BPOサービスの活用 ~メリット vs デメリット~

2020年02月20日

 

近年、生産性向上や高付加価値化の要求がますます強まっています。その反面、コストや人材不足で思うように業務改革が進まないという状況はないでしょうか?BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)サービスはその解決方法の一つとして注目されています。
同業他社との競争下にあるアウトソーシング会社には最新の知識やノウハウが蓄積されており、活用することでコスト削減や生産性向上、高付加価値化の効果が期待できます。しかしながら、BPOサービスは導入すれば効果が約束されるわけではありません。あらかじめSLA(サービスレベルアグリーメント)を合意し、効果を恒常的に測定する必要があります。
今回はBPOサービスについてまとめました。


BPOサービスとは

BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)サービスとは、企業の経営戦略の一環としてコスト削減や生産性向上・高付加価値化を目的として、外部の専門業者に企業の業務プロセスの一部または全てを一括して委託することを指します。
BPOサービスはアウトソーシングサービスの一つです。外部のリソースを活用するという点では人材派遣も似ていますが、大きな違いは期間と範囲です。
人材派遣は、繁忙期などの限定的な期間、特定の作業範囲にスポットで人手を調達し、人手不足を解消することを主目的としています。
BPOサービスは、長期に渡って継続的に部門が抱える業務プロセスの全部または一部を外部に委託し、コストを削減することを主目的としています。

 

BPOサービス市場の活発化とその理由

BPOサービスは従来から存在していますが、需要は年々増加しています。
IT専門調査会社 IDC Japan 株式会社が2019年4月3日に公表した国内BPOサービス市場予測によると、2018年の同市場は前年比4.7%増の7,691億円であり、2018年~2023年の年間平均成長率は3.5%と高い成長率を示しました。
その背景として危機に直面したことが挙げられます。今までも生産性向上や高付加価値化をサポートするために最新のIT技術のAI、RPA、IOT、クラウドサービス等の利用が検討されてきました。ただ、具体的な選定・導入には知見のある人材と多額のIT投資資金が必要となるため、本格的な活用には至りませんでした。しかしながら、昨今の働き方改革への取り組みや定年退職者増加に伴う人手不足に重い腰を上げざるをえません。
そこで注目されたのがアウトソーシングサービスの活用です。特に情報システム部門を中心にIT運用・保守アウトーソーシングを活用するケースが増加しており、既存の業務プロセスをコスト削減し、最新のIT技術に詳しいアウトソーサーと協力して浮いた資金で業務改革を実施する。というサイクルが活用例となります。

 

BPOサービスに適した業務プロセス

BPOサービスの対象となる既存の業務プロセスは主にノンコア業務です。
アウトソーシングサービスの特性上、社内の情報が外部に流出するリスクが定常的に発生します。そのため適性の有無によってアウトソースする業務プロセスが分類されます。そこで着目されるのがコア業務とノンコア業務のキーワードです。
コア業務とは企業の中核となる業務プロセスで、非定型的で企業固有の知識やノウハウを要するという特徴があります。主に利益創出に責任をもつプロフィットセンターが対象となります。それに対してノンコア業務とはコア業務をサポートするバックオフィス業務が中心で、定型的で難易度が低い反面属人的になりやすいという特徴があります。主にコスト削減に責任を持つコストセンターが対象となります。
当然のことながら、コア業務ならば常に対象外となるわけではありません。信頼性の高いアウトソーシング会社と協力関係を結ぶことで、コア業務に近い業務プロセスをアウトソーシングする例は既に存在しています。

 

BPOサービスのメリット

また、業務プロセスの種類によってもBPOサービスの効果は変わります。
それはBPOサービスのメリットを享受しやすい環境かどうかで判断することができます。以下に主なメリットを一覧形式でまとめます。
◆ コア業務への集中
企業の成長に従ってバックオフィス業務も拡大していきますが、同時に人材不足の中で非コア業務にもリソースを割く必要に迫られます。
そこでノンコア業務をアウトソーシングすることで企業のリソースをコア業務に集中し、生産性を向上させることができます。
◆ コストの削減
アウトソーシングサービスに該当する定型的なノンコア業務は既に専門業者が標準化しています。そこでサービス導入に際して整理した既存の業務プロセスに取り入れ、業務改善を実施することでコストを削減できます。
◆ 品質の向上
アウトソーシング会社は、同業他社との競争力を高めるために最新技術の知識やノウハウを保有しています。そのため同じ業務プロセスであっても企業より効率的かつ効果的に対応することができます。

 

BPOサービスのデメリット

逆に、BPOサービスを活用する際のデメリットを以下に一覧形式でまとめました。
◆ 情報漏洩のリスク
アウトソーシングサービスの対象がコア業務に近いほど、企業の機密情報や個人情報の漏洩リスクが増大します。アウトソーシング会社の選定時にセキュリティ対策について確認するだけでなく、付与するアカウント権限やアクセス範囲の限定などの直接的な防止策が必要です。
◆ ノウハウの空洞化
外部に業務プロセスを一括で委託するため、ノウハウを企業に蓄積することは困難です。特に全ての業務プロセスを一括で委託した場合はブラックボックス化に陥り、緊急の対応を企業内のリソースで対処できなくなるリスクが増大します。アウトソーシング会社と緊密な連携が必要です。

 

BPOサービスの導入

実際にBPOサービスを導入するにあたって、プロジェクトの成功率を上げるためにはSLAの合意が必要です。
残念なことに、企業とアウトソーシング会社間のサービス内容に対する認識の齟齬が原因で期待通りのサービスを享受できないケースが存在します。そこであらかじめSLAを合意しアウトトソーシング会社との役割と責任を明確化することで、サービスの品質を担保することが必要です。
一般的にSLAには以下の内容が記載されます。
◆ 対象業務プロセス
◆ 役割と責任
◆ サービスの要求水準とその測定方法
◆ コストと支払方法
◆ 移行計画
◆ 運用計画

 

 

まとめ

BPOサービスとは
☑BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)サービスの目的はコスト削減や生産性向上、高付加価値化。
☑外部の専門業者に企業の業務プロセスの一部または全てを一括して委託するアウトソーシングサービスの一つ。
☑外部のリソースを活用するという点では人材派遣も似ているが、期間と範囲が異なる。
BPOサービス市場の活発化とその理由
☑BPOサービスの需要は年々増加傾向。
☑2018年のBPOサービス市場は前年比4.7%増の7,691億円であり、その後も高い年間平均成長率が予想される。
☑BPOサービスを最新のIT技術の導入資金確保のためのコスト削減に利用される例もある。
BPOサービスに適した業務プロセス
☑情報漏洩のリスクが存在するため、適性が業務プロセスごとに異なる。
☑ノンコア業務がアウトソーシングサービスの対象として適している。
☑信頼性の高いアウトソーシング会社であれば、コア業務に近い業務プロセスもアウトソーシングされる例が存在する。
BPOサービスのメリット
☑ノンコア業務をアウトソーシングすることで、企業のリソースをコア業務に集中して生産性を向上できる。
☑アウトソーシング会社の標準化された業務プロセスを取り入れることで、コストを削減できる。
☑アウトソーシング会社の最新技術の知識やノウハウを活用することで、品質を向上できる。
BPOサービスのデメリット
☑アウトソーシングサービスの対象がコア業務に近いほど、企業の機密情報や個人情報に接するリスクが増大する。
☑外部に業務プロセスを一括で委託するため、ノウハウを企業に蓄積することは困難でブラックボックス化のリスクが増大する。
BPOサービスの導入
☑サービス内容に対する認識の齟齬が原因で必ずしも期待通りのサービスを享受できないケースがある。
☑SLA(サービスレベルアグリーメント)で役割と責任を明確化し、サービスの品質を担保する必要がある。

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