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これから始める海外監査!~海外拠点における個別監査の進め方~

2022年11月24日

 

内部監査は、組織体の経営目標を達成するために、公正かつ独立の立場からアシュアランス(保証)・コンサルティング(改善指導)を行いながら、組織体の運営に付加価値を提供する活動です。その目的は、企業の不正防止や低減のほか、業務効率化を図るために行われます。
海外拠点においては、物理的に距離が離れていることや、管理状況が把握できていないこともあるため、海外監査の重要性は高まっています。特に、言語、文化、商慣習等の違いがあるため、国内とは異なる観点で監査を行う必要があります。
そこで、本記事では、海外拠点が新たな監査対象となった場合における内部監査の基本的な進め方について解説したいと思います。

 

海外拠点における個別監査計画の策定

個々の拠点における内部監査業務は、内部監査部門にて作成した年間監査計画や中長期監査計画に基づいて行われることが原則です。海外拠点における内部監査についても、年間および中長期監査計画に沿って実施する必要がありますが、実態に合わせて調整しながら進めることもあります。本節では、海外拠点における個別監査計画を策定するうえでのポイントを解説します。

 

■個別監査計画
監査計画には、一般的に中長期監査計画と年次監査計画があります。中長期監査計画は3年から5年にかけて達成する内部監査のロードマップであり、年次監査計画は文字通り当期における内部監査計画になります。個別の内部監査計画は、年次監査計画で選定された対象部門や海外拠点における具体的な計画になります。例えば、海外拠点に対して、いつ、誰が、何を、どのように監査を行うかを明記されているものです。

 

■個別監査目的
海外拠点における監査目的は、年間監査計画や中長期監査計画にも基づいて明確に策定しなければなりません。特に海外拠点においては、組織体における人員配置や意思疎通等の管理面が弱い傾向があります。そのため、重要な誤謬や不正、コンプライアンス違反等の可能性があります。また、経営者からの意見を考慮することも重要です。

 

■監査日程の策定
全体的な監査日程には、事前調査に要する期間、現地監査のスケジュール、監査調書の作成、監査報告書の取り纏め、フォローアップ監査期間が含まれています。現地へ訪問し監査を行う場合は、移動に時間がかかることやイレギュラーの対応も発生する可能性があるため、余裕をもった訪問スケジュールの作成が理想です。

 

■監査資源(リソースと体制)
監査の実施に当たり、監査資源を確保する必要があります。監査資源には、内部資源と外部資源があります。年度監査計画や個別監査目的に合わせて、監査人の実務経験、対人技能、言語能力等を考慮したうえで、内部監査資源を調整する必要があります。仮に内部監査部門に監査に必要なリソースがない場合は、外部専門家を利用することも可能です。

 

個別監査計画の作成に当たっては、経営層による関心事項や懸念事項を考慮することがポイントになります。例えば、組織体制の人員配置や管理状況、不正、コンプライアンス違反等があります。

 

海外拠点における予備調査の実施方法

 

内部監査においては、監査の範囲が広く、監査項目が多くあります。海外拠点に向けて、どの監査項目を中心的に監査すべきかをわからないという監査人がいるのではないでしょうか。海外拠点の重点監査分野を識別し監査項目を策定するためには、本監査の前に情報収集等の予備調査を徹底する必要があります。

 

■事前情報の収集
海外拠点の監査を始める前に、個別監査の目的に合わせ、まずは予備調査で事前情報を収集する必要があります。具体的には、親会社にて入手困難な資料(各種マニュアルや労務データ等)や、偶発事象、不正事項、過去の監査指摘事項等を入手しておくことも重要です。必要に応じ、現地の関係者へ質問やインタビューからも情報を入手しましょう。

 

■監査項目の策定
親会社および現地から入手した資料や情報に基づき、個々の監査項目を策定します。海外拠点では、海外特有の事情があるため、ビジネスリスク、法令遵守、不正への対応、ルールの整備・周知、親会社への報告、内部通報制度の整備等を考慮する必要があります。例えば、法令遵守項目を策定する場合、現地の労働基準法等を特に留意する必要があります。

 

■監査手続の策定
監査手続は、個々の監査項目を基に、確認すべき内容を詳細的に記載することになります。一般的にはチェックリストの形で監査項目やコントロール内容を羅列して作成します。現地の関係者とコミュニケーションをスムーズに行うためには、なるべく現地言語で作成することが望ましいです。

 

■監査通知
本監査が始まる前に、監査実施の旨を少なくとも1ヵ月前に海外拠点へ通知することが一般的です。内容としては、監査の目的、主要監査項目、監査のスケジュール、監査人の体制、監査対象部門の対応者等を細かく記載し、関係者へ監査通知を行うことが重要です。

 

海外拠点の監査は、日本国内と異なり、グループ全体における監査項目だけではなく、現地のリスク評価を踏まえた両方の視点から監査の準備を行うことが特に重要になります。

 

 

海外拠点における現地監査の進め方

 

海外拠点における現地監査には、現地へ訪問して行う方法と、リモート形式で行う方法があります。リモート監査は、監査コストを削減できるメリットがある一方で、労働環境や証憑原本、管理状況の確認が難しいというデメリットがあります。現地訪問の場合は、現地の雰囲気を感じられることやより深く監査が可能なメリットがあります。今後は、現地に訪問する機会が増えることが想定されるため、本節では、訪問による現地監査の進め方について、説明します。

 

■書面監査
予備調査で得た情報と、監査のチェック項目に沿って、監査を行います。予備調査で確認できなかった各種申請書、決裁書等の原本を確認し、重要な項目はサンプリングを実施し評価を行います。売上データや労務データ、経費には特に留意する必要があります。

 

■実地監査
現場の安全管理状況の確認、固定資産や棚卸資産の棚卸を実施します。日本国内では、監査人が自ら固定資産と棚卸資産の棚卸を実施することが少なく、管理状況のみを確認することが多いです。海外拠点においては、不正や盗難等の観点からサンプリングを行い、実在庫の確認まで行うことが望ましいです。

 

■インタビュー
上記書面監査や実地監査で検出された事項に基づいて、関係者へインタビューを実施します。インタビューにおいて、質問事項と確認すべき内容を漏れなくヒアリングするためには質問書を事前に用意しておくことが有効です。また、認識の相違がよく発生するため、現地言語に精通した監査人もしくは通訳者を配置することが重要なポイントになります。

 

■監査講評会
現地監査の終了後は、暫定の監査結果を現地の関係者へ伝達する必要があります。特に指摘事項や不備事項が検出された場合は、その内容について相違がないかを再確認する場を設けることが重要です。検出事項をより具体的に伝達することで、海外拠点との良い関係の維持にもつながります。

 

海外拠点に会計事務所等の外部委託業者が存在する場合は、必要に応じて外部委託業者にヒアリングを行うことを推奨します。監査中に確認できなかった海外拠点の問題点や課題事項等が検出されることもあるため、監査上の有益な情報が入手できます。現地監査には、観察による実地監査、エビデンスの確認、現地関係者へのインタビュー、監査の講評会等の実施すべきことが多く含まれています。そのため、現地監査の期間中に、優先順位を決めて、段階的に監査を進めて行くことがポイントです。

 

 

海外拠点における監査報告書・改善提案・フォローアップ監査

 

現地監査を終えた後は、監査結果を取り纏めて、監査報告書を作成し、社内および海外拠点へ報告を行う必要があります。また、検出された指摘事項を基に改善指示書を作成し、被監査拠点に、改善計画書の提出を求めます。

 

■監査報告書
海外拠点における監査報告書には、監査目的、監査体制、監査方法、監査期間、監査結果、個別の検出事項を網羅的に記載する必要があります。否定的な検出事項以外に、肯定的な監査所見も記載するのが良いです。監査報告書を経営者に正式に伝達する前に、記載内容に相違がないかを海外拠点に確認する必要があります。

 

■改善指示書および改善計画書
改善指示書を記載する際には、個々の改善事項の規準、状況、原因、影響等をより具体的に記載する必要があります。記載されている改善事項は、海外拠点において、確実に運用可能なものであり、かつ、費用対効果も考慮しなければなりません。 海外拠点の関係者と協議し、優先順位を付けて、是正措置を行うべきです。

 

■フォローアップ監査
海外拠点より改善報告書を受領した後に改善状況を確認します。一定の期間において、確実に運用されていることを確認することが重要です。改善期間が要するものや重要な改善事項は、次年度の監査項目に取り入れる必要があります。

 

上述の通り、監査報告書を正式に報告する前に、記載内容に相違がないかを海外拠点に再確認しておくことが重要です。改善事項は、海外拠点において運用可能であり、確実に運用されているかが非常に重要なポイントです。 また、改善事項の内容にもよりますが、改善には一定の運用期間をもって実施することが望ましいです。

 

 

まとめ

 

海外拠点における内部監査の全体的な進め方については、国内と大きな違いはありません。しかしながら、言語、文化、商慣習等の違いにより、現地の特有なリスクが生じるため、リスクに合わせた監査項目を選定し実施する必要があります。

 

■海外拠点における個別監査計画の策定
☑海外拠点の個別監査計画は、年次監査計画に基づき、いつ、誰が、何を、どのように監査を行うかを明記する
☑内部監査人の実務経験、対人技能、言語能力等を考慮し、リソースがない場合は、外部専門家を利用する
☑経営層による関心事項や懸念事項(海外拠点の管理状況、不正、コンプライアンス違反)を考慮する

 

■海外拠点における予備調査の実施方法
☑海外拠点の偶発事象、不正事項、過去の監査指摘事項等も事前に情報入手しておくことが重要である
☑海外特有の事情があるため、ビジネスリスク、法令遵守、不正への対応、内部通報制度の整備等を考慮する
☑海外拠点の監査は、日本国内と異なり、グローバルや現地の両方の視点から監査の準備を行う

 

■海外拠点における現地監査の進め方
☑固定資産と棚卸資産について、不正や盗難等の観点からサンプリングを行い、一定数の在庫確認を行う
☑インタビューにおいて、認識の相違がよく発生するため、現地言語に精通した監査人または通訳者を配置する
☑海外拠点に会計事務所等の外部委託業者が存在する場合は、問題点や課題事項等のヒアリングを行う

 

■海外拠点における監査報告書・改善提案・フォローアップ監査
☑監査報告書を社内に正式的に報告する前に、記載内容に相違がないかを海外拠点に確認を取る
☑検出された改善事項は、海外拠点にて確実に運用可能であり、優先順位付けて、是正措置を行う
☑改善事項について、改善期間が要するものや重要な改善事項は、次年度の監査項目に取り入れる

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