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失敗しない間接業務の改善の進め方

2019年11月28日

 

『業務改善』はさまざまな企業で昔から取り組まれていますが、数年前までは経理や総務、人事などといった間接部門よりは、製造や開発などといった直接部門の方が積極的に取り組まれていました。しかし、近年では働き方改革や労働人口の減少といった問題が取り上げられるようになり、間接部門に対しても非常に多くの企業が真剣に効率化や自動化といった業務改善活動に取り組むようになりました。
『業務改善』の風潮が高まることは、生産性を向上させるためにも非常に良い傾向ではありますが、『業務改善』という言葉だけが先行してしまい、安易にRPAといったツールや小規模のシステムを導入し失敗してしまうケースや、進め方が分からずにとん挫してしまうケースも多く見られます。
今回は、業務改善を進めるにあたって陥りがちな間違いを踏まえつつ、どのようにして業務改善を進めればよいか、事例と共にご紹介します。

 


ありがちな間違った業務改善の進め方

『業務改善』の目的は色々とあります。例えば、ミスが多く発生する業務の見直し(品質向上)、業務に費やす時間の削減(効率化)、業務プロセス全体のボトルネックをなくす(最適化)などです。これらの業務改善の目的は、いずれも「業務における問題を解決する」ということで共通しています。
業務改善で一番重要なのは、『誤った問題を解決しようとしない』という事です。「そんなことはあたり前じゃないか」、「問題なんかすぐわかる」と思われる方も多いと思いますが、実はこの問題の識別が上手くできず、業務改善が失敗に終わってしまうケースが非常に多いのです。以下は、失敗に陥りがちな例です。

 

①業務に時間がかかりすぎているため、業務が自動化できるRPAを導入した。
②作業ミスが多いため、マニュアルの作成を指示した。
③問題点を明確にするため、業務フローの作成を指示した。

 

どれも問題の本質を見極めることなく、手段に進んでしまっていることが分かると思います。①と②は、問題の原因が分からない状態で進めようとしています。①であれば、時間がかかっている理由、②であればミスが発生する理由があるはずです。その理由が分からない状態で、改善の手段(RPAの導入、マニュアル作成)を進めても、効果が出るのか分かりません。③については、問題を明確にするため、フロー図に進むという方向性は間違っていませんが、いきなり業務フローの作成に着手すると、とてつもない時間がかかってしまいます。

 

このように、問題の原因が分からない状態で業務改善を無理やり進めてしまうと、大概のプロジェクトが失敗します。まずは問題の原因がどのようなものなのか、どこにあるのかを明確にすることが失敗しない業務改善の進め方です。ただ、「原因の特定」と「原因の所在」を丁寧に実施しすぎると、時間がかかってしまいますので、次章から効率的に進めるポイントも含めて業務改善の進め方をご紹介します。

 

 

ステップ1:問題がどこにあるのか明確にする

業務改善の最初のステップは、問題の見える化(可視化)です。問題の可視化は、業務改善を進めるにあたって肝となるステップです。ここを適当に進めてしまうと、せっかく改善を進めたのにもかかわらず、効果がほとんどなかったなどといった結果になりかねません。
業務改善を進めるにあたり、改善対象となる業務がある程度見えている場合と、そうでない場合があります。「働き方改革」や「残業時間抑制」といった目的でスタートする業務改善は、改善対象とする業務が見えていないことが多いと思います。改善対象とする業務が見えている場合とそうでない場合では、進め方が違います。

 

◆改善対象とする業務が見えていない場合
改善対象とする業務が明らかでない場合は、問題のありそうな業務をピックアップする必要があります。問題がありそうな業務を洗い出すには、『業務のたな卸し』を実施するとよいです。たな卸しを行う際は、業務や作業名だけでなく、作業時間や実施頻度、定型/非定型といった項目を設け、これらも一緒に明確化します。作業時間や実施頻度を可視化することで、時間がかかっている業務(=問題がある業務)が分かるようになるのです。

 

◆改善対象とする業務が明らかな場合
改善対象とする業務が明らかになっている場合は、一覧表ではなく、フロー図の作成をお勧めします。業務フロー図は、業務の流れを見える化しますので、どのプロセスに問題があるのかが一目瞭然となります。業務フロー図の作成方法は以下のブログで紹介していますので、こちらをご確認ください。
業務自動化・改善の基本~業務フロー図の作成方法~

 

このように、問題のある業務が見えている場合とそうでない場合では、採用するアプローチが異なります。問題業務が明確でない場合は『業務一覧表』、明らかな場合は『業務フロー図』を作成し、問題の目星をつけた上で業務改善を進めてみてください。なお、業務一覧表を作成し、目星となる業務を見つけたうえでフロー図を作成するといった進め方もあります。

 

ステップ2:問題の原因を明確にする

業務改善の最初のステップとして『問題の可視化』をお話ししましたが、次のステップでは、『問題の原因』を明確にしていきます。実はこのステップ2が業務改善の中で最も重要なプロセスとなりますので、時間をかけてでもしっかりと実施する必要があります。業務でよくある問題としては、
①作業時間が長い
②残業が多く発生する
③ミスが多く発生する
④作業時間が十分に確保できない
といったものが挙げられます。これらの問題については、原因を深掘りしていく必要があります。例えば、「①作業時間が長い」という問題ですが、長くかかる原因が何なのか、明らかになっていません。原因を明らかにしないと、誤った対策を選択してしまう恐れがあり、結果として改善は上手く進まなくなってしまいます。では、「①作業時間が長い」と「②残業が多く発生する」の2つの問題について、原因の深堀りをしてみます。

 

◆「①作業時間が長い」という問題の深掘り
「作業時間が長い」という問題ですが、様々な原因が考えられます。例えば、
・単純に処理すべきボリュームが大きい(入力しなければならない伝票が1,000件あるなど)
・受領したデータが完全なものでないため、担当者が自ら調査しデータを補完しなければならない
・各システムのマスタ体系が異なるため、集計前にデータを整えなければならない
といった事象は、全て作業時間を長くする原因の1つです。これらの原因に応じて、とるべき対策は変わってきます。

 

◆「②残業が多く発生する」という問題の深堀り
「残業が多く発生する」という問題につきましては、決められた期日までに完了しなければならないといった『時間的な制約』が第一に思い浮かびますが、その原因は以下のようなものが考えられます。
・業務を開始するタイミングが遅い(別の担当者が実施している前の業務が終わらないと始められない)
・業務を開始するタイミングが遅い(他に優先すべき業務がある)
このように、単純に残業時間が多いという問題につきましても、色々な原因が考えられます。

 

このように、単純に「作業時間が長い」といった問題でも、ボリュームが多いのであればRPAといったツールを検討する、受領したデータが不完全といった場合は前の担当者への教育といった具合に、取るべき対策が全く異なってしまうのです。

 

 

ステップ3:改善策を決定する

改善策を検討するにあたり、重要となるのは『投資対効果』です。投資対効果の高い改善策を選べば、必然的に効果は高まります。では、投資対効果の計算方法を見ていきましょう。

 

①改善対象の業務にかかるコストを計算する
ステップ1の問題の可視化で、業務の棚卸を実施しました。コストを計算する際は、この棚卸の情報(業務一覧表)に記載されている『実施頻度』や『作業時間』を使います。これらによって、月間又は年間の作業時間といったように、一定期間の作業時間を計算することができますので、これに金額を乗じれば業務に対するコストが算出できます。金額換算については、担当者の給与金額を使うと良いですが、会社が負担する社会保険料などの福利厚生も考慮した場合、給与に1.5~2倍した金額を使うと正確です。なお、間接業務のコスト計算につきましては、以下のブログでも取り上げていますので、ご確認ください。
間接コスト削減のポイント~ABCを用いたコストの見える化

 

②改善案に対するコストを計算する
改善策のコストですが、RPAと言ったツールを利用する場合は、そのコストに導入作業といった人件費をプラスします。人件費の計算方法は①でお話ししましたので、導入にかかる作業時間を見積もり、そこに担当者の時間単価を乗じれば計算できます。導入の作業時間は、ツールを購入するベンダーに問い合わせると良いと思います。

 

③回収期間を計算する
投資対効果は、①の業務にかかるコストのうち、削減されると見込まれる費用と、②の改善案に対するコストを比較して求めます。改善策に対するコストは、イニシャルコスト(最初にかかる費用)とランニングコスト(継続的にかかる費用)に分けて計算します。削減される費用と改善策に対するコストが逆転するポイントが、回収期間となります。

 

投資対効果を計算し、最も回収期間の短い対応策が、最善の策という事になります。ただし、投資対効果の計算は見積もりを多く含みますので、あまり緻密な計算にこだわりすぎると複雑かつ理解が困難な結果になりますので、前提条件を設けて粗く計算することがポイントです。

 

業務改善を進めるうえでのポイント

業務改善は、やみくもに進めても上手くいきません。まずは、どの業務に問題があるのか業務のたな卸しや業務フローを作成し、目星を付ける必要があります。目星をつけたら、問題の原因をじっくりと見極めていきます。間違った原因を解決しても、改善の効果は得られません。原因に対して有効な対策を選ぶには、投資対効果を見る必要があります。回収期間の最も短い対策を選ぶことによって、改善効果は一層高まりますので、業務改善を進める際は是非、これらのポイントを押さえてみてください。

 

 

まとめ

■ありがちな間違った業務改善の進め方
・業務に潜んでいる問題の原因を追究せず、対策を検討してしまうと失敗する。
・「原因の特定」と「原因の所在」を丁寧にやり過ぎると先に進まなくなってしまう。
■ステップ1:問題がどこにあるのか明確にする
・改善対象とする業務が見えていない場合は、業務のたな卸しで問題業務を炙りだす。
・改善対象とする業務が見えている場合は、業務フロー図で問題の所在を明らかにする。
■ステップ2:問題の原因を明確にする
・原因を明らかにしないと誤った対策を選ぶ恐れがあり、結果として改善は上手く進まない。
・問題の原因によって取るべき対策は異なる。
■ステップ3:改善策を決定する
・業務にかかるコストは、作業時間×時間単価(給与×1.5または2÷160時間)で計算する。
・改善策は「投資対効果」を計算し、回収期間の短いものを選択する。

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