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RPAの幻滅期到来!? ~RPAが社内で広がらない理由とは~

2019年12月19日

 

最近Web等でIT関連記事をチェックしていると、RPAが幻滅期に入ったとか、RPAを導入した企業の8割が、全社展開に二の足を踏んでいるといった内容を目にするようになりました。
RPAは、働き方改革の即効薬として注目を浴び、今では国内企業の3割以上が導入していると言われます。
年々減り続ける労働力に変わり、新たな戦力『仮想知的労働者(デジタルレイバー)』として期待されているRPAですが、人の作業をロボットが代行してくれるというメリットがある一方で、これまでの業務の知見が失われてしまうのではないかといったマイナス面での指摘が当初からあります。
メリットもデメリットもある程度出尽くし、幻滅期に入ったと言われる今、RPAは、私たちにとって本当に必要なのか、また導入すべきであるのかを、昨今のRPAを取り巻く状況等をもとに、考えてみたいと思います。

 


RPAを取り巻く昨今の状況

RPAは、欧米では2015年頃、国内では2016年頃から導入の動きが広がり始め、2017年には一大ブームと言っていいほどの広がりを見せました。現在では、国内30%以上の企業がRPAを導入しており、市場規模は拡大し続けています。

 

ところが2019年10月31日、ガートナージャパン株式会社が「日本におけるテクノロジのハイプ・サイクル:2019年」を発表しました。この発表によると、RPAやAIといった技術が『幻滅期』に入ったということです。ハイプ・サイクルには「黎明期」、「過度な期待のピーク期」、「幻滅期」、「啓蒙活動期」、「生産性の安定期」といった5つの段階があり、「幻滅期」とは、熱狂が冷め、期待が一気に幻滅に変わる時期を指します。

 

市場規模拡大中にありながら、熱狂が冷め、期待が一気に失われたというのは、どのような状態なのでしょうか。それは、『RPAを導入した企業の8割が、全社展開に二の足を踏んでいる』という記事とも、共通しているのではないかと思います。
RPAのブームは、システムとしては例を見ない規模で急速に広がり、しかしその一方で、導入後に全社展開できた企業は、わずか数%だといいます。残りの大多数の中には、利用の継続を検討している会社や他の業務効率方法にシフトした会社もあるそうで、全社展開に二の足を踏むというよりは、RPAブームの熱狂から覚め、次第にフェードアウトしているようにも思えます。
それはつまり、RPAは必要ではなかったということなのでしょうか。
次の項では、RPAに幻滅してしまう原因を探っていきます。

 

RPAに幻滅する理由とは何なのか?

RPAに幻滅する理由、それは叶えられなかった期待に原因があるのではないかと考えます。期待が叶えられていれば、そもそも幻滅には至りません。誰もがRPAに期待し、そして叶えられずがっかりしてしまうポイント、それは工数削減コストメリットの2つです。

 

「RPAを導入したら、あの大量のデータをロボットが処理してくれるから、現場は楽になるだろう」「毎週残業が発生していたあの業務がなくなれば、残業時間も減るだろうし人件費も抑えられる。単純作業よりも、もっと創造的な価値のある仕事を社員に任せられそうだ…」
RPAに、こんなイメージを持ったことはありませんか。
そのイメージが間違っているわけではありませんが、少しだけ不足しているものがあります。
それは、ロボットを作成・維持管理する工数とコスト、そして、ロボットの作成者およびロボットに仕事を奪われる社員の心理的負担です。

 

ロボットの作成には、当然工数がかかります。RPAの教育、自動化する業務のヒアリングや選定、シナリオの組み立てや、エラー発生時の処理方法、作成後の検証やメンテナンス、そして維持管理の工数も必要です。RPAの専門家が専任者として配属されれば良いのですが、一般的には情報システム部や現場の担当者が、通常業務と兼任しているケースが多いため、ロボット作成のみでなく、通常業務も今まで通り進めることを求められます。そのような状況で、ロボット作成はスムーズに進むでしょうか。私にはとても自信がありません。導入後からロボットが増えず、工数削減の結果が見えなかったとしても当然の成り行きと言えます。

 

RPAへのもう一つの期待はコストメリットです。RPAを使う最大のメリットは人件費の削減です。人の業務をRPAで自動化することで、10~50%のコストカットができると言われることもあります。しかし、それはあくまでも想定値であり、ロボットの作成や維持管理にかかる工数やその人件費を0にすることはできません。では、その工数や人件費を上回るメリットを出すためには?
ロボットを増やすことが1番です。ところが、RPAに懐疑的な現場では、業務の知見が失われることへの懸念や、仕事を奪われる不安・不信が強く、ロボットを積極的に増やすことができません。
ロボットが増えない現場は、工数もコストも削減できません。RPAを導入して、工数削減できるはずだったのに結局変わらない。RPAを導入したコストの方が高くついてしまった…。全社展開に二の足を踏んでいる企業はこのような状況なのではと思います。

 

RPAは必要か

RPAに幻滅する理由は、工数削減コストメリットへの期待が失われるからと記載しました。前項の内容を見て、意外と面倒なツールだという印象を持たれた方もいるかもしれません。
RPAは必要か?という問いには、必要であるという回答と必要でないという回答、どちらも当てはまります。それは、RPAがあくまでもツールだからです。道具は適切に使えば便利なものですが、必要が無い場所では活用することができません。
業務にかかる工数を削減し、コストメリットを得たいという場合、その目的を叶える手段はRPAだけではありません。目的を叶える手段として、RPAが向いていることもあれば、そもそもの業務手順に問題があるため、まずは業務手順の改善が必要ということもあります。

 

ここで、重要なのは目的と手段を取り違えないということです。RPAを業務に取り入れれば業務が改善されるというわけではなく、業務改善のため、適切にRPAが使えるのであれば、RPAはその効果を発揮します。適切にRPAを使うと言っても、何も難しいことはありません。RPAで自分の業務が楽になるイメージを持ち、そのイメージをシナリオに起こせたら良いのです。そうしたイメージが積み重ねられ、ロボットが増えれば、工数削減、コストメリットへの期待は自然と叶えられます。目的が叶えられれば必然的に、RPAは必要であると言えます。

 

RPAを有効活用する方法

では、RPAを導入したものの、あまり活用できていないという場合にはどうしたら良いでしょうか。
目新しさはないかもしれませんが、これまでのRPA導入成功例を聞いていると、ポイントとなるのは以下の3点です。

 

1.RPAを使い、業務が改善されるイメージを共有する
RPAを使って自分の作業負荷が軽くなり、業務が改善されるイメージを、現場の社員全員に共有してもらいます。業務改善のイメージがつき、あの作業やこの作業もRPAで自動化してみたいと声が上がるようになれば、後は現場主導でロボットが増えていきます。
2.ロボットの作成、メンテナンスの工数を確保する
現行の業務と並行でロボットを作成、メンテナンスしていくのは、RPA初心者では難しいものがあります。RPAのキャッチアップ期間をとるなど、ロボット開発に専念できる時間を確保してください。
3.ロボットを増やす
もう既に行っていると思われるかもしれませんが、各事業部やプロジェクト単位ではなく、各個人の業務内容に目を向け、自動化したい作業を探してください。業務一覧の流れはRPA化するのに不向きでも、1部の作業は単純な繰返しということはままあります。
小さな作業であっても、稼働しているロボット数が多ければ、おのずと結果は数字に表れてきます。

 

RPAは、工数削減やコスト削減だけでなく、できればやりたくないなという作業を人に代わって行い、作業者の精神的負担を軽減できるという一面もあります。数字的なメリットを追ってRPAに幻滅してしまう前に、もう一度RPAの活用方法を見直してみてください。

 

 

まとめ

1.RPAを取り巻く昨今の状況
☑RPAは現在では国内30%以上の企業が利用しており、いまだにその規模は拡大している。
☑その一方、2019年10月末にはガートナージャパン株式会社により、RPAは熱狂が冷め期待が一気に失われる幻滅期に入ったと発表された。
2.RPAに幻滅する理由とは何なのか?
☑RPAへの幻滅は、工数削減コストメリットという2つの期待が叶えられないことにある。
☑RPAの導入時に、ロボット作成および維持管理の工数が増加することが見込めているか。また、RPAでコストメリットを出すためには現場社員の協力が必要であり、社員の意識改革ができているかということがポイントとなる。
3.RPAは必要か
☑RPAは目的を叶えるためのツールであり、導入することが目的ではない。工数削減やコストメリットを出すための手段はRPA以外にもあり、すべてをRPAで対応する必要はない。
☑目的を叶えるための手段として、適切にRPAを使えば効果が出る。効果が出れば、必然的に、RPAは必要であると言える。
4.RPAを有効活用する方法
☑RPAを使うことで、業務が改善されるイメージを現場で共有すること。
☑ロボット作成の工数が十分に用意されているか、またRPAによる自動化が適した業務であるのかを再考すること。
☑ロボットの数を増やすこと。たとえ1つ1つは小さな業務であっても、積み重ねることで大きな結果に繋がっていく。

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