Excel予算管理の課題解決~Excelと専用パッケージシステムの併用

2022年04月07日

 

予算管理システムというと、多くの企業では専用のシステムを持たず、ERPパッケージや会計システムの一つのモジュール・機能として予実対比といった分析局面で利用しているのが一般的なようです。しかしながら、最近では、安価で良質な予算管理パッケージが開発・販売されており、Excel予算管理から専用のパッケージシステムによる予算管理へ移行する企業も増えてきています。今回は、予算管理システムについて、Excel依存の予算管理の現状と課題を考察したうえで、予算管理システムの在り方を考えてみたいと思います。


企業におけるExcel予算管理の実状

予算管理の実状について企業アンケートを実施したところ、次のような結果となったことがあります。
Q1:現在、利用している予算管理システムについて
・Excelを中心に利用している:67%
・会計システム内の機能を活用している:15%
・自社開発の機能を利用している:15%
・予算管理ツール・パッケージを利用している:3%
Q2:現在の予算管理システムにおいて課題として感じていること
・予算の集計業務:25%
・入力フォーマットの作成やメンテナンス業務:23%
・予実対比時の過去実績データ確認作業:21%
・各部門から提出された膨大なファイルの管理:13%
・多元化分析用データの抽出:13%
・各部門の提出状況やステータス管理:5%

 

以上のことから、約7割の企業がExcelを使用して予算管理を行っていることが判明し、予算管理における課題の6割以上がExcelを起因とするものとなっています。
また、Excelを利用しているが故の結果ですが、分析局面における課題はあまり無く、やはり予算の数字を作って行く予算の編成局面に課題が集中していることが見て取れます。
また、予算管理システムとして、会計システム内の機能を活用することは15%と低く、パッケージシステムの機能を利用していない現状も見て取れます。
そして、予算管理ツールやパッケージを利用している企業となると3%にしか過ぎず、専用のパッケージ利用が極端に低いことがわかります。

 

Excel依存の予算管理

予算管理について、特に予算の編成局面でExcelを利用するのは、
①多くの部門・ユーザーが予算を作る
②Excelは誰でも簡単に使いこなせる
ことが大きな理由だと思われます。
予実対比等の分析局面では、限られた部門・ユーザーが使用するに過ぎませんが、分析局面と違って、予算を作る・編成するという局面においては多くの部門・ユーザーが利用するため、システムのライセンス料の問題から全ての利用ユーザーにライセンスを配れないといった大きなハードルもあるようです。
Excelは、すでに多くの企業で利用していて、誰でも簡単に使えるツールですので、多くの部門・ユーザーが利用する予算の編成局面においてはExcelを使うことが多いのだと考えられます。

Excel予算管理が抱える課題

しかながら、Excelによる予算管理はデメリットも抱えています。
① 社内で変化がある度にExcelの入力フォーマットを見直さなければならない
② 集計用ファイルへの転記ミスやExcel関数またはマクロの見直しが発生する
③ 現場部門から受領した予算ファイルのExcel管理が煩雑になる

といったデメリットがあります。
①の”社内の変化”とは、組織や勘定科目、セグメント等の変更を言います。システムで言うところの”マスタの変更”であって、Excelの場合だと、マスタの変更がある度にExcelシートを変更しなければならないことが多く、その労力は相当なものに及ぶことがデメリットとして指摘されます。
②は、Excelシートに様々な関数やマクロが組み込まれることが珍しく無く、転記ミスや集計ミスが発生した場合には、すべての関数等を見直ししなければならず、その労力も相当なものとなり、この作業負荷がデメリットとなります。
最後に③ですが、Excelで予算を編成する場合には、部門やセグメントの数だけExcelのファイルが出来上がることになり、その管理(ファイルの世代管理)も相当大変になることがデメリットとなります。

 

Excelによる予算管理業務の課題を整理すると次のようなものになります。

組織改編や商材・科目変更に伴う入力フォーマットの修正

社内で変化がある度にExcelの入力フォーマットを見直さなければならない。

収集した予算データの集計ミス

集計用ファイルへの転記ミスやExcel関数またはマクロの見直しが発生する。

予算ファイル提出状況が不明

予算ファイルを作成する現場部門が多く、提出状況がわからなくなってしまう。

現場部門から受領した予算ファイルの管理が煩雑

現場部門から提出されるファイルが多すぎて、バージョン管理等をしきれなくなる。

予実対比のデータ加工に多くの工数が必要

予実対比をするため、販売システムや会計システムから出力したデータを加工しなければならない。

複雑な多次元分析への対応

様々な切り口による多次元分析に対応するため、Excelの関数やマクロが複雑化する。

 

Excel予算管理の課題解決

予算管理においては、ERPや会計パッケージとExcelの併用で対応する企業が多く、予算管理専用のパッケージやツールを利用する企業は少ないのが現状です。
多くの企業が予算管理をExcelに依存し、膨大な数のExcelファイルが存在し、Excelメタボ状態になっていることが少なくありません。Excelは誰でも自由に使える操作性に優れたツールですが、予算管理で使用する局面においては、その優位性が欠点となって課題になるケースがあります。企業の多くは、Excelの操作性・優位性にのみ着目し、そこに潜む課題を放置しているのが実情です。
このような環境の中、最近ではExcel予算管理に潜む課題を解決し、Excel依存の予算管理体質から脱却しようとする企業が増えてきています。ExcelにはExcelの良さがあり、パッケージにはパッケージの良さがあります。両者のそれぞれの強みを活かして、予算管理のシステムを検討・構築するのが良いと思われます。つまり、「誰でも簡単に使いこなせる」というメリットを活かすExcelと集計や分析に強みをもつパッケージを併用するやり方です。現場部門が行う予算の入力、または経営層が単純なデータを参照するレポート出力は、普段から利用しているExcelを使い、データの集計やセグメントを駆使した多次元分析等は専用機能を有するパッケージに任せる運用が効果的であると言えます。

 

予算入力・データ参照(定型レポート出力)…現場部門や経営層が利用することを想定してExcelを利用する

データ収集・集計・分析(多次元分析)…予算管理部門が利用することを想定して専用パッケージを利用する

 

現在のようなIT環境の中、企業は如何にして予算管理システムを見直し、再構築すれば良いか課題となっています。ある意味、企業の中でITシステム化されていないエリアの代表例が予算管理業務ではないでしょうか。現在は、良質で安価な専用パッケージが多数販売されています。この機会にRFI(Request For Information)やRFP(Request For Proposal)を利用して、Excel予算管理とパッケージ予算管理の製品比較を行い、自社の要件に合った予算管理システムを選定してみてはいかがでしょうか?

 

 

 

まとめ

■Excel予算管理のデメリット
① 社内で変化がある度にExcelの入力フォーマットを見直さなければならない
② 集計用ファイルへの転記ミスやExcel関数またはマクロの見直しが発生する
③ 現場部門から受領した予算ファイルのExcel管理が煩雑になる
・約7割の企業がExcelで予算管理を行っている

・予算管理における課題の6割以上がExcelを起因としている
・予算の数字を作って行く予算の編成局面に課題が集中している
 ☑予算の集計業務:25%
☑入力フォーマットの作成やメンテナンス業務:23%
☑各部門から提出された膨大なファイルの管理:13%

■Excelによる予算管理業務の課題

・組織改編や商材・科目変更に伴う入力フォーマットの修正

・収集した予算データの集計ミス

・予算ファイル提出状況が不明

・現場部門から受領した予算ファイルの管理が煩雑

・予実対比のデータ加工に多くの工数が必要

・複雑な多次元分析への対応

■Excel予算管理からの脱却

・予算入力・データ参照(定型レポート出力)…現場部門や経営層が利用することを想定してExcelを利用する

・データ収集・集計・分析(多次元分析)…予算管理部門が利用することを想定して専用パッケージを利用する

 Excelと専用パッケージの持つそれぞれの強みを活かして併用する。現在は、良質で安価な専用パッケージが多数販売されており、RFI/RFPを利用して予算管理システムを比較・選定してみるのが良い。

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