。先ほどの例を参考にすると、以下のように記録します。
1月1日    何も記録しない
2月28日 商品の購入と現金の支払いを記録

 

発生主義では、1月末の時点で、「商品を10,000円分購入した」という記録が残りますが、現金主義の場合は2月末まで何も記録がない状態となります。したがって、発生主義のほうが、より企業の実態を表していると言えます。では、なぜ税務では「現金主義」を使うのでしょうか?その理由は、「不正の防止」です。現金主義の方が、確実に現金のやり取りを行っているので、不正がしづらいのです。なぜ不正がしづらいかという点は、少し難しい内容になりますので、ここでは説明を割愛します。

 

以上のように、会計は会社の成績表の作成を目的としていますので、より実態を表しすように取引が発生したタイミングで記録を行いますが、税務では税金の計算を目的としていますので、不正がしづらい現金の授受のタイミングで記録を行なうルールとなるのです。

 

会計は、会社の状態を表すために使われていますので、会計を知らないと適切に把握することができません。就職先や取引先、株式の投資先など、会社の状態を知らなければならない場面は多くありますので、最低限の会計の基礎知識はつけておく必要があります。

 

まとめ

■会計は何のためにあるのか?
・会計は、会社の状態を分かるようにするための手法で、法律や会計基準といったルールが存在する。
・株式会社は、会計のルールにしたがって自社の成績表を作成し、最低限1年に1回は公表する必要がある。

 

■会社の成績表~損益計算書と貸借対照表~
・損益計算書は、略してP/L(ピーエル)と呼び、一定期間における企業の経営成績を表す。
・貸借対照表は、略してB/S(ビーエス)と呼び、一時点における企業の財政状態を表す。

 

■『会計処理』の流れ
・会社が日々行っている活動(取引)を簿記のルールにしたがって記録する。
・記録した取引情報を集計・調整して成績表(損益計算書や貸借対照表等)を作成し、外部に公表する。

 

■会計と税務は何が違うのか?
・会計は、会社の成績表の作成を目的としており、取引が発生したタイミングで記録することがルール(発生主義)となる。
・税務は会社が納める税金の計算を目的としており、現金の授受のタイミングで記録することがルール(現金主義)となる。

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